2016年06月17日(金) 晴れ
白金台のOslo Coffeeでランチを頂いて、歩いて数分の松岡美術館へ。
こちらの美術館のこと、全然、知らなかったのですが、白金台のレストランの地図を見ていて、「こんなところに美術館があるんだ!」と気が付いて、HPを見たら『シャガール、ヴラマンク、キスリング... 館蔵7作家によるヨーロッパ近代絵画展』が開催中。
お~~、大好物のヴラマンク!ということで早速、やって来ました。
会社経営をしていたい松岡清次郎氏が一代で蒐集したコレクションを、遺族が松岡氏の遺志を継いで自宅だった白金台に美術館を完成させたのが、2000年の4月。
現在は松岡地所株式会社の美術部門として運営されているそうです。
入館料は100円割引で700円。
「猫の給仕頭」 ジャコメッティ 1912年
ジャコメッティの「猫の給仕頭」は、こちらの美術館オリジナルトートバッグのモチーフにもなってます。
横たわる女,肘 ヘンリ・ムア 1982年
古代オリエント美術から、現代彫刻、宋代~元代の陶器、ガンダーラの仏像、西洋絵画とコレクションのジャンルが幅広い。
現代彫刻の展示室から見る「ペネロープ」(エミール=アントワーヌ・ブールデル作 1912年)
オデッセウスの妻ペネロープは、トロイ戦争で夫が行方不明になった後、再婚をせまる男達に「舅の死に装束を織り上げるまで待って欲しい。」と、昼間は機を織り、夜になると糸をほどいて、夫の帰国を待ち続けたというお話。
ガンダーラ彫刻 3~4世紀
仏陀立像だっけ? 菩薩立像だっけ?
アクセサリーをつけているから菩薩かな?
ガンダーラの菩薩像や仏像はイケメン揃い。
2階の西洋絵画の展示室。
ヴラマンクが8点ありました!
『平凡な風景を心のままドラマティックに表現するヴラマンクの作品は、「目を引き付けるのではなく、魂をつかむ」と評された。』
と解説文にかかれていましたが、“魂をつかむ”って、まさにその通りだわ!
ヴラマンクについては、過去に書いたので、記事の一部を再掲↓
何故かヴラマンクの作品に出逢う度に強く惹かれる。
冷たく凍てつくような灰色の空、人気のない家、雪が降り積もった道。
荒涼とした風景だが、強い筆致で描かれたその世界は、見知らぬ光景である筈なのに、ある種の懐かしさを感じさせる。
その絵の中の風景に立つと、誰もおらず、一人なのに、非常に心地良い孤独感、絶望的でない孤独感に浸れるのだ。
何故、私はこんなにもヴラマンクに惹かれるのだろうか?
ヴラマンクって、どんな画家だったの?
展覧会に来る前に、ヴラマンクの略歴をざっと見てみたら、音楽の才能もあり、運動神経も良かったらしく競輪選手として稼いでいた時期もあったとか、詩作、文芸にも優れているとか、どんだけ多才なのよ!?
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ヴラマンク(Maurice de Vlaminck 1879―1958)はフランスの画家。
父がバイオリン奏者、母がピアノ奏者という音楽一家に育ち、自身もオーケストラで演奏し稼いでいた。
1893年から1896年(14歳~17歳)まで競輪選手として稼ぐ。
その間、デッサンの手ほどきを受けていた。
1897年から1900年まで(18歳~21歳)兵役に服す。
1900年アンドレ・ドランと出会い、セーヌ河畔のシャトゥーに共同のアトリエを設けて制作に励む。
1901年(22歳)、ゴッホ展に感銘を受け、後期印象派の影響のもと、強烈な色彩と激しい筆使いによる表現主義的な絵画を描く。
1905年(26歳)、フォービスム誕生を告げるサロン・ドートンヌに出品、フォーブの一員となる。
1907年(28歳)、セザンヌの作品との出会い構成的な方向に向かう。
1910年(31歳)、短期間ながらキュビスムに足を踏み入れる。
その後、自らのスタイルを確立。
黒、藍、白を基調にした暗く重苦しい色彩によって劇的で激しい風景や静物を描き、その作風は生涯かわることはなかった。
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ついでに、ヴラマンクの作品の価格を調べてみたら、1990年頃のサザビーズやクリスティーズのオークションで、フォーブ時代の作品は10億円越え、セザニアン時代が8,000万~、後年の静物画、風景画は2,000万~4,000万円くらいの値がついていたようだ。
「雪の中の村」 ブラマンク 1930年頃
※松岡美術館では、シャッター音や電子音を発しなければ、作品の撮影が許可されています。
「谷間」 ブラマンク 1930年頃 54歳頃
「カシの港」 モーリス・ド・ヴラマンク 1917年頃 41歳頃
「港のヨット」 モーリス・ド・ヴラマンク 1910年頃 31歳頃
このころには、フォーヴィスムは影を潜めている。
「シルヴィー嬢」 モイーズ・キスリング 1927年
お人形のような顔立ちの統失の知り合いにとても似てる・・・。
「マヨルカ島の女」 キース・ヴァン・ドンゲン 1911~12年頃 34~35歳頃
こちらの作品の女性にも狂気めいたものを感じる・・・。
ショートカットで、狂気を秘めたまなざしの女性がコレクター松岡氏の好みだったのかなと、ふと思った。
「スノンシュ森の落日」 ヴラマンク 1938年 59歳
今回、展示されていたヴラマンクの作品の中で一番、心惹かれた・・・というより心躍った作品。
森に沈む赤い太陽に、己の中の狂気めいた歓喜が沸き踊った。
観ていて妙なテンションが上がる作品。
美術館を出て、「千年茶館」があった辺りを散策。
銀座に移転してしまったのは残念。
白金台から地元に戻って、区役所へ。
マイナンバーカードの発行申請予約をしていたのだ。
区役所の屋上がガーデンになっているのを初めて知った。