【映画感想】「恋は雨上がりのように」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

恋は雨上がりのように

 

まさかの今年ベスト級!素晴らしい青春映画でした!

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監督: 永井聡さん

脚本: 坂口理子さん

出演: 小松菜奈さん、大泉洋さん、清野菜名さん

上映時間: 111分

あらすじ: 「私、店長のことが好きなんです!」

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「恋は雨上がりのように」観てきました。正直なめてたんですよ。マンガ原作の年の差恋愛ものでしょ?みたいな感じで。でもね、これがもうほんとっうにグッときて、素晴らしい青春映画であり、恋愛映画で、ボロボロ泣いてしまいました。ここまで素晴らしい映画とは思ってなかったよ!( ;∀;)

 

映画.comの感想はこんな感じ。

冴えないファミレス店長に片思いした女子高生の恋の行方を描き、テレビアニメ化もされた眉月じゅん原作の同名コミックを、「渇き。」の小松菜奈と「アイアムアヒーロー」の大泉洋共演で実写映画化。怪我で陸上の夢を絶たれた高校2年生の橘あきらは、偶然入ったファミレスの店長・近藤正己の優しさに触れたことをきっかけに、その店でアルバイトをはじめる。45歳の近藤はあきらより28歳も年上で子持ちのバツイチだったが、あきらは密かに近藤への恋心を募らせていく。ついに思いを抑えきれなくなったあきらは告白するが、近藤は彼女の真っ直ぐな気持ちを受け止めることができず……。「帝一の國」「世界から猫が消えたなら」の永井聡が監督を務める。

 

 

まずは撮影がほんとに素晴らしい。画面がほとばしるほどみずみずしくて、この撮影で映し出される小松菜奈を見てるだけで自動的に涙が出てくるほどで。小松菜奈が疾走するアバンタイトルでもう傑作を確信したというか、ただ「走る」というシンプルなアクションなんですが、その切り取り方と音楽、そしてなにより小松菜奈のアイドル性と、そしてその魅力を信じて疑わない姿勢にもうほんと感動しました…。しかもその「走る」というアクションが、物語のストーリーテリングにおいてすごく重要な要素になってて、だからこそその「走る」というアクションを魅力的に描き切れている、これがこの映画最大の勝因だなぁと思いました。この映画、まじで画面でマジック起きまくりですよ!

 

 

お話もほんとうにグッときました。女子高生が40代男性に恋をするという一見突飛な設定ではあるんですが、この設定に対してものすごくまじめに作り手が向かい合ってて、彼女が恋に落ちたことにものすごく説得力と切実さが生まれててここはほんとに意外な良さでした。確かにありえないかもしれない、でもありえたし、ありえるだろうなと思わされました。あとなんといってもそれを受ける大泉洋をはじめ、彼女の七転八倒を見守る周りの目線がめちゃくちゃ優しいんですよね。この映画のもう一つの魅力はここかもしれません。悩んでる思春期ど真ん中の彼女に、人生の挫折ど真ん中の彼女に、大人として何をしてあげられるだろうか、友達として何をしてあげられるだろうか、親としてなにをしてあげられるだろうか、そんな彼女を見守る周りの目線にすごく泣かされました。

 

誰にでもあったじゃないですか、青春の挫折というかモラトリアムというか、あの言葉にできないモヤモヤ感。まさに走るのをやめてた彼女が、止まっていた時間が、青春が、また走り出すまでの物語で、もう泣いちゃうよね。どしゃぶりだったあの日も、振り返ってみればものすごく愛おしく見えるし、雨上がりのように晴れやかに見えるもんじゃないですか。だからこそ大泉洋にまでその波が波及していくわけで、ティーンがこの映画を観てどう思うかはわかりませんが、少なくともあのどしゃぶりの青春を経験してきた今だからこそ、ものすごくグッとくる映画でしたし、この映画の大泉洋同様にものすごくなんだか元気をもらいました。


ラストシーンも良かったなぁ、あのなんでしょうね言葉にできない感動というかあれは感慨って感じかな?大泉洋の「俺昇進するらしいよ」っていうあの絶妙なさまざまな感情が混ざり合った言葉と、なにより小松菜奈の「私、店長とメールしたいです」っていうあのときの言葉のチョイスと小松菜奈の顔と演出と、もう全てが完璧すぎるやろーーー。なんだろう、ここで「メールしたい」というこのバランスをチョイスしたことで、彼女のこれまでの思いはやっぱり嘘じゃなかったという説得力が出るとともに、ひとつ成長した彼女のギリギリのところでのそれでもはみでる恋心を表現しきっているしーー!なにより受ける大泉洋の演技が完璧だしー!とまぁ最後の最後までやられました。

 

その他、変態的な小松菜奈へのカメラワークとか、清野菜名との関係性萌え(リズと青い鳥を少し思い出したり)最高とか、小松菜奈の海辺とワンピースとランニングごちそうさまですとか、いろいろ言いたいポイントは山ほどあります(笑)

 

僕はなんかすげぇ何気ないシーンでグッときちゃってボロボロ涙出ましたよ。なにかしらのモラトリアムを抱えたことがある人間にはやっぱ刺さるし、背中押されたし、それを「走る」というシンプルかつ最強のアクションで見せきった正しさ、美しさ、神々しさ、そしてなにより愛おしさ。もうなんか今年は、止まってた時間がまた再び流れ出す、走り出す、そんな映画に特にグッとくるみたいでこの映画もそうだし「ちはやふる結び」とか「勝手にふるえてろ」とか今年の邦画青春映画、ほとばしるほどイイ!!上半期のベスト3はこの3本になりそうです。

 

「恋は雨上がりのように」、素晴らしい青春映画でした。

 

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好き度: 100点

マジックはスクリーンで起きている

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