④の続き


では、その2人に話を戻しましょう。

桜

彼女達が生きた時代がいつだったのか、はっきりとした特定には至りませんでしたが、明治から大正・昭和にかけてのどこかで、でも夫である彼が亡くなった戦争は先の第二次大戦とはどうも違うようですので、恐らく明治時代あたりなのではないかと思います。

仮に彼女らが生きていたのが明治時代であったとしても、直近の過去世が明治時代というのは百年前後の転生をしていることになり、鑑定における通常の事例からしても、正直ずいぶん早いな、珍しいな、と思いました。

しかも彼女だけでなく、彼もやはり同時期に転生してきているようなのです。

つまり、彼女らもまた、天に早めの転生を認められ、通常の転生よりも早く、2人して現代に生まれ来ていたのでした。
これはちょっとした奇跡にも思えました。

ただ相手を想い、ずっと一緒に居たいと願いながらも、遠く引き裂かれた若き夫婦に、天がもう一度「やり直し」をさせようとしてくれたのでしょう。


そして2人は今世、ある時期に、再び巡り会うはずでした。
その時がもう目の前に来ていたのです。

彼女の魂はそれを感じていました。魂が待つ、愛しいその人と再びこの世界で会えることを。
それは彼女を突き動かしました。

でも、魂の意思は肉体の意思に閉じこめられているから、彼女には理由まではわからない。わからないけれど、自分の内の奥深くから湧き上がってくる不思議な衝動があったのです。

それは誰かを探さなければならないような、心踊るような、そわそわした不思議な感覚だったことでしょう。

そして彼女は自分でもよくわからないまま、出会いを探し始めるのです。

でも、勿論魂はわかっています。だから魂は一生懸命、彼を呼んでいた…

けれど彼女は間違ってしまった。


魂の呼ぶ声は、過去世からの繋がりのある縁を引き寄せるコマンド(設定)となりました。つまり、彼女の魂にとって縁のある存在を引き寄せる作用が働いた訳です。

しかし、それに一番に反応してきたのは、魂が待つその人ではなく、彼女の肉体への未練と執着をいまだ魂に残した、過去世で肉欲の情で繋がっていた現在の同棲相手だったのです。

怖いことに肉欲の情というのはとても強いエネルギーです。時に純粋な愛のエネルギーさえも押しのける。

それゆえ言葉は悪いけれど、まるで飢えた餓鬼が獲物に食らいつくように、彼女の呼ぶ声を敏感に察知して飛び付いてきたのです。


魂はこの人ではないことを当然わかっていたでしょう。でも彼女の肉体の意思はそれに気付けず、「きっとこの人は私が探していた赤い糸で繋がった人に違いない」と錯覚・勘違いして、この人との縁を再び掴んで(つかんで)しまったのです。

でもその縁は先にもお話ししてきたように、その時だけの快楽さえあればいいという実の無いものでした。魂が求めている人でも無いこともあり、彼女も次第に同棲相手の彼との未来を自分が望んでいるのかどうかもわからなくなっていくのです。

しかし縁は不思議なもので、彼女が同棲相手との縁を掴んでしまったがために、本来出会うべき本当の待ち人である過去世での夫との出会いのタイミングに狂いが生じてしまった…

同棲相手と付き合いだした頃、もうそこまで待ち人の彼は来ていたのです。
既に側に居たか、出会おうとしていたのに、同棲相手と付き合いだしたがために、会えなくなってしまっていたのです。


かねてから何度も繰り返してきたように、この物質界では本人の選択が何より優先されます。選択の自由と体験の自由が認められているからです。
例えそれが魂の計画と外れる選択であっても、どんな選択にもその体験に学びがあるかもしれないから、その時々の本人の選択が魂の計画よりも時に優位になってしまうこともあるのです。

