あなたの中には、誰もその存在を知らない湖がある。その水は暗く深く、しかしすべてを映し出す。忘れてしまった喜びも、埋めてしまった希望も。今夜、満月の下、静かに心を静めながら、あなたは数年ぶりにその岸辺へと歩みを進める。
水辺には古いボートが停泊している。木は時の流れに滑らかに磨かれ、待ちわびている。あなたは思わずそのボートに乗り込む。ボートは静寂を切り裂き、あなたを、名付けられないけれどずっと求めていた何かへと運んでいく。
湖の向こう、小さな人影が木の桟橋に座り、釣りをしている。しかし、あなたが近づくと、その釣り糸には針も餌もない。ただ一本の光る糸が闇の中へと降りていく。あなたが近づくと、人影は見上げる。そして、その顔はあなたの顔だ。
「私は長い間、あなたのために釣りをしてきたんだ」と人影は言う。「釣り針がないのに、どうして何かが釣れるのか」とあなたは尋ねる。それは優しく微笑む。「力では魂を捕まえることはできない。ただ忍耐と光だけだ。」
それはあなたに光る糸を手渡す。糸は手のひらの中で温かく、第二の鼓動のように柔らかく脈打つ。「優しく引いて」とそれは言う。「深淵から湧き上がるものを感じて。」
あなたが引くと、暗闇から小さな光る球体が現れる。その中に、あなたは忘れ去られた安らぎの瞬間を見る。ほとんど気づかなかった夕日、あなたを驚かせた笑い声、つらい一日の後の安堵の息。
あなたは再び引く。別の球体が浮かび上がる。今度はあなたがかつて与えたが、誰にも気づかれなかった優しさ。もう一つは、非現実的だと諦めながらも、心から求め続けた夢。
やがて、ボートは浮かぶ球体に囲まれる。一つ一つは、あなたが失ったと思っていたあなた自身の光のかけらだ。それらは記憶ではない。それらは証拠だ。あなたが常に内に美を宿していた証拠だ。
「どうすればいい?」とあなたは囁く。もう一つのあなたは、あなたの胸に優しく手を当てる。 「あなたは何もしない。ただ、彼らが存在することを知っている。それを知ることが、すべてを変える。」
ボートはあなたを岸辺へと連れ戻す。あなたは船から降りて振り返る。湖はもう消え去っているだろうと。しかし、それは月明かりの下で揺らめきながら、そこにあった。あなたの外側ではなく、内側に。
湖はあなたの心。水面に浮かぶ星々は、あなたの秘めたる安らぎ。漁師は、あなたが待つ価値があると、決して諦めなかったあなたの一部。
そして、釣り糸は?それはあなたの次の息吹。いつもそこに。いつも温かく。いつでも、あなたの心の奥底から忘れられた光を引き出してくれる。あなたはただ、それを投げることを思い出すだけでいい。