羊の木
「それ、友達として聞いてる?」
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監督: 吉田大八さん
脚本: 香川まさひとさん
出演: 錦戸亮さん、木村文乃さん、松田龍平さん、他
上映時間: 126分
あらすじ: 元殺人犯6人が港町にやってきます
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吉田大八監督の新作ということで観に行ってきました「羊の木」。原作は未読、どころかお話もどんな話なのか知らないまま鑑賞。
おもしろかったです!
例によって映画.comさんからあらすじを拝借すると、
「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が錦戸亮を主演に迎え、山上たつひこ原作・いがらしみきお作画の同名コミックを実写映画化したヒューマンミステリー。寂れた港町・魚深にそれぞれ移住して来た6人の男女。彼らの受け入れを担当することになった市役所職員・月末は、これが過疎問題を解決するために町が身元引受人となって元受刑者を受け入れる、国家の極秘プロジェクトだと知る。月末や町の住人、そして6人にもそれぞれの経歴は明かされなかったが、やがて月末は、6人全員が元殺人犯だという事実を知ってしまう。そんな中、港で起きた死亡事故をきっかけに、町の住人たちと6人の運命が交錯しはじめる。月末の同級生・文役に木村文乃、6人の元殺人犯役に北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平と実力派キャストが集結。「クヒオ大佐」の香川まさひとが脚本を手がける。
と、こんな感じ。
まぁいろいろなテーマ・視点で語ることのできる映画だと思うんですが、僕はなんというか苦い青春ものとしてとても良かったなぁと思いました。大人のキャラクターだから青春ものとは言わないかもしれませんが、なんというのかな、友達もの?友達映画?として、なんかいろいろ考えましたね。
今作の松田龍平まわりのお話を見てて「友達」というものを形作ってるものってなんなんだろう…「友達」というものの定義ってなんなんだろう…とか思ったんですよ。なんか友達になるって、そいつがどんなやつかとか、そんなことは下調べなんかせずになんか気づいたらそこにいて気づいたら友達になってたりするじゃないですか。松田龍平がなんか気づいたら輪に入ってて気づいたらバンドメンバーになってる感じとかを見てそんなことを思いました。
では、ですよ。その気づいたら友達になってるそいつが元殺人犯だったら?もしそいつが元殺人犯であることを僕だけが知ってたら?
今作を見てじゃあ気づいたら友達になってた僕の周りの友達が、あいつが、もし元殺人犯だということを知ったとき、僕はどうするだろうか?そのまま今までと変わらずに友達をやれるだろうか。そんな、友達というもの(広くは人間関係全般)を支えてるものって実はすごくもろいものなのかもな…なんて思ったりして。
6人の元殺人犯それぞれ、そんなこと知ってても受け入れられるという希望を見せつつ、でも松田龍平パートは、殺人犯であると言っちゃった錦戸くんの弱さとズルさ、木村文乃の松田龍平に対する心境・見え方の変化、そしてやっぱり変われなかった松田龍平…と、やっぱりなんとも苦い味付けになってて吉田大八感がとてもありました。音を立てて人間関係が崩れていく過程がとてもうまかったなぁと思いましたね。
役者陣はみんなとても良くて、特に元殺人犯6人はみんな個性的ですごく見入っちゃまいました。そんな中でもやっぱこの映画、優香ですよね!優香!すごいぞ優香!なんだろう、「ウッジョブ」での伊藤英明の奥さん役のときもそうでしたが、歳を重ねてからの優香のエロス、これとてつもないものがありますよね。もうなんだろうかあの一見普通の中年女性なのにとてつもないフェロモン出しまくってる感。歯磨きのシーンとおじいちゃんとのディープキスシーンと、くっそエロかったですので、優香ファンは必見。
あと木村文乃さんも良かったです。あのツンケン感とギターを掻き鳴らすバンド練習でのビジュアル。大好物でした。吉田大八監督はやっぱ女優をすごく魅力的に撮るなぁと、過去作に引き続きそこはほんとに突出して魅力的でした。
あの不気味な地方の祭りとか、港町の撮影、人間関係のギクシャクした感じ、安藤玉恵さん!とか、良かったところは多くて、あと序盤の6人の殺人犯を迎えにいくパートは普通なら退屈になりがちだったりなげえななんて思うところですが、それぞれ工夫した見せ方で楽しかったなぁ。
ただキャラが多い分やや散漫に感じたり、あと絵的に今回は跳ねる描写が少なかったなぁというか、展開も思ったように思ったところに落ち着いていくし、映画的に飛躍する爆発力は今回はあまりなくやや寂しく感じたのは監督の前作が「美しい星」だったのと、割とにたテーマのすげぇ映画「スリービルボード」を観たばかりだったからかなぁ……。
ま、ともかく今回も吉田作品おもしろかったです!優香最高!
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好き度: 70点
優香!!優香!!
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