彼女も間違ってのこととは言え、違う人との縁と未来を選択してしまった。

そのため、過去世で夫だった彼とはもうタイミングがずれてしまったまま、この先も出会えなくなってしまっている可能性もあったのです。


そう考えると怖いものです。選択するということが、その時々にどれだけ人生や魂の計画をも左右しているか…

選択の自由には責任も伴うものです。
選択はその時々の自分の生き方であり、そこには必ず選択の結果という責任が付いて来るのです。

そして私達は生きていく中で、意識するしないに関わらず、いつも様々な選択をしている。その選択によって常に未来も変わっていっているのです。
極端に言えば、選択と行動によっては、明日にはガラッと違う未来になることだってあるのです。
未来予知が無意味だと言うのもそういう理由からです。


そして例え今の同棲相手と別れても、一度狂ってしまったタイミングが再び修正されるかどうかはわかりませんでした。

せっかく天に、もう一度夫婦として共に生きるための「やり直し」を許してもらい、2人して共に今世に生まれ来たのに、かつての愛する夫と今世でも結婚出来るかどうかは、その時点ではもはや厳しいかもしれないと言わざるを得ない状況だったのです。

でもそれではあまりに彼女達の魂が可哀想です。
でも彼女の肉体の意思はまだそれに気付いていない。

彼女は日々同棲相手に振り回されるようになりながらも、同棲相手との結婚という未来への選択をまだ掴み続けていたのです。


けれどそれを見つめ続ける存在達がいた。そうです。彼女の守護存在達です。

守護存在達は最初からわかっていた。でも彼らは彼女が同棲中の彼との関係や未来にいよいよ疑問を感じ始めるまで手出しが出来なかった…黙って見守るしかなかった…

付き合い始めた最初の頃、つまり恋の始まりは、誰しも楽しく夢中にもなるものだから、彼女もその恋を自らの意思で選択していたからです。

守護存在達と言えど、物質界で生きる私達の選択と体験の自由には干渉や手出しは出来ない。
彼女がその恋に疑問を感じ始めるまでには、ある程度の時間が必要だった。
だから、どれだけハラハラしながら、歯痒い思いと、早く気付いてという焦りで、手に汗握る心持ちで見ていたことでしょう。

でも元々、彼女の求めているものはそこには無いのです。いつかは彼女が同棲相手との関係にしんどさを感じるようになるはずでした。だから彼らは待った…

彼女が自分の掴んだ選択への確信が揺らぎ始めるのを…

それでも、もし彼女が最終的に今の同棲相手との未来を選択したとしても、それが彼女が自分で決めたことなのであれば、それはそれで仕方ない。彼女の人生なのだから、彼らはそれを受け入れ、これからも彼女を支え続けるでしょう。

ただ、彼らは誰よりも彼女を愛しているからこそ、彼女には魂が真に望んでいる幸せを掴んで欲しかったのです。過去世で引き裂かれた愛する人ともう一度やり直す願いを叶えさせてあげたかったのです。真に幸せになって欲しかったのです。

そして、同棲を始めてから半年が過ぎた頃、彼らが待っていた「自分の掴んだ選択への確信が揺らぎ始める」時が、そのタイミングが、いよいよ彼女に訪れるのです。


選択には確かにその責任としての結果がついてくる。

でも、自分が変えたいと思い一歩を踏み出すことで、結果を軌道修正することもまた出来るのです。


だから本当に出会わなければならない人との未来の可能性が絶望的になる前に、彼ら守護存在達は、最後の望みを託して彼女を私の元に導いたということだったのでしょう。

それで彼女がどういう判断を下すか、彼らも息を飲んで見守っていたはずです。

そしてもう1人、彼らと同様に、彼女の魂が真に望む幸せを願っていた魂の存在がいました。

そもそも彼女が鑑定を受けることになったのも、お姉さんが鑑定を受けられたからです。
このタイミングでお姉様が鑑定を受けられることになったのも、意味があったのかもしれません。

魂の縁も強く、互いを思いやっている仲の良い姉妹だからこそ、妹を助けようとしたお姉様の魂の意思が、このタイミングを導いたのかもしれません。
まるで妹さんの守護存在達の意思に共鳴し、応えるかのように…

