【映画感想】「ファントム・スレッド」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

ファントム・スレッド

 

 夫という「型」にはまるまで

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監督: ポール・トーマス・アンダーソンさん

脚本: ポール・トーマス・アンダーソンさん

出演: ダニエル・デイ=ルイスさん、ビッキー・クリープスさん、レスリー・マンビルさん、他

原題: Phantom Thread

上映時間: 130分

あらすじ: モデルを家に住まわせます

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PTA監督の新作「ファントム・スレッド」をようやく観ました。


またも今年ベスト級。めっちゃくちゃおもしろかったー!!!!

 

映画.comのあらすじはこんな感じ。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン監督とダニエル・デイ=ルイスが2度目のタッグを組み、1950年代のロンドンを舞台に、有名デザイナーと若いウェイトレスとの究極の愛が描かれる。「マイ・レフトフット」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「リンカーン」で3度のアカデミー主演男優賞を受賞している名優デイ=ルイスが主人公レイノルズ・ウッドコックを演じ、今作をもって俳優業から引退することを表明している。1950年代のロンドンで活躍するオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックは、英国ファッション界の中心的存在として社交界から脚光を浴びていた。ウェイトレスのアルマとの運命的な出会いを果たしたレイノルズは、アルマをミューズとしてファッションの世界へと迎え入れる。しかし、アルマの存在がレイノルズの整然とした完璧な日常が変化をもたらしていく。第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。

 

 

見る前は、PTAがお洒落なドレス界のお話?とどんな映画かあんまりわかってないまま観たんですが、これがまためちゃくちゃにおもしろくて!またひとつ、インパクト抜群の新たな夫婦映画が生まれてしまいましたね(ニッコリ)。傑作だらけのPTA作品ですが、僕は「ブギーナイツ」級に久々にPTAベストが書き換わりそうなほどの勢いであります。


この映画、彼にとって『モデル』『型』であった彼女が、最終的に妻が、彼を夫という『モデル』『型』にはめ込むことに成功するという、1人の天才的な偏屈男を引き込み服従させるサクセスストーリーでしたね。結婚っていうのはそもそもなにかの『型』に当てはまることで成立するものなのだ、結婚ってこういうものでしょ?というPTAの結婚論映画だったんですよね。


それがしかも基本的にダークなコメディがベースになってて、そこにサイコサスペンスとラブストーリーがミックス、この映画そのものの絶妙なバランス感覚も最高に好きでした。


 

 

撮影と音と脚本と演出と、、もう全部最高だったんですが、音の演出が良くて、布が擦れる音、食器のかちゃかちゃ音、そして咀嚼音など、ほんとに音がいい。ラストとかさ、あんなに怖い咀嚼音ある?(笑)あそことかさ、前半のにらめっこの伏線がとても上手くて効いてるんですよね、あんなにラブラブなにらめっこが、最後にはこんなに恐ろしいにらめっこになるのが最高(笑)そりゃあんなに固められたら飲み込むよ、負けだ負け!(笑)と、こんな感じで、ひとつひとつの細かい演出と演出の反復や対比で、ダニエル・デイ・ルイスが「あぁ、だめだ…なんで俺結婚しちゃったんだ…」とか、「あぁ、もうだめだ飲み込むしかないわ…」「あぁ、もうわからん!すき!すきです!すき!(大汗)」みたいな、もう絶妙な心の機微がめっちゃくちゃ手に取るようにわかるのがうまいし、おもしろいですよね。


前半のダニエル・デイ・ルイスのわがままな感じとか、もう自分の時間という確固たるマイタイムで動かないと嫌な感じとか、根っこに母親の影があるところとか、割とマジで他人事じゃないかもな…と思って見てたので、最終的にこの夫婦像に着地するわけで、僕はもう超アリだと思ったというかさ、やっぱり我々男どもはさ、ここに着地するしかないよね!と妙に納得度の高い着地だなぁと思ったりしました。この映画の夫婦像、極論であるけど、これはこれで理想の夫婦像かもなぁ…なんて思っている自分もいて(笑)とても刺さってしまいました(ダメなやつ)。


もう、猛烈におもしろかったです。またもきたよ、今年ベスト級!



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好き度: 100点

今年ベスト級の1本!

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