前回は「投資」とは何かについて扱い、リターンを得るために行う行動のすべてが投資であることを説明した。
今回は投資と合わせて語られることの多い「リスク」について説明する。
【リスクとは何か】
リスクとは「不確実性」のことである。
(「世の中に確定したことなんてない」とするならばすべてである)
では、実例を挙げ日常生活におけるリスクを検討してみる。
Aさんの明日の予定はこうだ。
【Aさんの予定】
7:00に起きる。まずは顔を洗った後、朝食にコーンフレークを食べる。
歯磨きをした後、スーツに着替える。
7:35分に家を出発から5分の所にあるバス停に向かう。
7:42のバスに乗り、最寄りの駅へ向かう――
ごく普通の話だ。この日常におけるリスクとはなんだろうか。
【Aさんの予定におけるリスク】
①7:00に起きるとあるが、はたして起きれるのだろうか。
・目覚まし時計の電池は切れていないか。
・そもそも目覚まし時計はセットしたか。
・体の調子が悪くて起きられないことはないだろうか。
②顔を洗うとあるが、本当に洗えるのか。
・水道が止まる可能性はないか。
・洗顔料が切れていないか。
③コーンフレークを食べるとあるが、食べられるのだろうか。
・コーンフレークは前回で食べ終わっていないか。ストックはあるのか。
・胃の調子は問題ないか。
――分量が多いので、中略――
⑧7:42のバスに乗るとあるが、本当に乗れるか
・バスは時間通りくるのか
・バスが来たとして、乗れない可能性はないか
以上。
上に挙げたこれらがリスクである。
全ては挙げられていないかもしれない。
そもそも起きる前に隕石が降ってきて即死する可能性とか。
朝一で親族が亡くなって、出社どころではなくなる可能性とか…
そんなくだらないことを考えてどうするのか、と思っただろうか。
可能性が低すぎて考えるに値しないと思っただろうか。
まあ、無理もない。実際考えるに値しないような内容ばかりである。
ただ、上に挙げたものはすべてリスクであり、リスクというものが日常のあらゆる場面にあまりにも多く存在するという事をご理解いただきたい。
そしてその一つ一つの不確実性が、あなたの人生に影響を与える。
では、先ほどの例を使って、リスクに対する対策を考える。
Aさんは翌日、超重要商談のために遅刻ができないとする。
7:00に起きるための対策として、目覚ましを複数かけるかもしれない。
しかし、Aさんの目覚まし時計はいつもちゃんと動いており、過去一度も寝坊をしたことがなかったとしたら、
そもそも「7:00に起きられるのか」などというリスクを考慮しないかもしれない。
そして、そのリスクが発生したら、遅刻をしてしまう。
多分、起きられるだろう。だって、いつも時間通りに起きている。
そもそも起きられないという事を考えること自体がおかしい。
でも、明日は超重要商談だ。
いつもとは違うし、いつも通りに寝付けないかもしれない。
資料は大丈夫だよな。何度も確認したもんな。部数も確認したし――
午前4時に目が覚める。まだ早いじゃないか。
もう一度寝る。そして、目覚ましは鳴らない――
彼は生まれて初めての遅刻をする。
何故遅刻をしてしまったのか。
それは、本質的にはリスクを想定せず、対策を怠ったからだ。
「起きれないかもしれない」というリスクを想定していれば、遅刻はしなかっただろう。
だからこそ、どのようなリスクがあるのかは考えておかなければいけない。
7:00に起きれたところで、バスは来ないかもしれないのだ。
考えられる対策は「目覚ましを複数かけ、6:00に起きて、早く出社しよう!」である。
(一つ二つのリスクが起こっても目的の時間までに会社には着くだろう)
しかし、実際は1時間早く家を出たところで、雪が降って電車が動かず会社に向かうすら出来ないかもしれない。
もちろん、そのような大規模な避けられない事態が起こった場合は、取引先や上司も配慮してくれるだろう。
「あんな事故があったら仕方がないよね」となるわけだ。
要するに何とかなる(=リカバリーが可能)。
でも、これが「お金」に関する事柄だったら?
