「身体」という国に、心臓が住んでいた。心臓は、喜びや悲しみ、平穏や混乱の中でも、長年にわたり鼓動し続けてきた。一度も止まることはなかった。これからも続けたいかと尋ねられたこともなかった。
ある日、大きな喪失が訪れた――愛しい相棒、優しい存在、そして長年にわたり心の傍らで共に生きてきた、ゴロゴロと鳴る温もり。心臓は、かつて感じたことのない感覚を覚えた。中心を貫く、ひび割れのようなものだった。
「もう続けられない」と、心臓は自分に囁いた。「この傷は深すぎる。私はもう、壊れてしまった」。そして一瞬、それを信じそうになった。鼓動は途切れ、揺らぎ、リズムを見失った。
しかし、その奥深くで、ある声が響いた――大きくはないが、確かな声だった。それは心臓自身の声、あらゆる喪失、あらゆる悲しみ、あらゆる絶望的な日々を乗り越えて鼓動し続けてきた部分の声だった。
「私は、傷つかないためにここにいるのではない」と、その声は言った。「私は、鼓動するためにここにいる。傷つくことは、私の役目の終わりではない。それは、その一部なのだ」
心臓は理解できなかった。「ひびが入った状態で、どうやって鼓動を続けられるというのか?」その声は優しく、落ち着いていた。「ひびは、あなたが終わる場所ではない。それは、あなたが開かれる場所なのだ。あなたが壊れるたびに、あなたはより大きくなる。喜びと悲しみを同時に抱えることができるようになるのだ。」
そして、心臓は鼓動を続けた。それが完全だったからではない。生きているからだった。鼓動の一つひとつが、ひびの間から少しの血を、少しの愛を、そして今はもういない、その優しい存在の記憶を押し流していった。
日が過ぎた。ひびは塞がって治ったのではなく、開いたまま治った。それは心臓の中に永久の部屋となり、愛する者のために設けられた空間となった。そして、鼓動の一つひとつがその部屋を通り抜け、記憶を未来へと運んでいった。
ある夜、心臓は猫を夢に見た。夢の中で、猫はその新しい部屋に丸くなり、静かにゴロゴロと喉を鳴らしていた。「私のために部屋を作ってくれたのね」と、猫は言っているようだった。「私は今、ここに住んでいるの。外ではなく、中に。もうどこにも行かないわ」
心臓は目を覚まし、その喪失以来感じていなかった何かを感じた。小さな温もりだった。喜びでも、安らぎでもなく――ただ、いつかそれらになるかもしれない、ほんの小さな火種のようなもの。それで十分だった。
そして心臓はついに理解した。それは、傷つかないままであるようにはできていなかったのだ。それは、無限であるようにできていたのだ。あらゆる喪失が、新しい部屋を作り出す。愛はすべて、そこに永遠に住む者を残していく。心は、そのままの形で留まることで成長するのではなく、入ってきた者も去っていった者もすべて包み込むように広がることによって成長するのだ。
だから、心臓は鼓動し続けた。そして、鼓動し続けた。そして、鼓動し続けた。強いからではない。心臓だからだ。そして、それが心臓のあり方なのだ。心臓は砕ける。心臓は開く。心臓は場所を作る。そして、信じられないほど、美しく、それでもなお、鼓動し続けるのだ。