この仕事をしていると、よく「時間が自由になるからいいよね」と言われます。
確かにそうとも言えます。しかし、現実にはその言葉の前に「締め切りをちゃんと守った上ならば」という言葉がつくのです。
たしかこのブログの最初のころにも触れたような気がするんですが、この仕事で大事なのは締め切りです。それを守れなければ、仕事はもらえません。
そして、その締切も、ただ間に合いさえすればいいわけではありません。
社会人になりますと、できるだけ余裕を持ってクオリティーの高いものを納品しなければ評価されません。
なぜかといいますと、提出すればそれで終わりで先生が目を通して評価するだけの学生の宿題や課題と異なり、仕事で納品したものは大抵その先で誰かがさらに作業を行うものであるからです。
例えば、私の今やっているのはテープ起こしの下請の作業ですから、私が納品したものを元請の会社の人がさらに見直して仕上げて、発注者であるお客様に納品します。さらにそのお客様は、それをもとに議事録の要約をつくったりすることもあるでしょう。
また、私が昔勤めに出ていたとき、お客様用のパワーポイントの作成を営業さんに頼まれることがあったんですが、営業さんは、客先でプレゼンをする前に、私がつくったものの内容を見直したりプレゼンの練習をしたりするでしょう。
よって、締め切りより早ければ早いほど次の作業を早く進めることができますので、私の経験上ですが、納品は早目のほうが99%喜ばれます。また、想定外のことが起こる可能性も考えれば、早目に作業をするにこしたことはありません。
仕事でなくても、例えばあなたにお子さんがいて、金曜日までに記入して学校に提出しなければならない書類があるとします。
それをお子さんがかばんの中に3日ぐらい寝かしていて提出締め切りの金曜の朝に渡された場合、「なぜせめてきのうのうちに出さなかったのか」とちょっといらっとしませんか?
余裕を持った納品により、受け取る側の心証は大変よくなります。
というか、何か不測の事態が起こって締め切りを守れなかった場合、顧客の信頼を失うことになり、下手をしたら依頼される仕事が減ってしまいかねません。余裕を持って作業をするのは非常に大事です。
ただし、早目に納品してもそれがクオリティーの低いものであった場合は、次に何かを行う方の作業がふえるだけなので、より悪いです。もちろん、ぎりぎりに納品してクオリティーが低い場合よりましですが。
このようなことを前提に仕事をしていると、思うほど時間は自由になりません。というか、繁忙期はむしろ、仕事をこなした上で何とかひねり出した時間で家のことを片づけて自分の時間はほぼゼロという状態になります。
ただ、そうして納品先に喜ばれるよう仕事をこなしていくと、少しずつ評価されるようになり、仕事の単価が上がったり仕事を多く回していただけたりするようになります。あいた時間だけでゆったり仕事をしていると、恐らく単価は安いままで回してもらえる仕事も少ないままになると思われます。
何しろこの仕事は何の資格も経験も要らない、とりあえずパソコンで日本語を打ち込めたらできる仕事なので、かわりは幾らでもいますから、ほかの人と何らかの差別化を図らなければそれなりの収入は得られません。
ぶっちゃけ、働きに出たほうが時給にしたら断然稼げますし、職場によっては忙しくない時間はそこにいるだけでも給料が発生しますから、(私の経験上、勤務時間の9割以上やることがなくぼうっとしておくしかない職場も存在します)時間の制約はあるもののある意味楽であると思います。楽に稼ぎたいのなら、絶対テープ起こしは向いていません。
また、不測の事態で急に休むことになっても、被雇用者であれば、勤務先にもよりますが大抵大目に見てもらえるでしょう。しかし作業委託の場合、不測の事態が起こって作業できなかった場合、よほどのことでなければ「この人に仕事は任せられないから仕事は回せない」という印象を持たれかねません。
実際に締め切り当日の朝になって「体調が悪いため締め切りまでに納品できない」と連絡する方も存在しますが、そういうのは論外です。こういうのは多くの人に直接的、間接的に迷惑がかかりますから、以後非常に相手からの評価が下がってしまうでしょう。
少額でも報酬をいただいているからには、プロであります。単なる小遣い稼ぎといういいかげんな気持ちで仕事に臨むのではなく、少しでもクオリティーの高いものをできるだけ早く納品できるよう心がけることで、仕事を依頼する側と信頼関係を築くことができ、多くの仕事を任せてもらえ、ひいては収入アップにつなげるできるでしょう。
まあこれは、全ての仕事に通じることではあると思いますが。