完全なるジャケ買い、タイトルにも「無理があんだろっ」ってツッコミながらも早々にアマゾンでポチっている自分がいる・・・
そんな本書の背表紙紹介は
時は安土桃山。運命的に出会った四人の若者が一座を結成した。驚くべき速さで三味線を弾きこなす藤次郎。出雲のお国一座の笛役者・小平太。信長の従者だった黒人の太鼓叩き・弥介。べらぼうに喧嘩の強い天性の舞姫・ちほ。型破りな芸で熱狂的に民衆に迎えられた彼らは、やがて、庶民への支配を強める秀吉に立ち向かうことに―。エネルギッシュで爽快な、第20回小説すばる新人賞受賞作。
歴史ものであってバンドもの、音楽やってた自分的にはツボを突かれる内容の作品
もう一つ心惹かれたのが「弥助」
こちらはちゃんと実在した黒人の侍、織田信長の家臣であり、そうなった経緯も史実としてある程度分かってはいるそうですが、本能寺の変後に明智光秀に見逃されてどっかの寺に入れられてその後の消息は不明
(こんな感じだったかな?)
ともあれ、戦国時代に黒人の武士がいたって事自体が個人的にはすごく興味深く、その後どうなったのか?って言う「歴史ミステリー」
はい、好きなやつです!そんな弥助がドラムやってんだもん、これはもう、ドラマーとしてブラックミュージック好きとしてなかなかそそられましたよw
話自体はテンポよく進み、バンドものにありがちなメンバーそれぞれの出自、出会いからバンド結成、方向性の違いによるメンバーの脱退、解散の危機、最終的にメンバー復帰によるライブ、そして「俺たちの戦いはこれからだ」みたいなラスト
これを戦国の世に当てはめてやっているのがとても面白い作品
いわゆる歴史小説的な描写は少なく、豊臣秀吉の天下、バンドとして色々とやらかして助けてくれたのが豊臣秀次といった感じで、秀吉をクソみたいな人物に対して、秀次がめっちゃ良い奴みたいな感じでした。
多分実際の史実としても、秀吉の都合でいい様に振り回されて最終的に自刃に追い込まれた秀次像があるので、その辺から来ているのかな?とも思います
そんな感じですが、物語の肝は音楽の力で民衆を奮い立たせ国家権力をもぶっ潰すといった、ロックスピリットですね、色々と書いているとこの作品は非常に長くなりそうなんでこの辺で切り上げますが・・・
歴史小説に苦手意識がある人でも本作は楽しめると思いますので、音楽・バンドものが好きで読書家の方にはおすすめなんじゃないかと!