EOS Kiss X2 の電源をバッテリーから取る(お金をかけずに工作編) | たらちゃんの天体観測

たらちゃんの天体観測

大阪府寝屋川市在住の子供の頃からの夢だった、天体観測・天体写真の履歴です。

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以前、ディープサイクルバッテリーを購入した際EOS Kiss X2 の電源をディープサイクルバッテリーから取る DC-DC変換アダプタの作成を行いました。


直焦点の傍らで固定撮影を行ったりする場合に、DC-DC変換アダプタがもう一つあればいいなと思っていたのですが、なかなか追加で作成する時間もなく、優先度が低いので作成してませんでした。


しかしながら、もしも、いま使用しているDC-DC変換アダプタが壊れたら、折角の遠征で撮影出来なくなるのは痛いので、予備を考えるともう一つあったほうが何かと安心です。

と言うわけで、同じのをもう1つ作るべく、前回購入した 1.4~25V(最大5A)可変スイッチング定電圧電源キット をネットで買おうと秋月電子のサイトに行くと…


「申し訳ございません。ご指定の商品は販売終了か、ただ今お取扱いできない商品です。」


がーん。無い…。

電子工作はネットで調べた程度の知識しか無く、一度作成したうまくいってたので、まったく同じやつ…と思ってたんですが、このキットが無いとなると、どうしようもありません。


変わりのキットや、方法などを調べていて、見つけたサイトがこちら

なんと、100円ショップで売ってる、シガーをUSBに変換してUSB充電を可能にするアイテムを改造して、自分の欲しい電圧を手に入れるというものです。


100円なら失敗してもまぁ、いいや程度に、会社帰りに100円ショップダイ○ーさんへ。

で買ってきたのがこちら。


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100円のシガーをUSBにする物は置いてなかったので、同じ様な感じでシガーからiPhone等を充電するアイテムを購入してきました。で、早速分解(笑)


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こんなパーツで構成されていました。回路自体は


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こんな感じで、MC34063っていうICが使われてます。友達の本職の方に聞くと、


「MC34063は昔、聞いたことある。よくつかわれらしいスイッチングレギュレータIC。レギュレータはR1とR2の比で出力がきまるので可変抵抗でR1かR2の値をかえてやればOK。このIC自体は1.5Aまで流せるんだけど、回路に使っているインダクタがどれだけ流せるものをつかっているのかよくわからないなぁ。(たーぶん0.1A程度だったら大丈夫かなぁ)スイッチングの周波数が低いので、すこしノイズがあるかもしれないね。」


だそうです^-^;; ノイズ…??ん~よくわからん(汗)


「どれほどノイズがでるかはオシロスコープでみなければわからないけれど、たぶん100kHzのひげのようなノイズが8.2Vにのるんだなぁ。カメラの電源入力部分もある程度は対策していると思うけれど、入力電圧の上限をこえたら壊れるかも。スイッチングレギュレータだと、このあたりがめんどくさいね。」

んー、ますますよく分からん(汗)


「ノイズ(リプルだとかスイッチングノイズという)によって壊れるのはこの基板の回路ではなくて、カメラ本体の方の電源回路だね。秋月のものもスイッチング電源なのでスイッチングレギュレータの出力にしっかりとしたフィルター回路が入っていないと、ノイズはひどくなるよ。
カメラ自体の電源の最大の入力電圧がどれだけか、作った電源の出力にノイズが乗った場合何ボルトになるか、それがカメラの最大入力電圧を下回っていれば問題ないね。
(たとえば出力8.2Vに±1Vのノイズがあれば9.2V出力されるときがあるけど、カメラは10VまでOKならば、とりあえず壊れはしない)
どうしても心配ならばシリーズレギュレータ(スイッチング方式ではない)を使った方がいいかも。この方式はスイッチングしないのでノイズはほとんど出ないよ。ただ、効率が悪いので熱がでる。でも今回は出力0.1で12V→8V程度なので余裕だと思う。」


と、本職の人に聞くと、ますますよくわかんなくなってきました(笑)


「たぶんカメラ側には電源入力に保護ダイオードがはいっているはず。だから過電圧がはいっても問題ないように設計されていると思う。ほんで、カプラなるものを経由してカメラに接続するのならば、最悪でもこのカプラが壊れるだけですむかと思われ・・」


というありがたいお言葉を頂けたので、とりあえずこれで行くことにしてみました^-^;;


まずは現状調査。


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ポータブル電源より12V(実際の計測値は12.8V)を入力し、出力の電圧を測ってみると、5.09Vでした。

iPhoneの充電ケーブルって、USBからそのまま刺さるケーブルだし、USBは5Vだから、5Vに降圧してるのは当たり前ってことですね^-^;;


で、参考サイトでいうところのR2の抵抗を可変にしてあげればいいはずです。手元に半固定抵抗があるわけないので、早速日本橋へ購入に走ります。10kΩの半固定抵抗 52円でした^-^;;


で、R2の抵抗をニッパーでパキッっと取り除き、基盤に穴を開けて半固定抵抗をいい感じに取り付けます。

「半固定抵抗の接続の方法は、左から1,2,3とある3本の足のうち、1,2または2,3を結線し、取り付けます」

とネットで書いてあったので、その通りにします。


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で早速、半固定抵抗の可変部をドライバーで回しながら、出力が8.2V付近になるように調整してみました。


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これで目的の電圧は得られるようになったので、3m程度のケーブルを直接出力部に半田着けし組み立てます。


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で、組み上がったシガー部をポータブル電源に接続し、念の為にもう一度電圧を測ってみました。


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いい感じです。あとはカプラー部分…。

純正のカプラ(DR-E5) を買おうかと思ってました。しかし…、2,354円…、さすが純正…高いよ…。


で、やはりこれ。


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てなわけで、昔ヤフオクで500円(2個で1,000円だったような…)で落とした互換バッテリーをかち割ることに。


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そのままかち割るのは感電が怖いので、鏡筒に巻くヒータをつないで放電させました。

とりあえず、このまま5時間ほど放置…。いつ空になったのかはわかりませんが、テスターで計っても0V表示になったので、かち割り決行!

