LION/ライオン 25年目のただいま
好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点
子供にとって最大の恐怖、それは迷子
アカデミーでもいくつかにノミネートされていた「LION」を観てきました。良い映画でしたよ~。
インドで迷子になった5歳の少年が、25年後にGoogle Earthで故郷を探し出したという実話の映画化でございます。1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで来てしまう。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長。25年後、友人のひとりから、Google Earthなら地球上のどこへでも行くことができると教えられたサルーは、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる。というお話。
まず前半の幼少時パートがすごかった。子役の演技がすごいのももちろんですが、撮影がとにかくすごい。インドの広大な自然の見せ方からの、電車に間違えて乗っちゃったときの閉鎖感のギャップ。そしてカメラが常に子供の目線の高さで統一されていることで感じられる「ヤバいところに来ちゃった」という恐怖感がものすごく出ていました。
とにかくこの子↑がすごいんですよ。めちゃくちゃ可愛いし、無邪気だし、可愛くて可愛くて、なので、もうね眠たくなって寝ちゃって、電車に閉じ込められちゃって、まったく知らない土地に来ちゃったあのもうどうにもならない感と彼の「どうしよう」というあの顔にやられっぱなし。あまりの絶望感に泣いてしまいましたよ。。みなさんも子供のときに迷子になった経験、一度はあると思うんですが、個人的に子供にとって一番の恐怖は迷子になることだと思ってるので、もうめちゃくちゃ怖かったです…。描き方がうまいのも相まってましたね。この前半で何気なく見せる建物や小道具や風景が後半に効いてくる感じもうまいな~と観終わってから思いましたね。
で、迷子の少年はなんやかんやありまして、遠く離れたオーストラリアでニコール・キッドマンの里子になって、、
ルーニー・マーラの彼氏に。顔はスラムドッグ・ミリオネアな感じになりました。
映像だけは浮かぶけど、それがどこでいつでという、細かいことは子供のころだからわからないっていう映像って僕もあるんですが、大人になってふらっと故郷に帰ったりすると、「あ、ここだったのか!」と記憶がよみがえることってあるじゃないですか。それが、今回はまさかのインドだった!という…。グーグルアースで自分の故郷を探していく過程をもっと見たかったなぁというか、最終的にやみくもにパソコンを動かしてたら「あ、あった」という、あんだけ調べて最終的に「運」かよ~というのはちょっと残念でした。もうちょい謎解き映画として後半をしっかり見たかったなぁなんて思ったり。
インドの孤児だった少年が最終的にルーニー・マーラの彼氏になっちゃうんだから人生何が起こるかわからないね!という僕のバカな感想は置いとくとして(笑) 自分はなにものなのか、とアイデンティティをとりもどしていく映画としてとてもおもしろかったし、主人公の彼と対比して描かれる弟の存在とニコール・キッドマンの後半のあの涙がこの映画の真摯なところだと思いました。