ウィッチ
なにもかも
脱ぎ捨て 少女は
空を飛ぶ
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
監督: ロバート・エガースさん
脚本: ロバート・エガースさん
出演: アニヤ・テイラー=ジョイさん、他
原題: The Witch
上映時間: 93分
お話: 一家が不幸に見舞われます
好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
なんとなく五・七・五からはじめてみました。
てなわけで運よく出張が入ったので「ウィッチ」を観れました。久々に新宿武蔵野館に行ったらめっちゃキレイになってました!ビックリ!
てなわけで、「ウィッチ」とてもおもしろかったです(´Д`)!!
主演は「スプリット」のアニヤ・テイラー・ジョイちゃん。1630年、ニューイングランド。ウィリアムとキャサリンの夫婦は、敬けんなキリスト教生活を送るために5人の子どもたちと森の近くにある荒地へとやって来た。しかし、赤ん坊のサムが何者かに連れ去られ、行方不明となってしまう。家族が悲しみに沈む中、父ウィリアムは、娘のトマシンが魔女ではないかとの疑いを抱き、疑心暗鬼となった家族は、狂気の淵へと転がり落ちていく(映画.comより)というお話です。
まず画面が素晴らしい!自然光オンリーの撮影だと思いますが、画面のトーンがほんとうにイイですよね。暗く、悲しげで、何か不吉なことが起こりそうな雰囲気がビンビンなのに、めちゃくちゃ美しい。音楽もこの画面にぴったりのもので、視覚と聴覚をまず完全に持っていかれました。そこから徐々に「魔」が一家をむしばんでいく様子が描かれるのですが、話が進んでいくたびにさらに撮影や音楽がキレッキレになっていくという、まずなんといっても眼福の極みでした。アニヤ・テイラー=ジョイちゃんもやはり今回も素晴らしき存在感。すっかりファンになりました。シャマランの「スプリット」といい、新たなホラーヒロインの誕生ですね。
「いないいないばぁ」で遊んでたら、赤ちゃんが消えちゃう…という予告にもあるショッキングシーンからはじまり、この敬けんなキリスト教一家に次々と恐ろしい不幸が起こります。そんな中、家族からお前は魔女だ…と魔女の疑いをかけられるアニヤ・テイラー=ジョイちゃん。敬けんすぎるキリスト教徒一家だからこそ、その信念が反転した時の恐ろしさというか、家族しかも自らの子供ですら、なにか超自然的な不幸や悪魔的なシンボルなど、いろんな「魔」の要素がつながると、疑い、殺そうというところまで行っちゃうもんだというのがなにより怖かったところでした。その魔の連鎖の仕方がとっても嫌~な感じでねぇ、、素晴らしいんですよ。あれよあれよとはこのことというか。しかもそれが人間としてほんとうに嫌だなぁと感じる連鎖の仕方をする、そのツボを確実に一個一個押していく演出の確かさを感じました。しかもこの映画お話はほとんど実話というか、魔女裁判や書物など実際のセリフや展開を踏襲してるそうで。魔女というものがなんだったか…というのがほんとに良くわかる映画でした。もうほんとにアニヤちゃんがほんとかわいそうでね(´;ω;`)
そんなこの映画のラストシーンはまさに空を飛ぶんですよ。もうここが本当に泣ける。素晴らしいカタルシス。このアニヤちゃんはいろんなことに縛られてました。宗教、家族、そしてその家族に魔女の疑いをかけられもう散々。家族や全てを失ったアニヤちゃんは自分を縛っているコルセットを脱ぎ捨てるシーンがまさに象徴的だけど、そんな自分を縛っていた様々なものを脱ぎ捨て取り去り、彼女は真の自由を手にするあの浮遊シーンはちょっと涙がでました。魔女の誕生…つまり女性の自由の獲得というか女性賛歌映画だったんだ!というところまで行くのは意外も意外でございました。
でも、この後魔女狩りやらなんやらでこんな女性たちが火あぶりにさせられたりしたんだなぁ…なんてことを思うとやっぱほんとうに魔女狩りって最悪な歴史だな!と改めて思ったり…。
ともかく、様々な散々な目にあい家族に疑われ、そしてすべてを失った一人の女の子が、やっと居場所を見つけ自らを解放するその一瞬の救いの飛翔に泣いた…!そんなまさに魔女とはなんだったのか…という「ウィッチ」。いや~素晴らしかったです!