六四日目

 0時前にバス会社の前に到着し待機。タクシー乗り場でヤンキー座りをしているとらドライバーに「客と間違えるから向こう行け!」ってキレられる。怒られてばっかりだ。0時半頃シャトルバスがお迎えに来て1時前にはオトガルに到着した。0時57分になってもバスが来ないので周りの人に俺のバスはここに来んのか?と聞くと待機場所は向こう岸だよとご教示いただく。カッパドキアのときと同じ轍を踏まずに済む。


 ダッシュで向こう岸へ渡りなんとか間に合う。めちゃくちゃ腹が痛い。バスはやたらモタモタしているが今降りて便所に行ってる間に出発される可能性もなきにしもあらず。肛門括約筋に意識を集中し我慢。正露丸×10をかまして耐える。


 明朝8時頃、腹痛で起床。正露丸×20をぶちこむも一ミリも効かない。この薬には即効性の点で期待できない。というか身体もこの薬に慣れてきたのかもしれない。正露丸って調べてみたら効果に対する科学的な根拠はなくて「今まで効いてるからこれからも効くよ」みたいなノリの慣習的な薬らしい。だから医者は絶対に推奨しないし処方しないとのこと。そんなことより限界だ。この旅行の中で俺は何回こいつとバトルを繰り広げなあかんねん。いや旅行に限らず一生付きまとわれるんかな。周りに結構クソ漏らしの先輩や後輩がいるので仲間意識が芽生えて、そういう腹の調子が悪い人に対する優しさを持てるようになったことは成長かもしれない。男で糞漏らしエピソードは度々耳にするが、女子でいないんはなんでやろ。言うてないだけであんのかな。不思議だ。そんなんはええけどうんこしたい。


 30分以上背筋を伸ばしたり腹をさすってやったり考えられるあらゆる方法で漏便をブロックする。が、いよいよそれも限界のようだ。カバンの中に仕込んでおいた、もしものときに使えるレジ袋をケツにスタンバイ。備えあれば憂いなしだ。


 9時前にようやくイスタンブールのバスターミナルに到着。安心感から降車時にちょっぴり漏れたが大事には至らず。バスのステップから足を下ろすと目の前に「WC」の案内板。案内に沿って厠へと行進するが気が遠くなるほどの距離。階段を降りて降りて地下一階にオアシスはあった。自販機型の便所でお金を入れたらゲートが開くタイプのやつ。お金は払うから早く出させてくれ。


 お金を入れる時間すら惜しい。漏れてはいるがまだ99%は中にいる。ダッシュで便所へ駆け込むと、大量の大便器の草原が広がっていた。どっこいそれは全て和式で洋式は1つもない。いくら見た目が西洋人のようなトルコ人もやっぱりアジア人だなとこのときは思う余裕もない。パンティを降ろした瞬間に大量の汚染物質は放射された。バックパックを降ろすスペースすらない狭い個室だ。あまりに見事な作品に仕上がったので思わず写真におさめてしまった。さすがにここには掲載できないので個別で無料配布したい。ボタンで水を流すようなシステムもなく蛇口をひねり水を桶に溜めて流していくタイプ。ベトナムを思い出す。


 一時間半ほどかけイスタンブール中心部へ。10時半頃にチェックインをしようとホステルを訪れるが「ハウスキーピング中やさかいに二時間後にまたおいで」って。空いてるベッド一つくらいあるやろ。


仕方なしに11時半くらいにロカンタで昼飯をかっこむ。


酸っぱい肉のスープがうまい。このあと、大量のパンが来る。ライス頼むを癖は治らない、延々と同じ轍を踏む。

 明日でちょうどトルコに来て二週間。飯うまいし街も良いけど飽きる。最初来たときは住みてぇとか思ったけど。何が一番不便か考えると酒がスーパーに売っていないこと。多分子どもの目に触れちゃいかんとかそういうノリなんだと思う。個人商店で買うしかないのだけれどそれも、まま売っていないことがある。種類も国産はエフェスビールオンリーで選択の幅がないことも悲しい。