100年に一度の出来事だからしょうがないよね(リーマンショック)ってお金を返してもらえるのだろうか。
返してもらえるわけがない。一つのミスで全てを失う。
【株式投資におけるリスク】
さて、本題だ。
投資にはどのようなリスクがあるのか。
投資とリスクの関係について取り扱う。
なお、第1章ではリターンを求める活動すべてが投資だと述べたが、
それだとあまりにも範囲が広く、リスクも途轍もない数を挙げなければならなくなるので、ここでは株式投資に絞って取り扱う。
株式投資におけるリスクには以下の3つがあると考える(※2)。
・市場リスク
・流動性リスク
・企業固有のリスク
それぞれについて解説する。
【市場リスク】
①株価:株価自体の上下。
→買った株式に何かが起こったわけでもないのに株価は大きく上がったり下がったりします。
バブルの時はどの銘柄も関係なく上がりましたし、リーマンショックの際は多くの銘柄が関係なく下がりました。
②金利:金利の上下。
→借入金の多い企業に多く影響します。直近ではマイナス金利を受けて、借入金の多い不動産業に注目が集まりました。
③為替:為替の上下。
→外国での取引の大きい企業に影響します。円高は輸入企業にプラスですし、円安は輸出企業にプラスに働きます。
④カントリーリスク:企業が存在する国自体に関するリスクです。ここでは法律の変更等も含みます。
→法律の変更により今まで通りのビジネスが出来なくなるかもしれない。逆に新しいビジネスが生まれるかもしれない
【流動性リスク】
①流動性:取引量(出来高)の多さ。
→売る人がいないと買えないし、買う人がいないと売れません。つまり、買いたいときに買えないかもしれないし、売りたいときに売れないかもしれません。
【企業固有のリスク】
①業績:企業業績。財務諸表やキャッシュフロー
→会社の業績はどうなるでしょうか。市場予想より上回るのか。一方、市場環境が変わり赤字になってしまうかもしれません。
②スキャンダル:リコールや食中毒、事件等。
→会社のイメージはもちろん製品自体も疑われます。一時的なものか致命的なものかの見極めが必要です。
③新製品:新しい製品やサービスは世の中に受け入れられるでしょうか。
→直近だとガンホーやミクシィ等はスマホゲームで業績を爆発的に伸ばしました。逆にヒットを期待されているのにヒットしなかったらどうなるでしょうか。
④配当金:株式の保有者には毎年配当金が支払われます(企業による)
→1000円の株が毎年40円配当をするとしたら、配当利回りは4%になります。今後さらに増えるかもしれないし、減るかもしれません。
⑤株主優待:銘柄によっては株主に与える優待制度があります。
→自社商品や割引券、QUOカードをもらえる会社があります。今後なくなるかもしれませんし、今ない銘柄でも新設されるかもしれません。
⑥その他:株式分割等(割愛)
株式を購入するという事は、これらのリスクにさらされるという事です。
起こり得る最悪の状況を想定して、それに耐えられるようなリスクの取り方が望ましいと考えます。
逆説的にその覚悟ができないのなら、リスクを取るべきではないのかもしれません。
株式投資に限りませんが、それを認識したうえで投資を行いましょう。
【第2章のまとめ】
リスクは日常にとてつもなく多く存在する。
想定していないリスクには対応できない。
複数のシナリオを検討し、リスクと対策について考える癖をつけよう。
※リスクの定義や考え方が人によって異なる点をご了承ください。
【筆者感想】
思ったよりも書くのに時間がかかったし、疲れた。
以降を書くかどうかは反応を見て決める。
以降の予定は下記の通り。
【第3章】為替、インフレとデフレ
【第4章】株式とは何か
【第5章】株式投資家の種別
(※1)定義の客観性を担保するため、以下に辞書内容を記載する。
危険。危険度。また、結果を予測できる度合い。予想通りにいかない可能性。(デジタル大辞泉)
一般的には、「ある行動に伴って(あるいは行動しないことによって)、危険に遭う可能性や損をする可能性を意味する概念」と理解されているが、工学や経済学などの分野によって定義はさまざまである。(wikipedia)
(※2)「値下がりリスク、流動性リスク、倒産リスク」と分類しているものがあった。わかりやすいし、採用しようかと思ったが「値上がりリスク」を考慮していない等の理由によりやめた。結果的に株式自体と企業の話を混ぜて「株式投資におけるリスク」とした。
【メモ】
カットした内容
・リスクにはコントロールできるものとできないものがある
・リスクの大きさをどのように計るべきか
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