こうして妹さんが鑑定の日を迎えるに至ったという訳だったのです。


鑑定でこれら全てをお伝えしている時、彼女の波動が大きく高まっていくのを私は感じていました。

彼女の内で何かがほどけて弾けるかのように、私も驚くほど劇的に、彼女の意思も動きました。

過去世の夫の話をした時に、まず最初にそれは起こりました。

まるで封印されていた想いが堰を切って溢れ出すかのように、「私はその人に会いたい」という言葉が彼女の口から零れた(こぼれた)のです。
何の迷いも無い、まっすぐな強い言葉でした。

また、まるで、本当に探していたものをやっと見つけたかのように、彼女のエネルギーが爆発的に一瞬にして高揚して、喜びに満ち溢れるのを感じました。

そして全てを話し終えた後に、彼女は私も戸惑うくらい、あっさりと、「もう今の彼とは別れます。もう未練はありません。」と言いきりました。

過去世の夫の話をするまでは、まだ同棲中の彼との未来を手放せずにいた彼女であったのに関わらずです。

それはまるで、彼女の肉体の意思が、魂の意思に気付き、繋がった瞬間のように思えました。


しかし、例え今の同棲中の彼と別れたところで、過去世の夫であったその人と会えるかどうかはわからない。その時点でもそれは変わりませんでした。

でも彼女は、例え会えないかもしれなくても、可能性が0になっていない以上は、その人との再会に賭けたいと言いました。

私は今の同棲中の彼のことも含め全ての最終的な選択は彼女に委ねました。にもかかわらず彼女のその決断はもはや揺るぎないものでした。


『自分が変えたいと思い一歩を踏み出すことで、結果を軌道修正することもまた出来る』…私もそれを願い、一度タイミングを逃してしまった魂の待ち人との繋がりを再び引き寄せるためのエネルギーワークを彼女に指示することにしたのです。

それはイメージングとアファーメーションを用いた、自らの未来を、自らの意思で招き寄せるための、自らで行うエネルギーワークです。

2人で最良なコマンドの言葉とイメージングのビジョンを相談しあって決めました。適切でない言葉やビジョンでは効果は望めませんから、そこは慎重に彼女と吟味を重ねました。

彼女には、自らの望む未来を自分の手で掴むつもりで、これから毎日それを、ワクワクと楽しみながら続けて欲しいと伝えました。


彼女の声は心から弾んでいました。

「その人に会いたい」…その魂の意思が、キラキラと喜びに輝き、彼女を包み込んでいるようでした。

そしてそれはまた、彼女達の過去世のビジョンの中で、坂道を駆け上がってくる青年の姿を見つけ笑顔をはじけさせた、かつての彼女を今まさに、目にしているかのようでもありました…


こうして彼女との鑑定を終えたのですが、翌日彼女からのメールで、鑑定を終えたその日のうちに、同棲中の彼に別れを切り出し、彼も渋々同意して別れることになったことを知りました。

もしタイミングがもう少し早ければその決断は無かったかもしれない。手放す選択が彼女にはまだ出来なかったかもしれない。この決断の陰に人知れぬ守護存在達の適切なタイミングへの判断があったことは、もう言うまでもありません。


とにもかくにも、こうして守護存在達の愛に支えられながら、彼女は過去世の時と同じように、今世でもこの同棲相手の彼との関係を終わらせることを自らの意思で決断したのです。


私は、彼女の魂の願いが叶うことを願い、また期待して、彼女の守護存在達や彼女自身のこれからの行動に後を託して、良き報告が近い未来にもたらされることを楽しみに待つことにしました。


これが鑑定当時の妹さん、並びに、お姉様、このご姉妹の状況の全てです。

そしてこの後、お二人がそれぞれにどんな選択をして、どんな結果がもたらされたか。

それは、これからご紹介するお姉様からのご報告に託すと致しましょう。


続く





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