 13時前にようやくチェックインできた。シャワーを浴びて暫時睡眠。起床即晩飯。イスタンブールで一番うまいと言われるサバサンドの店へと向かう。16時半頃に店の前に到着するが、すでに約20人の先客。先日食べた店は観光客向けらしくここがガチでうまいとの情報を得た。しかし並んでるのは地元民っぽくない若者ばかり。結局ここも観光向けなんちゃうとの疑念が頭を過る。向こうは人海戦術で鯖を焼きまくってつくっていたのでほんの10秒で出てきたが、こちらは時間がかかる。10分間列が全く進まない。よく待てるなこいつら。あと10分かかるなら別のとこ行こ。


 飯がうまいと言ってもそれで殺してくれるわけではない。ほんとに死ぬほどうまいならいくらでも並ぶけど、そんな店は存在しない。原宿のパンケーキ屋やら海外から進出してきたオーガニックバーガーショップやら大学近くの家系ラーメン屋で二時間も待てない。いや30分も待ちたくない。店内で座って待てる分にはいくらでも待てるのだが列の一部になることで「ここ人気なんかな」って通行人に思われそうなのが癪にさわる。俺たち列の人間は利用されている。そして利用されていることに気づいていない人間がたくさんいて自分も利用されていると気づいていない人間、同じ穴の狢だと見なされることに腹が立つ。そうこうしている内に20分が経過した。後ろにも10人くらい並び始めたが相変わらず列は一ミリも動かない。ここまで来るとログアウトするのはもったいない精神が湧いてくる。そういう感じで行列ってできるんやなと実感した。これは我慢比べだ。店のおっさんはちんたらちんたら鯖を焼いてる。丁寧に小骨を取り除く様子がムカつく。噛み砕くから抜かんでええねん。早よよこしてくれや。


 ついに前の二人の白人女性が脱落した。おっちゃん、この人数さばけるんか鯖だけにとかつまらんことを考えるくらい暇だ。


なるほど一回で5本作るがそれに10分以上かかるわけや。鯖を焼いて焼いた鯖を皮で巻く。鯖以外にも生野菜と炒めた野菜。炒め野菜は同じ鉄板で焼く。巻き終わったサンドを鉄板で丁寧にハケで味をつけながら両面こんがり焼く。全て同じ鉄板。どこまでもマイペースな親父。こんがり焼くために度々座ってタバコにも手を伸ばす。衛生的にどないやねん。こりゃ持久戦や多分一時間はかかる。二郎じゃないけどサードロットも消化した。次が俺のターンだ。40分を経過したが後ろに15人ほど。

着丼まで50分かかったが5分で完食。たしかにうまい。うまいがそんなに待つほどのもんかと思わなくもない。腹も満たされないので別の店でもう一つサバサンドを食らう。

全く味が違う。多分これを先に食えばこれで満足していたと思う。だが、あの丁寧に焼かれた極上のサバサンドにありつくとこいつがまずく感じられる。生地は冷え冷え。中の具材も素材そのまま。ほんとに格が違う。

 宿に帰るとベッドの下の男女がいちゃついていた。都市伝説だと思っていたホステルセックスにもお目にかかれそう。何がすごいかってこいつらGoogle翻訳で会話してる。なのに一晩同じ布団で寝てる。愛に言葉は関係ない。あと同じ部屋に日本人女性がいるのだが「トルコ人とお金のトラブルがあり、長期滞在になっている」とのこと。例のアレか、と悲しくなる。

 滞在期間中、雨と蚊に悩まされることはなかったが今朝も雨だし起きたら10箇所くらい虫に刺されている。なめてたらあきまへん。あと四日の滞在。前回は旧市街での滞在だったが、今回は新市街。ぼられた店でも発掘しようか。

続く