11月21日(金)
尾張瀬戸駅前のホテルルートインに1泊して、再び芸術祭の続きへ。
アクセスは最高、朝食も充実していてとてもいいホテルでした。
今日は瀬戸のまちなかを歩いて回ります。
スタートはホテルからすぐの元銭湯だった建物から。
2021年春に惜しまれつつ閉業した日本鉱泉というお風呂屋さんです。
窯業が盛んな瀬戸のまちには、かつてあちこちに銭湯があり
その日の仕事を終えた陶工たちでにぎわっていたそうです。
佐々木類は瀬戸に見られる多様な植物をガラスに封じ込め
さまざまな人が集う場所であった銭湯の空間にちりばめました。
浴槽に張られているのはお湯ではなくガラス。
過ぎ去った時間をひんやりと回想させてくれます。
会場内は真っ暗で、目が慣れるまではちょっと怖いけど
写真に撮るとガラスの透明感が際立ってとても美しいです。
見事に色づいた銀杏並木の下を歩いて瀬戸市美術館へ。
ロビーではメキシコのアーティスト、ミネルバ・クエバスによる
〈子供たち〉と題された巨大な壁画が迎えてくれます。
この壁画にはメキシコに滞在した瀬戸ゆかりの画家、北川民次の
作品から着想を得たモチーフが多く取り入れられています。
北川はメキシコ壁画運動や野外美術学校のあり方に強い影響を受け、
帰国後の日本でも美術教育に熱心に取り組みました。
また瀬戸に住んでいた頃、目にした窯や陶工の姿に感銘を受け
多くの力強い版画を制作したことでも知られています。
アーケードが続くレトロなせと末広町商店街。
その中ほどにひっそりと佇むひときわ渋い店構えの松千代館は
かつては陶磁器の運送業者たちでにぎわった旅館でした。
その松千代館の帳場に吊るされているのは蛇腹折りの手製の漫画です。
日常に潜むちょっとした違和感や不思議なことに目を奪われている間に
気付けば現実社会と少しずれた場所へ迷い込んでいく…
そんな世界を描くのはプロフィール不詳の漫画家、panpanya。
瀬戸市内を流れる瀬戸川に架かる橋は古い染付茶碗や皿の破片で
びっしりと装飾されています。
磁器のことを瀬戸物と呼ぶのはまさに瀬戸市で生産されていたから。
せと末広町商店街のちょっと不思議なお蕎麦屋さんで昼食。
すっきりとモダンな店内、夜はBARになるみたいです。
ちなみに店内にトイレはなく、橋を渡って公園まで行くことに。
午後からはちょっと歩く距離が増えるので頑張りましょう。
廃校となった旧瀬戸市立深川小学校の校舎を舞台に
圧倒的なインスタレーションを展開するのは
アルゼンチン出身のアドリアン・ビシャル・ロハスです。
教室も廊下も階段も給食調理室も宿直室も、すべてがキャンバス。
そのとてつもないエネルギーを廃校の校舎にぶつけることにより
消滅する運命にあるもの、保存できないもの、
あるいは保存されるべきでないもの、を提示しています。
緩やかな坂道を上がって次に向かうのは株式会社 加仙鉱山。
西オーストラリアの先住民族の末裔であるロバート・アンドリューは
現代のテクノロジーを取り入れながら祖先の歴史を物語り続けます。
加仙鉱山は大正時代に土を求めた陶芸家が購入した山を受け継いだ
粘土工場で、土の精製過程を見るだけでも興味深いものがあります。
来た道を戻って銀座通り商店街を抜け、急坂を上ります。
いい加減しんどいけど、ここが最後の踏ん張りどころ![]()
小高い丘の上には、瀬戸の陶芸家を指導した愛知県出身の美術工芸家
藤井達吉(1881-1964)の工房「無風庵」が建っています。
茅葺きの風情ある古民家、絵になる建物ですね。
刺繡が渦をなす赤い布のかたまりから、四方八方に糸が伸び
足下を埋める陶土に刺された無数の針につながっています。
古い布や糸や針に、経てきた多くの時間と物語を読み取る
刺繍作家沖潤子の作品が、古民家の佇まいに寄り添っています。
無風庵近くの家々にはこのような焼き物を使った塀や石垣が。
窯の道具などの再利用と思われますが実に美しい意匠ですね。
尾張瀬戸駅の近くまで戻ってきました。
ちょっとした広場に大きな猫が寝そべって、おいでおいでしてる![]()
〈招き猫ミュージアム〉の涅槃招き猫だそうです。
いよいよ最後の展示会場になりました。
尾張瀬戸駅裏にある梅村商店は茶道具専門の陶磁器の卸売問屋。
イラク系ユダヤの背景をもつ米国人マイケル・ラコウィッツの
インスタレーションが展示されています。
古代アッシリア帝国の首都カルフの宮殿にかつてあった
レリーフパネルを、実物大で複製するプロジェクトで
食品パッケージやアラビア語の新聞紙などが使用されていて
歴史的遺物との対比を際立たせています。
尾張瀬戸駅近くの老舗の陶磁器店、丸一国府商店。
櫓のような佇まいがかっこいい瀬戸のシンボル的存在です。
大通りの瀬戸川に架かる窯神橋にはこんなおしゃれなモニュメントが。
やきものの町、瀬戸はまだまだ面白いところがいっぱいありそう。
STUDIO 894(スタジオ ヤクシ)というやきもの体験型複合施設。
その一角のカフェがとても素敵だったのでちょっと休憩します。
早め(この日は11月21日)のクリスマスツリーが点灯していました。
そろそろ日が暮れてきました。
瀬戸の町にお別れして帰途につくことにします。
1泊2日で巡った〈国際芸術祭あいち2025〉
見どころがいっぱいでとても楽しめました。
3年ごとの開催なのでまた次回が楽しみです。
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