トルコ移動図

七〇日目


 シンタグマ広場から空港行きのバスが見つからず30分ほどさまよう。3人に聞いてやっとバス停に辿り着き20時発のバスに乗り込む。21時前にアテネ国際空港に到着。車内で死ぬほど酔った。車に乗ると95%の確率で酔う。運転してたらそうでもないのに。さっき1ユーロケチってガムを買わなかったことを悔やむ。


 4時頃までまったりしたり調べごとをしていた。一抹の不安は搭乗するライアンエアーという会社について。どうやら1.Eチケット不可、印刷した紙オンリーの受付、2.ビザチェックインが必要で同じく紙にて確認、3.手荷物は10キロ以内でなんやかんやと大きさの制限ありと高いハードルがあるよう。1は印刷していないから終了の詔、追加の40ユーロを覚悟。2も課金を覚悟。3がよくわからない。半年くらいのスパンで手荷物制限を一個にしたり二個にしたり細かくルールを変えてやがる。この会社。ヨーロッパ周遊では必ず登場するLCCで格安チケット買わせて課徴金で儲けてる会社らしい。アイルランド人恐るべし。とりあえずカウンターに特攻してみたら紙なしでもチェックインできた。ライアンエアーのアプリをインストールしてQRコードを見せつければOKとなんかのブログに書いてた。2つ目に関してEU間の移動はビザチェック不要らしくこれもパス。3は案外ガバガバで重さを測られることなく通過。さんざん旅ブロガーが「ライアンエアーは印刷必須で荷物も少しでも大きかったら100ユーロくらい飛ぶから気をつけて!」などと煽ってきたが取るに足りない。こいつらにビビらされたおかげで、結局1時間しか空港では寝られなかった。機内では爆睡。2時間のフライト丸々寝ていたと思う。




七一日目


 9時前のフライトで10時前にポーランド、クラクフはパリツェ空港に到着。日本との時差は7時間。イミグレーションがなくて焦るがEU間の移動は検問も何もないようだ。パスポートにスタンプが押捺されないので不安になる。


 110トルコリラ&20ユーロを両替。ギリシャで10ユーロにしか代えられないと言われたターキッシュリラは12ユーロ分くらいに代えてもらえた。119ズロチゲット。レシートちょうだいって言ったら嫌そうな顔されてピキィ。


 とりあえず電車で中心部へと移動を図るが、なんか動いてないみたいだ。マップを見たら12キロそこそこだしウォーキングがてら歩くことにする。意外にポーランドは暖かい。11時前だけど20度くらいはありそう。


 昨日、空港で腹が減ったのでひまわりの種とポテチを買った。あわせて3ユーロちょいとかだったと思う。で、ひまわりの種が余っていたのでそれを食いながら宿まで向かう。最初食い方がわからずそのままボリボリ食っていたけど、あれは殻を歯で割ってから中身の小さな種を食べるんだ。ちっちゃい頃死んだばあさんの家に行くと必ずミックスナッツが置いてあったあの頃を思い出す。ジャイアントコーンとかカシューナッツとかピスタチオあたりが好きだったが、兄はひまわりの種を好んで食らっていた。食ったあとに吐き出してて汚ねぇなと思ってたけど、殻を出していたのね..。食い方をあのとき教えてほしかった。ギリシャの空港で22歳になるまで知らなかった。よく考えたらメジャーリーガーもたしかにぺっぺっぺっぺと吐き出しとるな。


のどかな公園にて休憩。

 なんやかんやと、だらだら6キロくらい歩いていたら12時半になっていた、空港を出たのは11時前とかやったか。睡眠不足と筋肉痛でひたすらだるい。どうせ安いやろしタクシーでも捕まえれば良かったと思えど、後悔は先に立たない。1億3000万人も日本人がいると言えど、ひまわりの種をポーランドの公園の隅っこで剥きながらニチャニチャしていたのは俺くらいのものだろう。日本人初かもしれない。13時くらいまでひたすら指で殻を割り続けた、指は腱鞘炎になるくらい痛い。一生懸命殻から出した種を10秒で完食。料理じゃないけど切ない。一生懸命つくったもんが、こんな一瞬にして食べられるなんて。



