5/24(金) 法隆寺宝物館 2階 | そんな感じ。 since March 28, 2005

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日常生活の中で、ふと感じたこと。

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2019年05月24日(金) 晴

 

法隆寺宝物館2階は金工品を中心とした国宝が目玉です。

 

 

金工品は、仏具(仏教関係の用具)が中心をなしており、用途の上から供養具、僧具、密教法具、梵音具等に分けられる。

これらの制作磁気は飛鳥から奈良時代を中心に江戸時代までにおよび、中国や朝鮮半島で制作されたり、その強い営業を受けてわが国で制作されたものも少なくない。

なかでも器形や装飾意匠に古代ペルシアと唐時代の中国の色濃い交流が認められる竜首水瓶(りゅうしゅすいびょう)をはじめ、わが国最古の柄香炉である鵲尾形(じゃくびがた)柄香炉、天平8年(736年)に光明皇后が法隆寺に奉納したことが知られる2面の海磯鏡(かいききょう)、聖徳太子が法華義疏(ほっけぎしょ)を執筆する際に用いたとの伝承を有する墨台、水滴、匙等は、法隆寺献納物の金工品を代表する名品である。

 

↑の解説の赤文字にした品々はみな国宝です。

そして2019年10月14日(月)からトーハクで開催される「正倉院の世界展」の目玉としても扱われています。

それが今ならガラガラの展示室での~んびり見られて、写真も撮り放題です☆

 

20190524_1947 国宝 竜首水瓶 (りゅうしゅすいびょう) 銅製鋳造鍍金・鍍銀 飛鳥または唐時代 7世紀

全高49.9 胴径18.9

 

竜をかたどる蓋と把手を付けた勇壮な姿の水瓶。

胴には四頭のペガサス(天馬)の線刻。

緑色ガラス製の竜眼がカッコ良い。

 

20190524_1948 国宝 鵲尾型柄香炉 (じゃくびがたえこうろ) 真鍮製※鍛造(たんぞう)鍍金

飛鳥時代 7世紀

 

※鍛造(たんぞう): 金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形する。

 

柄端の形が,鵲(かささぎ)の尾に似ることからこの名がある。

聖徳太子の師,慧慈法師所用との寺伝がある。

 

国宝 墨台・水滴・匙 銅製鋳造鍍金 奈良または唐時代 8世紀

 

『銅板に金メッキした金銅製の文房具。

法隆寺では、この3種と黒漆塗りの縁をもつ瓦硯(猿面硯)とを一式として、聖徳太子が『三経義疏』(さんぎょうぎしょ)を執筆したときに用いたものと伝えている。』

 

解説文を読んで、「へぇ~、これを聖徳太子が使ったんだ~!」と諭吉の前の壱万円札を知っている世代としてはテンションがあがるんだけど、飛鳥時代を生きた聖徳太子(574~622年)がどうして“奈良または唐時代”制の品を使えるの???

単に法隆寺が聖徳太子が使ったと言ってるだけで、実は奈良時代のものだよ~ってこと???

 

 

『水滴(水注)は袋形で、側面に楕円形の窓を作って中に鳳凰と花弁を毛彫で表し、底の三方に猫脚を鋲留してある。』

 

水滴というより水盂(すいう)という感じの形状ですね。

 

 

『水滴から水を汲む匙は、蓮弁形、ひょうたん形、柳葉形の3支(個)で、いずれも匙面は浅く、丸く作った柄は微妙な曲線をなしている。』

 

一滴、二滴の水加減で墨の色を調整するような書をつづったことなど勿論ない私は、最初、何の為の匙なのか分からなかった。

バターナイフにしか見えないし。

墨を練るのに使ったのかしら?なんて思っておりました。

なるほど水匙なんですね。

三つとも先端が尖っているところがポイントなんですかね。

家でバターナイフで実験してみたら、たしかに一滴ずつ水が落ちました。

匙面は浅いのも、少量の水を汲み、一滴単位の調整をする為の道具だからでしょうか。
 

20190524_1951 国宝 海磯鏡 (かいききょう) 白銅製鋳造  唐または奈良時代 8世紀

 

海磯鏡は二つあって、二つとも国宝でしたが、一つしか写真を撮らなかったのは残念。

 

 

細かい仕事がなされていいて、魚?か舟に乗っている人の姿もあります。

 

国宝 竹厨子 (たけずし) 竹製 木製(棚板) 奈良時代 8世紀

※厨子(ずし) : 仏像・仏舎利・教典・位牌などを中に安置する仏具の一種。 龕(がん)とも呼ばれる。

 

竹製の物が、1,300年も残ったというのがすごい。

 

20190524_1955 重要文化財 撥鏤針筒 (ばちるのはりづつ) および蓋 奈良時代 8世紀

 

撥鏤(ばちる)など奈良時代に盛行した装飾技法による針筒。

 

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他にも2階展示室には柄香炉などの仏具が沢山展示されていて、ほとんどが重文です。

正倉院宝物も法隆寺宝物と同じくらい価値があると思うのですが、国宝や重文指定されてないのが不思議。

その理由を調べてみたら、正倉院御物は天皇家の所有物であり、戦前からの慣例で文化財保護法による国宝・重要文化財の指定対象外となっているからみたいです。