正しい教室、最終日のマチネ。
ブルーシアターで観て以来の2回目、が私も最後。
ここまでチラリとも歌を歌わない芳雄くんを観ることはおそらく今までなかったと思います。
あ~、いや、冬熊はなかったか。でもあれは全体的に奇抜すぎて静けさやピリピリした劇場っていう感じがなかったからな。
考えるとか共感するっていう場面も皆無だったし(つまり全然理解できなかった)。
ロマンスもテンポ良いお芝居だったし(歌もあったらしい、記憶にないけど)、こまつ座も音楽が添えてあった。
そんなちょっとテンション上がらないままの劇場入りでしたが、久しぶりのパルコ劇場は居心地は悪くなくて。
トライアングルの2作品の前には、中井貴一さんとりょうさんのお芝居を観たっけ。
「正しい教室」
今回は、すっかり忘れていたシーンもあり(たった1か月前の記憶なのに)、トイレにも行きたくなることもなく(これ大事)、けっこうしっかり、観ることができました。
寺井先生がね、なんだかすごくいい先生に感じたんですよ。
え~~あんな先生ありえないでしょ、ってのももちろんあるんです。六本木での初見では「やな先生だな」と単純に思った。
でもね、この人、子供たちのこと、個人的な好き嫌いはあっても、その人権を否定するような「嫌い」は誰にも持ってなかったんだろうし、誰のことも、無視なんかしないで生徒としてちゃんと見てたんだなって。
だから菊地委員長のことも、個人的には嫌いだったって言ってたし、そう接してたし、それを委員長もわかってて、嫌われて傷ついた3年間を過ごした。
寺井先生が「でもお前、それで何かゆがんだか?」というようなことを委員長に言うんですね。
「ゆがんだ」の大きさが、不良になるとか人の道を踏み外すとか・・そういうことだとしたら委員長にはなかった。
でも、心の傷があって、それでちょっと八方美人な先生になっちゃって、それが裏目に出て・・それが「ゆがみ」だとしたら、やっぱり原因は寺井先生か・・。うーーーん。
でも、菊地くん、一生懸命だったんだろうな。先生に好かれたかったんじゃないかな。
それで反面教師にして、いい先生になったんじゃないかな?ほんとにいい先生なんだけど、いい先生であり続けるために、全部うまくやろうとしちゃったんじゃないかな。
「親や生徒が先生を選ぶ時代なんだ」っていうのがね、すごくつらかったですね。
ほんとにそうなんだよなぁ。ちょっとしたはずみで、ツイッターだのなんだので、いいことも悪いことも半分以上は・・ウワサだったり又聞きだったり、尾ひれがついてたり、逆にだいぶ省かれてたり・・なのにね。信じるに値しない情報が多い、ってわかってはいても、読んだら「あぁそうなんだ」って思っちゃう。
そういう時代に先生になった菊地委員長が、あっちもこっちも「頑張っていい先生」でいるために奮闘してるのもわかります。
それからアパッチ。客席からの笑いをいつも上手にとっている大事な存在。
でも、彼の涙ながらの「会員になってください」が、もう笑えなかったですね。
自分はちょっとしたいじめられっ子な存在だったのか、ってあの場でわかったことも、ほんとは借金だらけで大変なんだってことを暴露したときも。
番長じゃないけど、しょーがねーなぁ、おまえは!って手を差し出してあげたかった。
寺井先生が、最後に「食事したのかメモみないとわからない」って。
あんな悲しいシーンだったかな・・、笑ってる人もいたけど、涙あふれちゃいました。
ボケたおじいちゃんになっちゃったからもういいや、っていうんじゃない。
あの、闘ってた相手の「寺井先生」が今そこで、震える手でメモを探してることにせつなくなる。ユキに「なんでこんなふうになっちゃったの」って委員長が言ってた。
寺井先生だってなんでそんなになっちゃったの、って、言わないけど、あの同級生たち思ってたように感じました。だから、カレー一緒に食べてもらったんじゃないかな。
ユキと息子のことも、妹が最後ずっと、何を考えていたのかも、わからないこともあるけどもうそのまま、観終わってナゾのまま。
あぁでも、このクラスはああいう形ではもう二度と会わないんだろうな。
それともまた集まるのかな?少しは鎧が取れた状態で会えるのかもしれない?
でもそのとき寺井先生はいないんだろうな。生きてても来ないんだろうな。
だからあの同窓会はあのメンバーでは最初で最後だったんだろうな。
そんなことを、夕暮れの教室での最後のシーンで考えて終わったのでした。
もう一度観て、良かったです。