夏休みの数日、どこに行くか考えました。
人の少ないところがいい。

そうだ、秘湯に行こう。

前から行きたい温泉があったのです。
川縁に黄褐色の湯をたたえた野天風呂、越後湯沢の観光ポスター。
そう、赤湯温泉山口館です。

連休です、恐る恐る電話をすると、あっさりと予約できました、これはあれか、相部屋か?

一抹の不安を抱えながら、新幹線で越後湯沢へ、そこから元橋までバスで行き、赤湯温泉山口館という看板から山道へ。




すぐ登り道です、汗が滴ります。
登って、そして一気に下ると川、澄んでいます。



あ、魚。

ここはまだとば口です。
立ち止まっている場合ではありません。
先を急ぎます…がまた一山越えます。
気づけば腕は汗だくで、自分が両生類にでもなったようにぬめぬめと湿っています。気持ち悪い。

余談ですが、山道なのに蛙がたくさんいました。
沢から登ってきたのかしらん。
枯れ枝と紛う蛇も、あとでジムグリだと知りました。

小さな沢を越えます。
顔を洗います、冷たい、汗が引きます。


しばらくはまた山道。
それを越えると林道に出会います。
ここまで約50分。



ソバナも咲いています。
フジバカマもたくさん。
夏山とはいいながら、少しずつ秋の花に近づいています。
林道は歩きやすいものの単調で、日差しが入ると暑い。岩の割れ目から水が垂れています、水溜りにはアメンボがたくさん。
30分ほど歩くと橋にぶつかります。ここに駐車場があり、行きは3台ほどでしたが、帰りには7台止まって満車でした。
さて、橋を渡り林道を歩くことさらに30分。
ときどき崖が崩れかけています、おそらく安山岩。



落石注意という看板がありますが、あれは何をどう注意したらいいのかしらん。
しばらく林道を歩き、再び山道へ。
汗が出ます、先を急ぎます。

…が、滝の前には休むしかない。



人工の土砂どめの滝ですが、綺麗な水です。
ちらっと魚の影が見えました、たぶん岩魚でしょう。
細かな水しぶきが川面を抜けていきます、涼しい。

ここからは再び登り、峠を越えねばなりません。
草は刈られていて歩きやすいです。
あとで聞くと山口館の主人が刈ってくださっているとか、ありがたいありがたい。



不思議と電波の通じるポイントをすぎ、峠の間は巨樹が美しい森です。
峠を越えて後はロープの張られた急な下りを降りた先に、鉄の橋が見えてきます。
その上流には、件の温泉が。



着きました。
早めに歩いて3時間15分。
目視できるということは丸見えということで。

ベルを押すと、驚きの偶然が待っていました。

(たぶん続く)