「花鏡 室町耽美抄」海道 龍一朗 著 | 横浜の相鉄線「天王町」駅より徒歩1分のダイニングバー『tapastyle-dining hanauta 』~タパスタイルダイニング ハナウタ~

横浜の相鉄線「天王町」駅より徒歩1分のダイニングバー『tapastyle-dining hanauta 』~タパスタイルダイニング ハナウタ~

横浜の天王町駅より徒歩1分のカジュアルダイニング&バー(やってる事は居酒屋)

お店のお知らせとSNSが嫌いな陰キャ店主の日記・趣味的な事の記録用でやってます

欲を言えば趣味趣向が合う人が飲みに来てくれたらいいなと思ってます。



最近よく読んでる室町シリーズ

いつも書いてますが、世阿弥の「風姿花伝」を若い頃に読んで何かと勉強になった手前、BOOK OFFで見つけて即買い

本書の紹介文↓

庶民の「申楽」を、「能」という幽玄の域にまで高めた世阿弥。金春禅竹はその娘婿となり、義父とは別の座を率いながらも、指導を受けて深く結びついていった。そして義父の最期のとき、奥義が記された伝書が遺される。世阿弥が禅竹に伝えようとした秘法とは…表題作『花鏡』のほか、能楽を大成した世阿弥を描く『風花』/闇に生きた禅師、一休宗純を描く『闇鴉』/侘茶の祖、村田珠光を描いた『詫茶』。求道にかけた互いの宿命が交錯する連作歴史小説。

本自体は分厚いですが、括りとしては短編集

世阿弥と金春禅竹の2章はもちろん主観が違うだけで物語としては1つの括りですね、世阿弥の鬼夜叉時代から佐渡への流刑までが描かれる中で息子や弟子への芸の指南から書に収めて伝えていく様が「家族」と「芸を突詰める」という観点から物語として構成されている印象で面白く読めました

続いて一休宗純

この章が何故か一番長い・・・
仏教用語や出家するにあってのお寺用語といいますか、専門的な言葉が多くて中々の難しい
話自体も幼少期から最後の師がなくなるまでを描いてますが、テーマが禅ということで、物語としての面白さは個人的にイマイチでした

最後が村田珠光

こちら珠光さんが一休宗純に弟子入するという点で前の話とは繋がりがあり、地味に金春禅竹も出てくるので、短編集ではあっても同じ時代に芸事や禅の局地を目指した人達の生き様という点で一冊通した物語なんだなと感じますね

村田珠光の章は割とサクッと読めて、テーマは「茶」ですね。文化としての茶道という中で色々と突き詰めていった結果、最後に「侘茶」という答えに辿り着く様は読んでてとてもしっくりとする所があって、本編でイマイチ入り込めなかった一休宗純がいい味を出していて、最後に美味しいところを持っていったな、みたいな・・・

そんな感じで、なかなか読み応えがある一冊でございました