長年アジアを旅して収集した私のコレクションの中から
ユニークなものを選んでご紹介したいと思います。
まずはこちらをご覧ください。
インドネシアはスンバ島に伝わる伝統の織物、イカットです。
幅40cm長さ235cmという細長い布なので
とりあえず上半分のみを撮影してみました
なにか不思議~なものが描かれていますよね…
こちらが下半分。
絵巻物のようにず~っと物語が繋がっているみたい。
藍染の木綿糸で、全て手織りで織り上げられています。
いつ頃のものかははっきりとはわかりませんが
アンティークのオールドイカットです。
私は2005年、二度目のバリ島訪問でこのイカットに出会いました。
現地の骨董店で見つけた時、一目で魅せられてしまったのです
布の一番上に描かれているのは部族の長(おさ)なんだそう。
見事に割れたシックスパックとご立派な一物をお持ちで
さすが勇者でいらっしゃいますね~
あ、私が魅せられたのはそこじゃないですけど
勇者の足元に描かれているこれ、なんだと思いますか
昔のコンピューターゲームに出てくるお化けキャラなのか…
近未来の世界によくあるしゃべる木とか宇宙人とか
あるいは酔っ払ったおじさんたちにも見えるなあ…
残念ながら、どれもハズレ
正解は…すべて〈人間の首〉なんです。
20世紀初頭まで、スンバ島では部族同士の闘いの時に敵の首を落とし
自分の家の周囲の柵などに飾るという風習がありました
その数が多ければ多いほど英雄と見なされたのは言うまでもありません。
おとぼけ顔のユーモラスなデザインに思えますが
実は生首が並んでいるという恐ろしくも希少なアイテム
〈首狩り族のイカット〉なんですよ
コレクター垂涎の逸品だと自分では思っているんですが…
首狩り布と同時に購入したのがこちらのイカット。
打って変わってオレンジ系の優しい色合いで優雅な印象です。
おそらく女性用、それもおめでたい柄づくしなので
婚礼の儀式などに使用されたものと思われます
幅は少し細くて35cm長さは240cmあります。
上部半分と…
下部半分の図柄です。
こちらも上から下へ柄が繋がるように織り上げられていますので
二つに折って掛けるよりも広げて眺めたいものです。
気になるのはこの部分
幸運を招くドラゴン 勇気を表す鹿
富と繁栄の象徴である馬…まではわかるんですが
真ん中のみたいなのは一体何なんでしょうか
まさかほんとにハートに矢なのかしら。
ウィリアム・テルのリンゴにも見えるし…
謎は深まるばかりです。
この物体も謎です。
蝶々かと思ったんですが触角とか無いしねえ…
セクシーな唇が二つ向き合ってるようにも見えるし。
蛇があちこちに描かれていますが
超能力があり脱皮をすることから再生の象徴とも考えられています
最も難解なのが最下部にあるこの文様。
何に見えます?
生命の樹という天上界と下界をつなぐ植物らしいのですが
燭台、もしくはフォークのディスプレイに見えて仕方がない
鶏は天上界のシンボルとして描かれることが多く
亡くなった人の魂を天に運ぶ水先案内人とされているんだそうですよ
ミステリアスなモチーフに満ちたスンバ島のイカット。
見れば見るほど現実の世界から離れて
精霊の住む南の島へトリップして行きそうになります
早くコロナが収束して現実の旅を再開できるようになってほしいです~
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