深い地下牢に、外の世界の存在を忘れてしまったほど長い間そこに閉じ込められていた囚人がいた。牢は暗く、鎖は重く、彼は一度も脱出しようとしたことがなかった。

毎日、看守が彼に食事を運んできた。囚人は毎日、「いつになったら自由になれるのか?」と尋ねた。看守はいつも同じ答えを返した。「扉は閉まっていない。お前はずっと自由だったのだ。」

囚人は信じなかった。「自由なら、なぜまだここにいるんだ?」看守は答えられなかった。ただ扉を閉めて出て行くだけだった。

年月が流れた。囚人は年老い、鎖は錆び、牢は崩れ落ちた。それでも、彼は出て行かなかった。

ある日、一人の子供が偶然地下牢に迷い込んできた。彼女は牢の中に座っている老人を見つけ、「どうしてそこにいるの?」と尋ねた。

「私は囚人だ」と彼は言った。「扉は閉まっている。出られないんだ。」子供がドアを押した。ドアは軽々と開いた。鍵がかかっていたことは一度もなかった。

「ドアが開いてるわ」と子供は言った。老人は呆然とした。何十年もの間、開け放たれた独房に閉じ込められ、身動きが取れないと思い込んでいたのだ。

「でも看守が…」老人は言いかけた。「看守はドアに鍵がかかっていないって言ったのよ」と子供は言った。「でも、あなたは信じなかったのね」

老人は黙り込んだ。彼は生涯、自分が囚人だと信じて生きてきた。ドアに鍵がかかっていたからではなく、自分の心を閉ざしていたからだ。

老人は立ち上がった。老いた骨が軋んだ。開いたドアを通り抜け、光の中へ、存在を忘れていた世界へと足を踏み入れた。

太陽の光が顔を暖かく照らし、風が肌を優しく撫でた。彼は涙を流した。悲しみからではなく、驚きから。ずっと自由だったのだ。ただ、それを信じていなかっただけだった。

数年後、人々が彼にどうやって脱獄したのかと尋ねると、彼はこう答えた。「私は脱獄したのではない。ただ、自分が囚人だと信じることをやめただけだ。扉は常に開いていた。鎖があったのは、私の心の中だったのだ。」