12/8(金) キュビスム展 ③レジェとファン・グリス | そんな感じ。 since March 28, 2005

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2023年12月08日(金) 晴

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【5.フェルナン・レジェとファン・グリス】

 

23 フェルナン・レジエ・とファン・グリス Fernand Leger and Juan Gris

 

ブラックとピカソが創造したキュビスムは、新しい表現を求める若い芸術家たちの間に瞬く間に広がり、多くの追随者を生みました。

なかでもレジェとグリスの二人は、カーヴァイラーによってキュビスムの発展に欠かすことのできない芸術家とみなされます。

1907年のセザンヌの回顧展を見た後、レジェの作品は構築的となり、1910年には《縫い物をする女性(no.38)》のような最初のキュビスム絵画を描きます。

レジェは、ドローネーとともに豊かな色彩表現を追求するとともに、「コントラスト(対照・対比)」という概念を自らの制作の原理とし、直線と曲線、色彩同士など様々な要素が織りなす二項対立的構造によって動感のある画面を作り上げ、それは抽象海外へも発展しました。(no.40)

スペイン出身のグリスは、1906年にパリに移り、ピカソと知り合います。

1911年より本格的に油彩画を描くようになり、《本(no.41)》に見られるように、彼もまたセゼンヌを学ぶことから始めました。

鮮やかな色面を組み合わせて、対角線や水平線、垂直線を強調した厳格な構成を持ちつつも複雑な空間を特徴とする静物画を多く描きました。


【バトー派とピュトー派の繋ぎ役】


ファン・グリス(スペイン人):→ピカソと同郷だがピカソ、ブラックのザイルの絆には入れない。マティスと仲良し。
マティスをキュビスムにした男『白とバラ色の頭部』
1927年 40歳で亡くなる。

 

ファン・グリス 『楽譜』 1913年12月~1914年1月

ファン・グリス 『朝の食卓』 1915年10月(第一次世界大戦後の作品)


フェルナン・レジェ: フランス人。 建築製図の仕事をしていた。


日本初出品 1911~1912年 「婚礼」 フェルナン・レジェ(レジェは円筒が好き→チュビズムと揶揄される。)

【ピュトー派】
①ピュトー派(レイモン・デュシャン=ヴィヨン、フランティセック・クプカ、ジャック・ヴィヨンらのアトリエが集中していた地域)

②モンマルトル・キュビスト(集合アトリエ「ラ・リュッシュ(蜂の巣)」がある場所)

③サロン・キュビスト(バトー派がギャラリーで作品を発表したことに対して、展覧会で作品を発表したことからそう呼ばれる。)

④セクシオン・ドール(黄金分割)

 

 42 ファン・グリス 《ギター》 1913年5月 ポンピドゥーセンター蔵

 

 43 ファン・グリス 《ヴァイオリンとグラス》 1913年 ポンピドゥーセンター蔵

 

同郷のピカソが住む「洗濯船」を拠点としたグリスは、挿絵画家として活動後、1912年にキュビスムの画家としてデビュー。

以後、パピエ・コレや木目模様の描き込みといったピカソとブラックによる様々な発明を吸収し、明晰な構図と異なる質感の巧みな描写、鮮やかな色彩を特徴とする独自のキュビスムを展開した。

 

1913年の南仏セレの滞在を経て制作された本作と《楽譜(no.44)》は、いずれもカンヴァス自体がテーブルに見立てられ、断片化されたグラスや楽譜、楽器などのモティーフが折り重なっている。

緑色のグラスには、フランス語で「ヴェール」と発音する「グラス(verre)」と「緑(vert)」を掛け合わせた視覚的な「韻」が表されている。

 

 44 ファン・グリス 《楽譜》 1913年12月-1914年1月 ポンピドゥーセンター蔵

 

 38 フェルナン・レジェ 《縫い物をする女性》 1910年 ポンピドゥーセンター蔵

 

 39 フェルナン・レジェ 《婚礼》 1911年-1912年 ポンピドゥーセンター蔵

 

1900年にパリに出たレジェは、はじめは印象派に影響を受けるが、1907年のセザンヌ回顧展に感銘を受け、形態の幾何学化や単純化を推し進めた。

1911年以降、「サロン・キュビスム」を代表する画家として活躍し、円筒形(チューブ)を多用した独自の表現によってキュビストではなくチュビストとも呼ばれた。

1912年のサロン・デ・ザンデパンダン出品された本作には、街中を行進する結婚式の行列が描かれている。

中央にピンクがかったドレス姿の花嫁とタキシード姿の花婿がおり、人々の手や頭部の断片が二人を取り囲んでいる。

鮮やかな色面の導入や、行列のダイナミックな運動感により、結婚式の祝祭的な活気溢れる様子を伝えている。