君が世界のはじまり/フリック入力「気が狂いそう」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




君が世界のはじまり

フリック入力「気が狂いそう」
監督:ふくだももこさん
出演:松本穂香さん、他


向井康介脚本ということで気になっていた「君が世界のはじまり」やっとこちらでも公開されたので観てきました。向井康介脚本ということしか情報を入れておらずどんな映画なんだろうかと楽しみにしておりました。

すっごい好きなところもある。けどなんか惜しいところもある。など。


基本的にこの映画の撮影と出演俳優の演技とアンサンブルはめちゃくちゃドストライクで最高でしたね。男性陣は正直パッとしなかったんだけど、メインの女優陣3人のこの魅力はなんだ。ほんとにみんな良かった。特に前半なんだけど、明らかにマジックが起きてるショットがいくつかあってとても見応えがありましたね。

松本穂香ってほんとに素晴らしい女優なんだなというのは改めて思いましたね。どの映画に出ても松本穂香でしか醸し出せない雰囲気があって最近かなり魅了されてます。今回の松本穂香も本当によかったな。

そして、何よりですよ。琴子ですよね。中田青渚さんという女優さんが演じられてて、彼女を僕は初めて観ましたがほんっっとに素晴らしかった!出てきた瞬間に惹きつけられる画面支配力があって、特に前半は彼女が映画全体を引っ張っていくようなそれほどのエモーショナル溢れる素晴らしいキャラクターでした。琴子良かったなぁ〜ずっと琴子を見ていたいほどです。


しかし、ここでエモーショナルの塊のような圧倒的存在の琴子なき後半の台風クラブ展開では明らかな失速と停滞を感じてしまいました。この後半の台風クラブ展開でそれぞれの考えや思いを5人それぞれがぶつけ合うんだけど、急にセリフが説明的になっていく、直接的になっていくというのも気になり始めました。まぁそういう展開なのでややしょうがないとは思うんですが、それにしても失速感が凄かったです。

あとブルーハーツですよね。前半一回流れる「人にやさしく」はとても良かった。「気が狂いそう」とフリック入力して流れる人にやさしくは意外性と流れ出す描写の新鮮さでかなり良いんだけど、クライマックスのあれはどうだろうか。あまりに安直な使い方に感じたりしたかなぁ。これをいっちゃおしまいだけど、地方の悩める学生×ブルーハーツという組み合わせにちょっともう飽きてる自分がいる。日本映画はいつまでその役割をブルーハーツにやらせるのだろうか?というのは正直感じてて、そこにブルーハーツを当てはめる大人のノスタルジックな発想とここでリアルに描かれる現代の子供たちとが正直あんまハマらないなぁというのは最近感じてたところだったりして。あと、そりゃあブルーハーツ流れると反射的に感動してしまうけど、それは曲に感動しているだけなのでは?私…。などと思ったり思わなかったり。

ラストのラスト、やや長いなぁあのラストの「ガンバレー!」で終われば良かったのでは?などと思っていると、また登場した琴子にやはり目を持っていかれる。やはり琴子があのモールに足りなかったのだ…そう感じた「君が世界のはじまり」でした。見所はアリ!素晴らしいシーンもたくさん。しかし個人的な今のテンションとやや合わず。という映画でした。