レディ・バード
そのモヤモヤが、キラキラ感じる日。
━─━─━─━─━─
監督: グレタ・ガーウィグさん
脚本: グレタ・ガーウィグさん
出演: シアーシャ・ローナンさん、ローリー・メトカーフさん、トレイシー・レッツさん、他
原題: Lady Bird
上映時間: 94分
あらすじ: 都会の大学に行きたい!!
━─━─━─━─━─
なかなか見れなかったグレタ・ガーウィグ監督の映画「レディ・バード」を観てきました。正直、観る前の予告の段階で、これは俺、ぜったいグッとくるやつや…とかなりハードルを上げて観ました。
最高の青春映画でした!またも今年ベスト級!
映画.comのあらすじはこんなです。
「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画。「フランシス・ハ」や「ハンナだけど、生きていく!」などでは脚本も手がけ、「Nights and Weekends」(日本未公開)では共同監督を務めた経験もあるガーウィグが、初の単独監督作としてメガホンをとった。カリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いた。主人公クリスティンを「ブルックリン」「つぐない」でアカデミー賞候補にもなった若手実力派のシアーシャ・ローナン、母親マリオン役をテレビや舞台で活躍するベテラン女優のローリー・メトカーフが演じた。第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になった。
都会に行きたい!という田舎青春ものであり、うまくいかないモラトリアム女子な映画であり、母と娘の物語であり、またひとつ大人の階段をのぼる一人の少女の成長譚であり、もう好きな青春映画の要素が完璧にツボにはまる映画で、ボロボロと涙を流しながら見ていました。
これも今年トップレベルで登場人物のことが心底愛おしいと思った映画で、もうねシアーシャ・ローナン最高かよという感じで心つかまれっぱなしでした。とにかく、ダメだし、イケテないし、弱いけど、でも可愛くて、繊細で、ここじゃないどこかに行きたいという、自分の髪の色のように燃える思いがある感じとか、もうなんか他人事じゃなくて、今年でいうと「勝手にふるえてろ」のヨシカ級にものすごく愛おしくなっちゃって、「あいつ元気にしてるかなぁ」と思い出さない日はないほどですよ…(´Д`)
最近更新した上半期ベストテンの記事でも青春映画が多くランクしてるように、やっぱ最近の僕は青春映画にグッときやすいみたいで。大学を卒業して、社会人になって何年か経って、やっと「あの時の自分」を振り返る場面、懐かしむ場面がすごく多くなったなぁと思ってて、ともかく青春映画にめちゃくちゃに心を動かされるんですよ。それってさ、「あの頃には、もう戻れない」ってやっと身を持って実感しだしたからかなぁと思います。そうだよ、その時はさ、「こんなとこから絶対出てやる!」とか「なんてつまんねぇ日々なんだよ!」とか、ほんとクソくだらないこととか、しょうもない時間の溶かし方してたけど、でもそんなサイテーだった日々こそ、今思うと超キラッキラしてて、最強で、無敵だったんですよね。そんなことに、気づき始めたということは、もう大人になっちゃったのかしらとか思って切ないですが。この映画のシアーシャ・ローナンを観てて、あと日本のポスターのキャッチコピーですよね「羽ばたけ、自分」という言葉、これはシアーシャ・ローナンであり、あの時の俺であり、性別も国もちがう女の子にあの時の日本の田舎暮らしの自分を重ね合わせて応援して見守っていた、そんな映画がレディ・バードで、これぞ映画だなぁ!と思ったわけです。
もう観終わって数日する今でもふと蘇ってくる名シーンが多くて、僕が好きだったシーンが主に3つ。まず1つ目は親友とプロムに行くところ。ここはほんとに最高で、おいティモシー・シャラメくんが童貞なはずないやろ!というツッコミをしつつお菓子を食べて馬鹿笑いして、ぽっかりあくはずだった青春を2人で埋めに行く展開にすげぇグッときちゃったなぁ。最高の青春じゃないか!2つ目は、初恋の人がゲイだとわかったあと、その男の子がシアーシャ・ローナンのバイト先に謝りに来るシーン。ここはほんとすげぇ思い出すんですよね。まだ自分の性がどうなのかわかってない状態の、不安さと怖さで泣いちゃって、シアーシャ・ローナンが抱きしめて、「大丈夫、誰にも言わないから」っていう、あそこはもう思い出すだけでなんか涙が出ちゃうし、ああいうときに抱きしめてくれる友達がいるっていいなぁとか、あと画としてキマリまくっててよかったとか、すげぇ忘れがたいシーンでした。あと3つ目はなんといってもお母さん!お母さーーーーーん!!あの空港からの車からの空港シーン。今世紀一番泣いたのではというくらいで、目がもげました。目がもげたよまじで。
この娘と母の関係性の不思議さもすごくおもしろくて、こういうのが描けるから!やっぱりもっともっと女性監督に女の子映画を撮ってほしい!撮るべき!と思いました。「勝手にふるえてろ」しかり。
あんなこと、こんなこと、いろいろ思い出しつつ、また大きな舞台に立ったシアーシャ・ローナンに応援の気持ちを送りつつ映画は終わりましたが、この映画は監督の自伝的作品なわけで、そしてこの映画が賞とりまくってアメリカで大ヒットしたというこの事実こそに、ほんとに元気と夢をもらえました。夢しかねえぞ、若者よ。そして俺、頑張れ俺とか思いました。元気をもらった!
━─━─━─━─━─
好き度: 90点
最高の青春映画でした!
━─━─━─━─━─