記憶にございません!
振り返ってわかる「ギャラクシー街道」の凄まじさ
上映時間:127分
監督:三谷幸喜さん
出演:中井貴一さん、ディーン・フジオカさん、他
三谷幸喜最新作「記憶にございません!」を観てきました。三谷作品は正直好きでも嫌いでもない映画が多くてそれこそ記憶にございませんな距離感なんですが、今回は意外とおもしろそうな気がしてちょっぴり期待してました。うーん、まぁまぁな感じでした。
汚職まみれで過去最低の支持率を持つ総理大臣が記憶喪失になるっていうアイディアは素晴らしいし、このアイディアでさぁどう料理しようか!というくらい、キャッチーだし、批評的なものになりそうな、これまでにない可能性を秘めた設定だと思うんですが、イマイチそれを活かしきれない冒険心のない凡作だったなぁという印象です。無難という言葉の方がしっくりくるかな。しかし前作のとてつもない駄作っぷりを考えると同じ監督とは思えないまともさになってて、つくづくギャラクシー街道の凄まじさが身に沁みました。
お話の筋自体はおもしろかったし、飽きずに見ることができました。しかし、もったいないなぁと思うのは批評性の部分で、この映画を観た安倍首相と対談してたくらいなのでそんなものはハナからないのは承知ですが、ここまでやるならとことん政府を批評性を持っておちょくってほしかったというのはかなりあります。アメリカ映画で同じ設定だと間違いなくこうはならないと思うし。ここでちゃんとバカにできるというスキルと気概ってコメディを作る上で僕が求めてるところでもあるし、なんかイマイチ中途半端な印象でした。
あと、撮影と編集は相変わらず物足らないというか、テレビっぽい。あとセリフですよね。この辺がキチッと映画的に処理されるようにならないと、これからも三谷幸喜作品は「テレビでやる映画」という印象は抜けないんじゃないでしょうか。でもだからヒットしてるんだろうなぁとも思うけど、これがいわゆる「ウェルメイド」と言われるのは映画というプラットホームを使ってる以上、ちょっと疑問を呈さざるを得ないなぁ。
全ての要素が予告の範囲をでない、想像を超えてこない、まぁいつもの三谷幸喜作品という出来でした。ふつう!