 で、また1時間くらいひたすら歩いて14時半前にやっと街的なとこに出る。さっきまでお店は全くない住宅地のようなところを無限に歩いていた。最初に見つけたお店が酒屋だったので買うしかないですね、ビール。


最高にうまい。疲れた身体に染みるぜ!驚くのはこいつの価格。2.49ズロチ、1ズロチ=30円くらいだからロング缶一本75円くらいって!最高かよ、ポーランド..。

 ベンチに座って勝利のビールをかましていたら、おっさんに絡まれる。「兄ちゃん、そんなビビんなって。ドンビーアフレイド。俺もビール飲みたいさかいにそのビールくれへんか」的なことを言ってきた。二本買っていたので、まあ75円くらいおごってやるかとOKサインを出すのだが、なんなそわそわしてる。飲み始めず追加で2ズロチ寄越せって言う。どういうカツアゲの仕方やねん。ビールも寄越せ、金も寄越せって。よくよく聞くと、ビールほしいから2ズロチちょうだいって意味でこの酒がほしかったわけではないよう。結局めんどいから2ズロチあげたけど、最安値が2.49やのにどうやって買うねん。お金渡したあとおっちゃんを観察してたら案の定買いにいかずに仲間と合流して「2ズロチゲット喜びの舞」を披露していた。なんやねんこいつ。


 初めて物を乞う人に施しを与えたけどガチ感ある人より陽気に声かけてきて、断ったあとにしゅんとされる方がつられて渡してまう。クラスの女の子に声かけられてその内容がどんなものであろうが、これって俺のこと好きってことなんか?と勘違いする原理と同じで声かけてきたのは俺に好意があるのかと思ってつられてしまう感じ。自分でも何言ってるかわからないけど、高校から何も成長していないことはたしかだ。


ヴァヴェル城が見えてきた。クラクフはポーランドの京都とか、どこぞの極東の人間が言うように世界遺産の街。美しい。このお城から500メートル圏内に宿があるみたい。ヤニも買った。一番安いが12ズロチだから360円くらい、まあこんなもんか。

 15時半頃マップ上は宿についているのだが、全くターゲットが見当たらない。10人以上に場所を聞いたが、その答えは十人十色。ここをまっすぐ200メートル先とか左曲がってすぐとか、同じ場所で聞いてやで。騙そうとしてるわけじゃないし親切なのはわかるけど、いい加減だよポーランド人。飲んでなきゃやってらんないと1リッターアルコールチャージ。携帯の電池も切れて野宿を覚悟しつつ再度最初のところへ戻ったのは18時頃。檻みたいなところから人が出てきた。ムニャムニャホステルはここだよって。自分だけを信じないと。壁には米粒ほどの大きさでムニャムニャホステルとの記載があった。そんなんわかるかよ、なんで看板とかないねん。


 檻の中に入ると団地みたいになってて入口が何個かある。いずれにもムニャムニャホステルの記載がない。しらみつぶしに普通のマンションの一室のインターホンから一軒一軒ムニャムニャホステルの場所を聞くのだが、名前すら知らんとか言われる。もう打つ手がない..。外で寝転がってたら日本人が別の入口から出てきてホステルはここの二階やで!って..。結局四時間近く半径1キロ以内をうろうして宿に着いたのは19時前だった。ありえんしんどい。壁を見たら米粒ほどの大きさの案内。こんなんわかるかよ。


20時前に晩飯。中華料理っぽい看板だったので入ったが、タイ料理だった。白米食いてえなと思って、写真に米らしきものが写ってたやつを注文するが、目が悪く米というのは誤認でフォーのつけ麺的なやつが出てきた。久々のお箸にテンションが上がる、ネパールのまずい日本料理店で見て以来だから約二ヶ月ぶりの再会か。パクチーの強烈な匂いとひたすら甘酸っぱい付け汁のコンボに震える。ポーランドに来たのにタイに来たなあという感じだ。量は爆盛り。22ズロチ、約660円とポーランドの物価を考えるとやや高く感じるがギリシャより全然安い。割り箸はしれっともらってきた。意地汚い東洋人は私。食後再び飲酒。本日の飲酒量は2.5リットル。酔っ払いながら床に就く。



