1ヶ月以上前の話になりますが
国立国際美術館で開催中の〈バベルの塔〉展に行ってきました。
オープン直後だったのでそれほどの人混みでもありませんでしたが
終了が近づくに連れ混み合うのは間違いないでしょうね。
一生に一度は見たい名画、ついに大阪へ!
と、まるでゴジラ来襲みたいな扱いですが
日本人にとってこれそんなに有名な作品だったんでしょうかね
16世紀ネーデルランド絵画、ですよ。
印象派好きの日本人にはどう考えてもマイナーでしょう…
と思っていたけど、連中もこの辺でやっと
いつまでもルノワール、モネじゃないだろうと気付いたんですね←(何様?)
もちろんブリューゲルは中学校の美術でも習うと思います。
でもそのイメージは〈農民画〉じゃないでしょうか。
奇想の画家として知られているわけではないはず。
ブリューゲル以前に〈奇想の画家〉として一世を風靡したのが
ヒエロニムス・ボスというちょっとイッちゃった絵描きさんですね。
この人はすごい。
寓意に満ちた宗教画を描いているんですが、ただの宗教画じゃなくて
自分の解釈によるシュールで幻想的なちょいグロの世界なんです。
〈快楽の園〉という代表作がありますが
怪物とも悪魔ともつかない異形の者が画面いっぱいに蠢く気持ち悪さは
じっとみていると一周回って快感に変わるから不思議
このボスの稀少な作品のうち二点が初来日というのはなかなか見ものです。
ブリューゲルはボスの奇想の後継者として頭角を現した人なんですね。
現代アートにも通じる〈キモ可愛い〉の元祖、ボス。イチ押しです。
〈バベルの塔〉に戻りましょう。
旧約聖書による天まで届く塔を造ろうとした人間の傲慢さの逸話ですが
先ずこの原画の意外な小ささにびっくり。
60×74.5cmの中に、実際にあれば500mの高さの巨大な建造物が収まっています。
緻密過ぎる細部の描写を見つめているとどんどん塔が大きくなってきて
自分の立っている世界のサイズがわからなくなってきます。
小さな塔の窓から内部に吸い込まれていくような感覚に襲われます
いやあ~トリップしましたね。
会場には300%に拡大したバベルの塔の模型があるのですが
これで見ると塔の上で仕事をしている人々の姿が確認できます。
米粒に観音様を書く、いやそれより細かい作業ですね。
ブリューゲル、どんだけ眼がええんや~
会場内の撮影スポットでは
バベルの塔と実在するいろんな建造物との比較図がありました。
108mのわが通天閣の愛おしいこと…
おまけ。
ヒエロニムス・ボスの〈快楽の園〉をどうしても見たいという方、
鳴門市の大塚国際美術館へ行ってみて下さい。
閉じられた扉が開くその時
まさに奇想の快楽があなたを襲うことでしょう…
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