能登半島地震で大きな被害が出た石川県で、自力での住宅再建やコミュニティー維持の難しさを理由に、安全なエリアへの集団移転を模索する動きが出始めている。同県輪島市門前町浦上地区の住民らは8月、地区内での集団移転と、住まいとなる公営住宅の建設を市に要望。集団移転についての住民の意見を取りまとめる動きは他の自治体にも広がりつつある。地震は9月1日、発生から8カ月となった。
・・・

 要望を受けた市は集団移転を全面的にバックアップする方針。今月3日開会の市議会に、候補地の測量費用を盛り込んだ補正予算案を提出する。

 集落が点在するよりも集まって暮らす方が、水道や道路などの維持費を抑えられる利点がある。東日本大震災の被災地でも、住宅や商業施設をまとめた「コンパクトシティ」が導入された。市の担当者は「持続可能なコンパクトシティの観点からも、まとまって暮らすメリットがある」と話す。

 ただ、これまで浦上地区内の集落で、住民の協議で集団移転の意向を固めたのは1カ所に過ぎない。市は住民側に、地区全体で意見をまとめるよう求めている。
・・・

 一方、能登町東部の沿岸部に位置し、地震前は82世帯195人が居住していた白丸地区。地震では激震だけなく津波も押し寄せ、火災まで発生した。今後も元の場所で暮らし続けることにリスクを感じる住民もいる。

 地区の住民で高台への集団移転を検討する委員会を立ち上げ、7月に初会合を開催。移転に関する住民アンケートや意見交換をした上で、結論をまとめることで合意に至った。

https://www.iza.ne.jp/article/20240901-PG72ZTR3AVNMLIZQFU6A2J7SNU/