劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ/頑張るってなんですか? | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 
 
 
劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ
 
頑張るって何ですか?
上映時間: 100分
監督: 石原立也さん
出演: 北宇治高校吹奏楽部のみなさん
 
 
普段あまりアニメを観ない人間なんですが、あまり見ていないアニメの中でも「響け!ユーフォニアム」シリーズはほんとに大好きでかなり思い入れが強いアニメだったりします。ほんとにアニメシリーズが大好きでね…。1期、2期とけっこう何回も観なおしたりしております。キャラクターの心情の描きこみがとにかく綿密で繊細、かつエモーショナル。部活という構造を使った、人間関係のリアルさは見ていてヒリヒリしてくるようなものもたくさんあって、生易しさを一切配した人間関係の難しさとでもその先にある希望みたいなものをものすごくうまく攻めた描きこみをしていますよね。そしてなにより実力主義のスポコンものとして吹奏楽部というものを描いた本気で全国を目指す少女たちの部活ドラマとして、ちょっとこれ以上のものは今のところ出会えてないかも…というくらいめちゃくちゃに好きなアニメだったりします。ま、そんなわけで去年の「リズと青い鳥」以来となる「響け!ユーフォニアム」シリーズの最新作品ということで観てきました。最高でした…!!( ;∀;) ボロ泣きしましたごちそうさまでした…。
 
 
まず言っておきたいのは想像以上に去年の「リズと青い鳥」が超大事!ということです。今回の「誓いのフィナーレ」の一番の不満点は『短い』ということだと思うんです。おそらく様々な要素をそぎ落として、「久美子の物語」に集中させてるので、アニメシリーズにするなら描けたかもしれない他の周りの部員たちのドラマが、あんまり描かれないんですよね。で、その部分、しかもフィナーレの肝として超大事な部分は「リズと青い鳥」で描かれてるんですよね。観る前はあんまり関係ない話かなぁなんて思ってたんだけど、パンフを読むと本来はこの2本で1本の予定だったみたいなので、「リズと青い鳥」と「誓いのフィナーレ」は実質2部作と思ってみたほうがいいと思いました。ラストのカタルシスが全然ちがう気がします。思い返すと今の新3年生もいろいろあったけど、今思えばいいメンバーだったなぁ(しみじみ)。
 
で、今回は久美子の成長物語として、かなりグッときました。2年生になり、後輩ができ、先輩になった久美子。やっかいな後輩たちが織り成す様々な問題、部活ならではの、女の子ならではの問題を、どうまと
めてどう前を向かせて行けばいいのか…その葛藤がとてもリアルでした。私は、あすか先輩のことを考えると自動落涙するシステムになっているので、久美子がふとしたときに「あすか先輩ならどうするだろう?」と、あすか先輩の影や言葉や行動を思い起こすシーンの数々にはそりゃあもう…そりゃあもう…( ;∀;)( ;∀;)( ;∀;) ですよ。でも、あすか先輩のコピーではなく、久美子が久美子にしかできない、久美子にしか言えない言葉で、久美子なりの「先輩」になっていく先輩・久美子の物語として「久美子~( ;∀;)成長したな~( ;∀;)」と親心大爆発の号泣ですよ。最後に「悔しいです」と奏に言わせた久美子はほんとよく君はここまできたよと思いました。
 
 
あとよかったのは、「部活論」として。今回までも「部活」ってなんだろうとか、部活という特異な空間がもたらす諸問題や葛藤・苦悩は描かれてきたけど(そこがユーフォのえらいところだと思う)、今回はより根本的な「部活とはなにか」という問題に向かい合ってたのがすごいと思いました。なんでこんなに頑張ってるんだろう、この部活が仕事になるわけじゃないし、お金がもらえるわけでもないのに、なんでこんなに頑張ってるんだろう。頑張るってなんだろう。そんな問答、一度は感じたことあるし、今もあるよね。でも、なにもないなんてことは絶対ない!そんな負けてもなお残るなにか尊い感情の火種みたいなものが見えた最後の「悔しいです!!」だったなぁなんて、奏の物語を見てて思いました。なんかすげぇ救われました。「一度くらい勝ってみたかった」という百円の恋のラストのあの負けてるんだけどなにかポジティブな感情…あれを思い出したりしました。しかし、それを引き出した久美子…恐ろしい!
 
少し物足りなかったところを書くと、奏とかつての久美子が鏡のような関係だったことからも、今回の映画の見せ場は、去年までの物語を視点を変えてみることでわかる彼女たちの成長…というのが見せ場の大半だと思うので、ちょっとファンムービー感は強いかなぁと思ったというか、今作で初めて出会うようなフレッシュな見せ場はあんまりなくてあくまで去年までの重厚な物語がベースの見せ場だらけということ、そしてちょっと駆け足感は否めなかったということ、この2点が少し気になったかなぁ。
 
でも、まぁあのシーンよかった~あの時のあいつのあれが~とかいろいろとにかくしゃべりたくなる見せ場たっぷりの1本でしたし、ものすごく楽しみました。リズと青い鳥、いい曲だよなぁ。ありがとう3年生…。そして頑張れ新3年生。そして次の曲がはじまる…のか?どうはじまるのか…映画なのかテレビなのか…次を楽しみにしてます。最高でした~!