ああ、こういう事か。
皮肉にもセックスレスをなくす日に、私は旦那さんの気持ちが分かってしまった。
もしかすると私ももうずっと前からしたくなかったのかもしれない。
ただ求められない事に不満を感じ、私の中でセックスをしたい気持ちよりも求められる事をゴールにしていた。
そして今回彼が私とセックスをしようとしてくれた事で満足し、自分の気持ちに気づいた。
私「ごめん。久しぶりで。」
旦那「なんなんだよ。」
私「本当にごめん。今日はやめておこう。」
旦那「今日しないなら、次の予約どうすんだよ。」
今まで病院の事なんて気にしなかったくせに、まるで立場が逆転したみたいだ。
私「うん。そうなんだけどね。」
旦那「もしかして俺としたくないの?」
私「ごめん。そうみたい。」
旦那「は?何それ。今まで人の事あれだけ文句言ってきて。あり得ないだろ。」
私「うん。気づいてなかった。自分の気持ち。でも、はるまと同じみたい。」
旦那「だからそれがあり得ないって言ってんの。俺が今までどんな気持ちだったか分かる?」
私「だから謝ってるじゃん。」
旦那「もういいよ。寝るわ。」
翌朝
私「おはよう。」
旦那「今日朝いらないから、いってきます。」
私「あ、そう。いってらっしゃい。」
旦那さんは怒っていると私の事を避ける。
でもこういう日にはそれが少し有り難い。
気まずい朝を過ごさなくて済むから。
私は病院の予約を取り消し、今後の子作りをどうしていくか考えた。
もうこれしかないか。。
旦那「ただいま。風呂入って寝るわ。」
私「ちょっと待って。昨日はごめんなさい。」
旦那「もういいよ。俺、子ども欲しかった訳じゃないし。」
私「え?もう諦めるの?」
旦那「だって出来ないのにどうすんだよ。」
私「だから、最初から人工受精はどうかな?」
旦那「やだよ。」
私「え?だって子ども出来なかったらステップアップしていく予定だったじゃん。」
旦那「子ども出来ない訳じゃないのに、セックスが出来ないからステップアップするのは嫌なの。」
私「妊活はえっちをする事よりも子どもをつくる事が目的なんだよ?過程は大切じゃないよ。」
旦那「俺は嫌なの。」
私「分かったよ。。そしたらしよう。」
旦那「は?昨日断ったのはななこじゃん。」
私「それはごめん。でも人工受精が嫌ならえっちするしかないじゃん。私はどうしても子どもが欲しいの。」
旦那「昨日断っといて都合良すぎだよ。」
私「お願い。はるまにしか頼めないんだよ。」
旦那「だったら昨日しとくべきだったな。」
私「お願いだよ。私と子作りして。お願いします。セックスして下さい。」
気づいたら私は泣きながら土下座をしていた。
彼にしてもらう為に必死だった。
旦那「はぁ。疲れさすなよ。」
私「はるまにしか頼めないから。」
旦那「なんなんだよ。本当。分かったよ。」
今思うとあの頃の私達の関係は異常だった。
本来ならふたりの共同作業のはずなのに、なぜかしてもらうという立場でお願いをしていた。
夫婦にとって主従関係が出来てしまうのは良くない事なのかもしれない。
しかし、私には何だって良かった。
この月の排卵日を無駄にしたくないという気持ちしかなかった。
また明日。