「ROOM237」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。





ROOM237
2月2日(日) 14:30~ 渋谷シネクイント


好き度: ★★★☆☆ /5点

シャイニングヲタクたちによる深読み選手権開催


以前、映画秘宝で高橋ヨシキさんがコラムを書いていた時から気になっていたのですが、まさか劇場公開するとは思っていなかったので(゚д゚) シネクイントで観てきました~!

この映画は、キューブリックの「シャイニング」についてのドキュメンタリー。要はシャイニングという映画について屈指のシャイニングヲタクが集まって、シャイニングに隠された意味やキューブリックの込めたメタファーなどをひたすら深読み、いろんなシャイニングヲタクの「俺の考えたシャイニング論」をひたすら聞かされる、シャイニング深読み選手権開催!みたいな映画なのです。

これが、「それはないだろ~」っていう論や、「おっ!これは、、そうかもしれない……!」っていう論があったり、とにかくこの映画おもしろかったですよ!

まずこの映画のうまいところというか、妙に納得しちゃう要因として、「論者の顔がでない」ということですね。論者の声だけが流れて、その画面にはシャイニングの検証映像が流れたりするのですが、画面のほとんどを占めているのがシャイニングの映像ではなくて、様々な映画の映像を組み合わせたイメージ映像の数々。キューブリックのほかの映画はもちろん、ヒッチコックやトリュフォーやベルイマンとか映画から、最近の「アポカリプト」とかまでとにかくいろんな映画の映像を切り抜いては貼り付けて、これは権利の問題とか大丈夫なのかな~?w と、余計なお世話をしちゃうくらいのイメージ映像を作って映画に入れ込んでいるのがおもしろいです。

シャイニングのオーバルックホテルの構造はおかしい。どこにも通じていないドアや構造上ここにあるのはありえない窓、などなど構造上おかしいところがいくつもある。他にも、さっきまであった椅子がカットが変わり戻ってくると消えていたり、カットが変わるとカーペットの模様が逆になっていたり…

↑有名なボールが転がってくるシーン。カットが変わるとカーペットのもようが逆に!


などなど、「キューブリックは、画面のひとつひとつの要素に意味を持たせる監督だから、すべて意図したことである!」と、他の映画だったり監督だったらただの演出ミスになりそうなところも、ここに出てくるヲタたちはキューブリックが意図して演出した要素だと信じきっているので、その細かい演出、小道具、ミスに見えるものなど画面の重箱の隅まで全ての要素から、シャイニングという映画に込められた意味を深読みしていくのです。一瞬映るポスターの文字からステッカーまで…

これ見て思うのが、やっぱキューブリックってすごいな!ということ。まったく同じ映画を違う監督が撮っていたら、ここまで熱を持たせる論の数々を生んでいただろうか?ということですよね。キューブリックという存在がどれだけデカイものなのかを再確認できます。

ほんとにいろんな論が出てくるのですが、中でもおもしろかったのがいくつかありました。
「NASAの月面着陸は、2001年を撮ったキューブリックが撮ったフェイク映像である。だから、月面着陸はなかった!という事実を僕らに知らせようとヒントを散りばめているのだ!」という論。「ホテルの禁じられた部屋が217から237に変わったのは、実在の部屋番号を避けたのではなくて、地球から月までの距離が237000マイルだからだ!」とか、「ダニー坊やが着ているアポロの服。ダニーが立ち上がる場面はアポロの打ち上げを意味しているのだ!」など、さすがヲタ、ほかにもいろいろな要素がロジックとして出来上がっていて、あっているかいないかは置いておいて、完成されている論は、とてもおもしろい!!


ほかにも「白人によるインディアンの虐殺のメタファーが込められている!」

という論(←これが一番納得度が高いかも?)や、「ジャック・ニコルソンが使っているタイプライターはドイツ製であり、これの色が白から後半黒に変わる。これはナチのホロコーストの象徴であ~る!」という論(←これも納得度は高かった)などのまともな論から、その他、笑っちゃうようなトンデモ論までとにかくいろんな人のシャイニング愛に満ちたシャイニング論を聞くことができます。

タマフルたわわちゃんさんのYOSOU企画同様、その論があっているかあっていないかは関係ない。自分なりに構築したロジックを楽しむこと!いろんな人の、「キューブリックはシャイニングにこういう意味を込めている!」というYOSOU企画!人の構築されたロジックを聞くのが好きな僕はとってもおもしろかったです!



あと、これを機に久々にシャイニングを観たのですが、やっぱり、すげぇ画面が気持ち悪いんですよね~。とくにダニーぼうやの三輪車おっかけ場面はほんとうに。。。



この機会にもう一回見てみるのがおすすめ!

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海外版はもう出てますね~

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◆◇そーす太郎的注目ポイント◇◆


シャイニングヲタのみなさんの熱量




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スタッフ

監督
    ロドニー・アッシャー
製作
    ティム・カーク
音楽
    ジョナサン・スナイプス


作品データ
原題     Room 237
製作年     2012年
製作国     アメリカ
配給     ブロードメディア・スタジオ
上映時間     103分
映倫区分     G