ミッドウェイ/懐かしい味わい | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




ミッドウェイ

懐かしい味わい
監督:ローランド・エメリッヒさん
出演:エド・スクレインさん、パトリック・ウィルソンさん、他


正直観る予定ではなかった「ミッドウェイ」。仕事終わりにドライブしながら宇多丸さんのラジオを流してたら、次週の課題映画が「ミッドウェイ」に決まり、横を見ると近所のシネコンが。これも何かのご縁と思い、ノリで観てきました。エメリッヒの新作ですね。

まぁまぁな感じでした!(失礼)



よく考えれば最近の戦争大作映画って「ダンケルク」とか「1917」とか、挑戦に挑戦を重ねたような意欲作や傑作ばかりでしたよね。そんな中でまさかのエメリッヒ。予告を見た印象からだいたいこういう映画だろうな…と想像してはおりましたが、その想像したところから一歩もはみ出ない、新鮮味のないなんか懐かしい感じのバランスの映画にまとまっておりました。90年代っぽいというか…ひと昔前の戦争映画っていうか…。

良かったところは空中戦の迫力でここは凄かったです。ザ・CG!という映像ではあるんだけど、まぁエメリッヒだしこれはこれでよし。ミリタリー的なものに無知な私にはこうやって空母に爆弾落としてたんだ!とかその辺をまじまじと見れて楽しかったですし、下から撃ってくる大量の機銃を掻い潜って降下してく迫力みたいなものは音も含めスクリーンで見て良かったかなと思います。


ただ、中のドラマやサスペンスの作り方には正直見所がなく残念でした。ただ史実を追っていく作業のような印象で、全体的にすごい淡々としてたなぁ。人間ドラマ部分はそれぞれのキャラクター設計もそこからの変化もおもしろみがないし、全体的にのぺっとしてて展開に史実意外の締まりがないんですよね。あとあれですね「戦地に行った夫の帰りを待つ美人な奥さん」的なあのベタいメロドラマ、これ意外と最近なかったですよねと苦笑い。この辺もやたらめちゃくちゃ懐かしい味わいでした。

全体的に散漫で雑多な印象。戦争に関わる様々な人々を描きたかったのはわかるんですが、この語り口は正直エメリッヒには一番向いてないと思ってるところで、もうちょっと小さなお話に絞った方がうまくいったのではないでしょうか。なんてったってあの大傑作「ホワイトハウス・ダウン」を撮った男なわけで。主要登場人物が増えれば増えるほど、エメリッヒの映画は弱くなるなんとなくのイメージがあります。

見応えはあるけど見所なし。見た翌日には忘れてそうな映画で、そういう軽い味わいの戦争映画最近あんまなかったなという意味ではちょっと前の戦争映画を見てる感じで、懐かしい味わいはありました。