七二日目


 9時頃起床。明日のアウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所見学の下調べをする。ここから70キロほど離れたオシフィエンチムという街に9時にいかなければならない。7時10分のバスが歩いて40分くらいのターミナルから出ていて、それに揺られ90分くらいで着く模様。6時頃にチェックアウトして、9時~15時まで見学、17時頃オシフィエンチム発の電車で22時頃ワルシャワはフレデリック=ショパン空港に到着。ちょこっと空港で寝て明朝ペルーへGOで翌日深夜にリマ空港到着。が理想的な展開だけど、首尾よくいくか。ちなみにアウシュヴィッツは予約が必要では3週ほど前にした。


 12時過ぎに宿を出る。昨日手に入れた119ズロチがすっからかんになったので多めに150引き出す。5日で200ズロチも必要ないだろうが念のため。決済を確認したらたった40ドル分の150ズロチを引き出すために50.58ドルもかかっている。手数料20パーはえぐいぜマネパカード..。なんやかんやと預金から引き出してるけどキャッシングの方がええのかも。借金はしたくないので避けているけど。



ヴァヴェル城。素敵!チケットとか必要かと思ったら無料で解放されてた。

お城の内部に入るには有料みたいだけど、引くほど列もできてたしいいかなぁ。遠くから見た方がきれい

城下にて。このちゃちさには笑わざるをえない。このコスプレダンボールかな

 中央市場広場までふらふらっと歩いていたら、おしゃれなチラシをもらう。ビラ配りの姉ちゃんはザ=ポーランド人といった年の頃、20くらいのモデルみたいな姉ちゃん。腹も減ったし16ズロチのランチセットをしばきまわす、しかもスチューデントディスカウントも使えるんやって。行くしかないやん。


豚カツプレート。ポーランドの伝統料理でコトレトというらしい。ふつうにうまくない、スカスカのチキンカツみたい。ノープロブレム。漬け物は全部酸っぱい。赤いのはキャベツを赤カブでつけたやつらしい。奈良県出身なのに奈良漬すら食えない漬け物嫌いだが、これは食える。米はレンチンに失敗したさとうのごはんみたいな食感だが、全然オッケー。米を食えるのが嬉しくて嬉しくて。14.4ズロチ。

ライムコーラって日本にあったけ?2.19ズロチ


中央市場広場。素敵。広場ってその街のシンボルで街の雰囲気を端的に表している。イスタンブールのタクシム広場はモニュメントだけであっさりしていて街の景観を損なわない感じ、あくまでも街が主役。ここクラクフの中央市場広場はそれだけ見ててもため息が出る美しさとだだっ広さ。街のそこら辺でヴァイオリニストやらアコーディオン奏者がストリートライブやってるのはさすがショパンを生んだ国。馬車がとことこ走ってるのも良い。

明日のバスチケットを買いに駅前まで。


駅とイオン的なモールがつながってる。日本に帰ってきたみたいな安心感とともに腹痛が俺を襲う。便所へダッシュで向かうが、満室。うんこ1回が2.5ズロチ、75円くらいとコーラより高い。並んでたら空いたんだけどちょうど後ろから来た地元のおじいちゃんに抜かされる。しゃないかなと思ってると俺に気づいて「並んでんのね。先どうぞ」と。ポーランド人、民度高っ!しれっと抜かしちゃわないとこがしっかりしてるわ。無事脱糞に成功。

 ポーランドはギリシャ同様、フリーWi-Fiが結構どこでも飛んでる。しかも速度がギリシャの比にならないほど早い。さすがはEU。あとブロンドのモデルみたいな姉ちゃんがうようよおる。顔ちっちゃぁ足長ぁ。ギリシャまではよく見た中国人が少なくなってフランス人の観光客が増えた気がする。車はトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スバルetc.と日本と勘違いするくらいに日系メーカーが多い。物価も安いし三日の滞在じゃもったいないくらい魅力的な街だ。歩いてるだけで楽しい街ってトルコもそうだったけど、そんなに多くはないと思う。首都のワルシャワは第二次世界対戦で破壊し尽くされたようだけどクラクフは古くからの街並みが残っている。その辺も京都と似ていると言われる所以なんだろう。ほんと街がかわいい。

今から切符を買います。

続く