先日からの記事、「願い」「届け」に次いで、文書名だったら送り仮名が要らないシリーズ・完結編です。
しかし、「願い」「届け」が微妙に注意する点が異なるだけだったのに対して、この「伺い」はちょっと異なります。
用字用例辞典では、「願い」の例外表記は「《退職》願」、「届け」の例外表記は「《欠勤》届」、「伺い」の例外表記は「(注)進退伺」と記載されています。
これがどう違うのかといいますと、用字用例辞典の冒頭の「見方・引き方・使い方」を見てみますと、「《》」は「中の語を他の語で置きかえた場合にも送り仮名を省く」とあり、「(注)」は「注意喚起及び例外の表記をあらわすもので、限定的に用いる」とあります。
つまり「願い」「届け」については、「退職願」「欠勤届」の「退職」「欠勤」を「異動」や「住所変更」等、他の語に置きかえてもオーケーであるのに対し、「伺い」については「進退伺」以外は送り仮名が必要ということです。
ちなみに、「(注)」とは別に「(注記)」というのがあって、これは「例外の表記のうち一部をあらわすもので、他にも類例があることを示す」とあります。もし「(注例)」でしたら同じようなものもオーケーであるんですが、「伺い」は「(注)」なのでほかの言葉では用いません。
私はこの「(注)」や「(注例)」、「《》」の意味をきちんと理解していなかった期間があって、その間たくさん誤った表記をしたものを納品してしまいました。
間違いのなくなるよう、ぜひ冒頭の「見方・引き方・使い方」をしっかり理解しておくことをお勧めいたします。