【映画感想】「ネオン・デーモン」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 

ネオン・デーモン

 

君の膵臓をたべたい!

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監督: ニコラス・ウィンディング・レフンさん

脚本: ニコラス・ウィンディング・レフンさん、メアリー・ローズさん、ポリー・ステンハムさん

出演: エル・ファニングさん、キアヌ・リーヴスさん、ジェナ・マローンさん、他

原題: The Neon Demon

上映時間: 118分

お話: エル・ファニングがモデル業界に入ります

好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点

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こちらでは公開されなかったレフン監督最新作「ネオン・デーモン」をソフトで観ました。すごくおもしろかったです!(°∀°)b 「ドライヴ」や「ブロンソン」など大好きな作品もありつつ、前作「オンリーゴッド」がどうもあまりハマらなかった…さて今回は…という気持ちで観たのですが…。

 

お話を映画.comさんから引用すると、―――トップモデルを夢見て故郷の田舎町からロサンゼルスに上京してきた16歳のジェシー。人を惹きつける天性の魅力を持つ彼女は、すぐに一流デザイナーや有名カメラマンの目に留まり、順調なキャリアを歩みはじめる。ライバルたちは嫉妬心から彼女を引きずりおろそうとするが、ジェシーもまた自身の中に眠っていた異常なまでの野心に目覚めていく。――――という感じ。

 

 

なんの情報もなく観ていたので、開けてビックリ。レフンの新作はおもしろホラーでした!

 

この映画の中心は「美しさ」ですね。みんな「美しさ」を貪欲に求める人々だらけの暗黒モデル業界が描かれます(`∀´)そんな暗黒世界に天性の美しさを持ったエル・ファニングが迷い込むというオズの魔法使いのような少女の成長譚とも観れるのがこの映画。

 

エル・ファニングはほんと天使的に美しいんですよ。でも、同時にまわりの悪魔性をさらに増長させる劇薬的な役割にもなってて。彼女はたしかに最後に消費されるんだけど、消費させてるようにも見えるというか。天使の皮を被って世界に劇薬をぶっかけに来た存在にも見えるのがおもしろかったです。

 

 

美しさとか美というそもそも抽象的であやふやな概念を求め続ける不毛さというか終わりのなさのお話でもあったなぁと思うんですよね。貪欲に美しさを求める彼女たちの姿はホラー的だけど、同時に確実にブラックコメディ的な風味もあってすげぇシニカルな感じも好きでした。この映画ではその美しさというものをなんども食べ物にたとえるというセリフや描写がとてもたくさん出てきます。これが、最終的なオチへの伏線にもなってましたね。まさか食人映画だったとは!君の膵臓をたべたい!という映画でございました。圧倒的になにかを持ってるエル・ファニングちゃん。この子を食べちゃえば、私もあのこの美しさを手に入れることができるんじゃないだろうか…というこの貪欲すぎる美しさへの執着は誇張しまくってはいるけどなんだかいろんなものに通底する考えだなぁというか、才能があるやつとないやつの物語としても観れたりしました。

 

 

なかでもメイクアップアーティストでありレズであるルビーさんがとても印象的なキャラクターでした。エル・ファニングのあまりの美しさにほれ込み、エル・ファニングを思いながら死体でオナニーしたり、最終的にはエル・ファニングを取り込んだ後、月の光を浴びながら恍惚とした表情で全裸で生理の血を床にだだ流しにするというけっこうビックリ描写の連続でね(笑) 彼女のいろんな感情が曲がりまくった姿は爽快感すらあったり…。あの生理シーンはなんだったんだろうな…。女性性をパワーアップさせたということなのだろうか…。すげぇ笑えるシーンでした。

 

というわけで、今回はすげぇエンタメでしたよ!美しさというものを貪欲に求め続けた女性たちのなれの果てが観れる美をテーマにしたホラーとして新鮮な1本でした。