かつて、非常に熟練した木彫り師がいた。人々は彼の仕事ぶりを見ようと、遠方からやって来た。彼らは彼の速さではなく、彼のもっと奇妙な仕事ぶりを求めていた。彼は決して苦労しているようには見えなかったのだ。
ある日、深い悲しみを抱えた若い男が、彼の仕事を見に来た。彼は何年も苦しみ、心はまるで形を作れない木の塊のようだった。「どうしてそんなに簡単に仕事が出来るんですか?」と彼は尋ねた。
木彫り師は道具を置き、彼の隣に座った。「彫る前に」と彼は言った。「3日間、木と向き合うのさ。木には触れない。ただ一緒に呼吸するだけだ。」
「最初の日は、すべての節を見る。それは木が、成長が困難だった場所、枝が折れた場所、何か困難なことを乗り越えた場所だからだ。」
「2日目には、作りたかった形を忘れてしまう。木が、その下にあるもの、すでに何であるかを私に教えてくれるんだ。」
「三日目、私は木になる。忍耐、静寂、森の中での長い待ち時間を一緒に感じる。そして、ついに斧を手に取った時…」
「木を彫っているのは私ではない。木が私に心を開いてくれるのだ。斧はただの出会いの場だ。」
若者は、節と折れた部分で満ちた自分の心を見つめた。「私は自分を他の誰かに無理やり合わせて、彫り込もうとしてきたんだ」と彼は囁いた。「疲れているのも無理はない。」
木彫り職人は彼の胸に手を当てた。「あなたは自分自身を彫る人ではない」と彼は優しく言った。「あなたは木だ。あなたの仕事はただ、森の中で待つこと、季節が過ぎ去るのを待つこと、そして樹皮の下に確かに存在する、あなた自身になることだ。」
「でも、節はどうなんだ?」と若者は尋ねた。「折れた部分は?」木彫り職人は微笑んだ。「あれは誤りではない。木目なのだ。それらがあなたをに個性を与えるのさ。」
若者は長い間、沈黙の中で座っていた。そして彼は、自分を正そうとすることは止めた。ただ座っていた。呼吸し、待ち、木と一体になる。
彼は木彫り職人にはならなかった。しかし、より偉大なことを学んだ。彼は自分自身を彫るために生まれてきたのではない。ゆっくりと、静かに、一つずつの節々を大切にしながら、一本の大きな木へと成長していくのだ。