「もらとりあむタマ子」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




最高のぬるま湯


もらとりあむタマ子、新宿武蔵野館1番スクリーンにて観てきました。武蔵野館の1番スクリーンはスクリーンの位置が低すぎてあんま好きじゃないんだけど、最近の武蔵野館はラインナップが充実していてありがたいですな。

というわけでもらとりあむタマ子、想像してたよりもすげぇ良かったです!

Mオンの企画で山下監督が前田あっちゃんでショートムービーを撮った、タマ子シリーズがぼくは以前から大好きだったのです。

 


とにかく、この4本の動画がとっても好きだったのです!しかし、これを映画化だと?とちょっといろいろ心配になりましたが、しかし!山下監督だしあっさんでてるなら、それだけでなんかおもしろそうじゃん?とけっこう楽しみにしていたのです。

というわけで、この映画。とにかく画面が超気持ちいいんですよね。ある種、アニメーション見てるみたいな印象でした。宇多さんがかつて「けいおん」評にて『最高のぬるま湯』ということをおっしゃっていましたが、この映画こそ最高のぬるま湯。そういう意味では「もらとりあむタマ子」は「けいおん」などのアニメーションを見てて気持ちいい部分と非常に近い気がします。そして「けいおん」といえば、同じく山下監督作品である「リンダリンダリンダ」を想起せざるを得ないわけですよ。

 

 

 

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特に前半なんかは、とにかくタマ子がダラダラしてるだけ、なんです。が、映画自体は全然ダラダラしていないのがすごい。意外とテンポがいいし、すごくおもしろみに満ちた演出、絶妙なセリフ選び、そしてフード!オムニバス調というのがいいのかもしれませんが、季節が変わるごとにタマ子がすこーしずつ変わっているように見える感じが、その微妙な変化がふとしたセリフや演出で見えてくるのが山下監督うめぇ~と改めて思い知らされましたよ!この映画、下手な人がとったら目も当てられないような映画になっていたと思いますし。(あの人とか、あの人とか…)

父親とのやり取り、中学生とのやり取り、元同級生とのやり取り、すべてがおもしろかった。その中心にいる前田敦子の限りなく素に近いと思われるハマりっぷり。絶妙にかわいすぎないバランス、ブスだな~wって思うところもあれば、ふと見せる表情とかうわ~かわいいと思うところもあってタマ子として完璧だと思います。

そして中学生!超よかった。タマ子と中学生のやりとりはすべて最高でした。
ラストカットもすげぇ好きです。俺も久々聞いた「自然消滅」ってw

モラトリアム期ってたぶん誰にでもあるじゃないですか。ダラダラしながら自分でも気づいてるんですよ、「あぁ今時間無駄にしてるなぁ。」と。で、ハタからみたら「ほんとなにやってんだ!」って思われたり無駄な時間だった。。。と思われる時間も、振り返ってみれば愛おしい時間だったのかもしれないじゃん?っていう暖かいなにかを感じました。

あと、DOCUMENTARY OF AKB48の2作目の前田敦子を通過した今、個人的に前田敦子に関しては応援の気持ちしかないので、女優として山下作品や黒沢作品に出て順調にステップアップしてる感じはすごく感慨深いですな~。なんて思ったり。

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というわけでもらとりあむタマ子、ぼくは非常に楽しめました。すっげぇおもしろい!ってわけではないんだけど、おもしろ”み”に満ちていて、心地良い!

そしてやっぱり、山下監督この素材で最高の料理をしたと思います。やっぱ腕あるなぁ~(超上から目線w)



おわり



「肉ってなんだ、豚か?」
「ぎゅぅぅぅ」

こういう声に出したいセリフばかり。