父「これなぁ…良いのか?」
私「私に聞かないで。このお金はおばあちゃんがお父さんに任せたものだよ。」
父「そうだね。」
父は通帳の入ったポーチをぎゅっと握りしめていました。
父「だめだな、」
私「何が?」
父「これはやっぱりななこが持っておいてくれ。」
私「良いの?」
父「これを渡しちゃったら落ちる所まで落ちてしまう気がする。それはだめだ、もうギリギリなのに…」
父は独り言のようにブツブツ呟いていました。
私「お父さんの判断にホッとしてるけど、でも事あるごとに返して欲しいと言ってこないでね?」
父「言わない、でもお母さんにはななこから返してもらったと言っていいか?」
私「言っていいも何も、私はあの人とは連絡取らないから。」
父「そうだけど、そういう事にしておく。そうじゃないと、さっきななこが言ってた…また襲いに来るかもしれないって事もあるかもしれないから、お父さんが持ってる事にしておく。」
私「同じ家に住んでて通用する?家中探されるよ。」
父「大丈夫。貸金庫に預けたでも、りくに待っててもらってるでも何とでも言えるから。お母さんりくには甘いだろう?」
私「そう。」
これで信用が戻ったわけでも許せたわけでもありませんが、最低な選択をしないでくれて良かったと思っています。
祖母の通帳を元母に渡していたら、私は父とも縁を切っていたかもしれません。
父「お母さんの話ばかりで悪いんだけど、訴えるつもりか?」
私「それも聞いてって言われたの?」
父「そうだな、心配はしてたよ。」
私「訴えたいよ。いきなり現れて怪我させられて、大切なものまで奪われたんだもん。」
父「ななことしてはそうだろうな…」
私「私のバッグとお財布あの人持ってたでしょ?」
父「それは持ってない!警察に迎えに行った後、さっきの駐車場で落とし物をしたからもう一度行きたいと言われて連れて行ったけど、無かったって言って戻ってきたから…」
私「こっそり車に隠したとかは?」
父「お母さん後部座席に座るから良くは見てないけど、あの日お母さんも疲れててそんな隠したりなんてしてないと思うぞ。」
いや、きっと駐車場のどこかに隠した私のバッグを取りに帰ったんだと思いました。
コートの中に入れてしまえば父なら気づかないはずです。
私「もし見つけたらこっそり持ち出して。」
父「うん。」
私「疲れた、休みたい。」
父「ああ、待ってくれ。お母さん訴えるって質問の答えは?」
私「まだ分からないけど、訴えたい気持ちはあるよ。」
父「警察の人に言われたけど、ななこの為にもやめておいた方がいい!この場合は相互暴力になるらしい。」
私「相互暴力?つまり喧嘩ってこと?」
父「そうだ、お母さんも怪我してると警察の人に話したらこれは相互暴力という事を言われてた、これは本当だ。ななこがいくら正当防衛を主張しても正当防衛っていうのはそもそも証明するのが難しいらしい。正当防衛と主張してた側が過剰防衛と判断されるケースもあるみたいだよ。」
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