【恋愛映画を観よう その3】「突然炎のごとく」(1962年) | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 

恋愛映画企画を観ようという私の個人的なセラピー企画の第3弾です。最近律儀に午前十時の映画祭をちゃんと毎回観てるのですが、そこで初めて観た「突然炎のごとく」がむちゃくちゃおもしろい恋愛映画だったのでちょろりと感想を書いておきます。

 

 

 

↓↓ここまでのおさらい↓↓(リンク貼ってあります)

【恋愛映画を観よう その1】「ベストフレンズ・ウエディング」(1997年)

【恋愛映画を観よう その2】「ある日どこかで」(1980年)

 

 

 

 

 

 

そーす太郎の恋愛映画を観ようシリーズ その3

「突然炎のごとく」(1962年)

 

最強の元カノ、ジャンヌ・モロー

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監督: フランソワ・トリュフォーさん

脚本: フランソワ・トリュフォーさん、ジャン・グリュオーさん

原作: アンリ=ピエール・ロシェさん

原題: Jules et Jim

上映時間: 107分

お話: ジャンヌ・モローが男2人を振り回します

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というわけで初見だった「突然炎のごとく」、めちゃくちゃおもしろかったのです。おしゃれな三角関係恋愛映画かと思いきや、後半ホラー的な展開になっていくあたりがとても最高。映画内のセリフで「彼女は地上では幸せになれない。幻なんだ。」というセリフがありますがまさにその通り。この映画、圧倒的な中心・圧倒的強者であるジャンヌ・モローが周りの人間をひたすら振り回していく。そして、ジャンヌ・モローという存在が幽霊のように、呪いのように、男たちに付きまとい…男たちにとっては悲劇的なラストを迎えていく…。ほんと後半はホラー的!すげぇおもしろかったです。

 

 

とにかくジャンヌ・モローがすごかった!!いやこの映画のジャンヌ・モローってほんと一言で言うともうめちゃくちゃ勝手でわがままでほんとにやっかいな人間だと思うんですよね。さみしいからと浮気しまくるし、気持ちのテンションのアップダウンが異常だし、他人の気持ちというものを考えないし、というかメンヘラ感ヤバい…。でもだからこそ、みうらじゅんさん風に言うと「そこがイイんじゃない」という感じでさ、そここそが彼女の魅力になってるタイプのヒロインでした。嫌でもそっちに引き寄せられちゃう強烈な引力があるなという、難しいけどジャンヌ・モローだからこそなし得たキャラクターとしての圧倒的な説得力が彼女にはありました。

 

散々振り回し、エゴを押し通して、最終的には崖から車で笑顔で男とダイブという、その生き様はもう一周まわってカッコイイというか、もうここまでくると気持ちいほどで、男目線で見るとすげぇ悲劇的な最後だけど、ジャンヌ・モロー目線で見ると「もうやり残したことなんかないわ、私は生きたいように生きるのよ」とでも言うかのような、彼女目線で見るとハッピーエンドともとれるんじゃないかなぁと思いましたね。

 

 

あと何と言ってもこの映画がとても良かったのは、ジャンヌ・モローに振り回される男ども2人の気持ち・弱さ・ダメさがめちゃくちゃわかって…、いろいろ身に覚えがある男という生き物のダメさがとても良く描かれていたところだったりしました。僕らの(勝手に複数形w)永遠のテーマ、「なぜ男は元カノに言い寄られると易々と応じてしまうのか、ノコノコと付いていっちゃうのか」という、そういう映画として僕はこの映画を観ました(笑) こいつとはもう終わったんだから、ひどい目にあったでしょ?と、でもなんでまた彼女がションボリ信号をだして「来て…」なんて言われたら、なぜのうのうと付いて行ってしまったんだ…!というのがラストのあるキャラクターの選択における普通の人間の感想かもしれないんだけど、でもここで戻っちゃうダメさが僕にはすげぇわかるというか、身に覚えがあるというか…、これはいやがおうにも男という生き物が「必要とされている、可能性がある、方に引っ張られちゃう」という性(さが)のせいなんだろうなぁと思うんですよね。映画「さんかく」の解説で宇多丸さんが言ってたのかな?「男は『可能性』に引っ張られちゃう生き物」なのだと。この映画もまさにそうだったんじゃないかな。あのジャンヌ・モローが俺を呼んでいる。あのジャンヌ・モローがもしかしたら俺のものになるかもしれない、と。でも彼の元カノは人類最強の元カノジャンヌ・モロー、もちろんそんなことにはならず、崖から落ちていくのでありました…。そうです、男はいつでも元カノという亡霊から逃れられないどうしようもない生き物なのです(ダメな文章w)

 

 

個人的なお話パートに入りますが、このジャンヌ・モロー演じる女性の中身がすっげぇ今まで付き合った元彼女の方々の要素を集結させたような女性で…。特に最近まで付き合ってた人がまさにこのジャンヌ・モローにめちゃくちゃ似てるというか、「突然炎のごとく観てそんなこと言ってたの?」って疑うレベルでまじで同じような人だったんですよ…。そいつがとにかく勝手でわがままで、基本的にわがままな子は大好きな僕ですが歴代トップのわがままさだったんだけど、でもそこがいいんじゃないという感じだったんだけど、いろいろ合わなくなり別れたのですが。そんな元カノが最近バシバシさみしいアピールというミサイルを撃ち込んできましてね、まぁ別に彼女いないし…とノコノコ元カノと飲みに行ったり家に行ったりしちゃうという沼に入ってしまう。ほんとに男ってダメな生き物だなぁと思うんですよね(他人事かーい)。 ああ、最終的に僕も車で崖に落とされちゃうのか…?とこの映画を観てまじで怖くなりました。それくらい元カノがこの映画のジャンヌ・モローに似ていたのでした。基本的にオンナ優勢型の恋愛が好きなので、そんなわたくしにはグサグサ刺さった映画でした。恋愛とホラーは紙一重だね!