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なかなか手強かったです。どうせ中からケーブルを外に出さないといけないので、ケーブル出す穴を開ける部分にマイナスドライバーを突っ込んで、ぐりぐり^-^;;

パキパキと音を立てながら、なんとか開きました。


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内部のバッテリーはニッパーで強制的に取り外し、基盤をが入ってたので見てみると、「B+」「B-」「BC」の3箇所の接続部が基盤に印字されています。

カプラー自体も端子は3箇所。プラス、マイナス、あと真ん中の「T」。この「T」ってなんだろう…。

温度センサー(Temperatureの「T」?)かなんかなのかな…。よく分からんし、とりあえず無視の方向で^-^;;


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基盤に印字された「B+」「B-」に作成したDC-DCシガーソケットをテストで接続し、カプラーのプラス・マイナスにテスターを接続して、一応テストしてみました。


問題無く8.2V表示されるので、大丈夫でしょう。

というわけで、ケーブルを基盤に半田付けし、


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カプラーの隅に穴を開けて、ケーブルを外にだすようにして、カプラーを接着剤で固定。

これで、完成です。


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いざ、はらはらどきどきしながら、テストでデジカメに接続して、電源を入れます…。

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え・・・・。まぢですか…。な、なんで?

作成したDCコンバータが悪いのか、カプラが悪いのかを判断するために、以前作成した、純正カプラ(DR-E5)に急遽つなぎ替えてみます。


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折角作ったケーブルですが、ぶった切って、純正カプラを繋ぎテストです。

カメラに接続してみると…。


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むむむ~。正常に電源が入ります。


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バッテリー残量もフルですし、どうもカプラに問題がありそうです。

いろいろ調べた結果、真ん中の(T)はマイナス接続と書いてあったブログを発見したので、カプラを再度分解してカプラの基盤の真ん中(BC)をマイナスに接続してみました。


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これで、再度テスト!


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一緒でした…(※画像は使い回し^-^;;)

さらに調べていると、純正のカプラ(DR-E5)には、中に電解コンデンサが入ってるそうです(実際に分解している方がいらっしゃった)


というわけで、同じように電解コンデンサを付けるべく、共立へ購入に走ります…。

なんか電車賃の方が高く付いてるようなきが…(^-^;;;


で、買ってきたのが、電解コンデンサ 16V 2200μF×2 です。

(DR-E5を分解されてる方のブログより、この定格・容量のコンデンサが2つ使用されているとのこと)


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これを、カプラ内部に並列に+-を間違わないように接続します。

テストしてみましたが、うまくカメラに電源が入りません。

はじめから付いてある基盤があやしそうなので、思い切って取り除きます。


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基盤を取り除き、電解コンデンサを並列に接続し、カプラのピンに直接半田付けしました。

(今回センターのTは何も繋いでいません…)


カプラを閉じて、早速カメラに接続してテスト。


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無事にカメラに電源が入りました(謎の基盤が悪さしてたのか?)


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試行錯誤しながら、やっと完成にこぎ着けました。

完成した一式はこちら。


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今回製作にあたり、使用した総コスト。


・iPhone充電器(100円ショップ)…315円

・半固定抵抗10kΩ(シリコンハウス共立)…52円

・ケーブル10m(シリコンハウス共立)…400円(使用したのは3m)

・カプラ[汎用バッテリー流用](ヤフオク)…約500円

・電解コンデンサ16V2200μF×2(シリコンハウス共立)…73×2円

・2.1φDCジャック中継型(シリコンハウス共立)…105円
・2.1φDCプラグ中継型(シリコンハウス共立)…85円
・部品購入の交通費…考えたくないです

・製作の手間…プライスレス


の総額、約1,603円です。

前回作成時のキット代以下で作成できましたが、ベースが100円ショップ商品ですし、壊れずどこまで使えることやら…。


友達の本職の方も言われてましたが、ノイズにより8.2V以上の電圧がカメラ側にかかる可能性があるので、場合によってはカメラ側を壊す可能性があります。

このページの情報で同じように作成される方がいらっしゃるかも分かりませんが、もしカメラが壊れたり、バッテリー分解時に感電したりする可能性は充分にありますので、気をつけて作成してください。

また、カメラが壊れたり等の被害を被っても、当方は責任は負いませんので、作成は自己判断でお願いします。


これで直焦点の傍らでの固定撮影も、バッテリーを気にせず行えます。

となると…、もう1台IR改造カメラが欲しくなる…、ポラリエも欲しいなぁ…、ああ、やばい^-^;;

夏の天の川が本格的に撮れる季節になるまでには、ポラリエほしいなぁ…^-^;;