てんは月に二度 、かかりつけの病院に通院しています。

私はお付き合いした当初から、てんのご両親と通院先の主治医の先生に了解をいただき、毎月一度付き添いをしています。

専門的な知見のない私がてんと一緒に生きる為に、障害や症状に対する理解を深める事が主たる目的で、後は待ち時間の長い待合室での心理的安全性を担保する事です。

精神科の待ち時間は凄い長いですよね…

何故両方付き添わないかというと、てん自身が私の前でお医者さんに話せないこともあるだろうからです。

そこに介入してしまうと思いを吐露する場を奪う結果になるなと判断してます。

先生はかれこれ15年程主治医として、てんの治療を行ってくれていますが結構ドライです笑

ただ、これは俯瞰してみてる私からすると先生自身のメンタルに対する自己防衛かなと。

先生も人ですから立ち入りすぎる事によって背負い気を揉み、メンタルヘルスを損なうでしょうし。

診察中は一切口を挟みません。

てんの診察であって私の診察ではないし、何より診療の邪魔になってはいけないですからね。

てん自身が上手く言語化出来なかったり、鬱期では特に自信無さそうに話すので声が小さすぎたり。

そう言う時に先生から私に聞かれれば答える程度です。

診察後、感じた事や思ったことを二人で振り返るようにしてます。
不安定になると、時に冷静で論理的な先生に相性が合わず、別の先生や病院にかかると言い出すのですが私の診察の印象も伝えるように心
いわゆるフィードバックになるのかな?

先生が話された意図や主旨を、第三者の視点で伝えてそれでもてん自身の気持ちが揺らがなければ本人の意思を尊重します。

セカンドオピニオンを受診したり、同じ病院へ通院している家族の話を聞いたりと紆余曲折ありますが、なんだかんだ同じ病院へ通院してます。

一緒に付き添うと色々分かることがありますね。

てんは付き添う事を好意的に捉えていて、

誰も理解してくれない。

私だけが苦しい。

そんな感情が付き添う事で中和出来てると感じます。

本人の闘病を孤立させず、夫としてこれからも同じ方向を向いてサポートしていきたいと思います。




私はてんに、一つだけ求めている事があります。

それは、「自分の欲求に素直に従う」です。

これを作りたい。
あの映画をみたい。
あそこに行ってみたい。
こんなの食べてみたい。

思ったこと、感じたことにトライして欲しいと伝えています。

お金かかっちゃう。
美味しく作れないかもしれない。
三日坊主になるかも。

そう言いながら自分の欲求を抑えいつもモヤモヤしているようです。

てんは料理本を見ながら料理をしていますが、味を変えてみたい衝動にかられるそうです。

不味かったら怒られるかなとモヤモヤソワソワしながら本の手順通りに作ってます。

そんな姿を見た時には

「入れちゃえ!」

とよく話します。

手順だけが正解じゃないよ。

何事も知りすぎるのは詳しくなるけど弊害もある。

それは逸脱する事への恐怖心と固定観念。

チャレンジしないと見えない世界もあるし、感じた人にしか分からない世界もある。

仮に上手くいかなくても、その経験があるから試行錯誤が生まれるし、てんが挑戦してる姿は尊いよ。

やってみたら案外美味しいかもよ?

それに思い通りに動かない身体を押して、君が一生懸命私に作ってくれた料理は、どんな完璧な料理よりも美味しいよ。




たおです。

 

今日はてん(妻)との出会いを綴っていこうと思います。

 

てんとは今(2020/11/08)から4年前の初冬に出会いました。

 

てんとの出会いの場

今でこそコロナの影響で外出を控える世情になりましたが、4年前は月に2度ほど気になった喫茶店やカフェへ直接赴いて、コーヒーを飲みながら読書に耽るのが私の日課になっていました。


読書っていいですよね。

 

先人や著名な方の経験や知識、思考や創造性を感じることが出来るので雑念の整理や、その時に直面した問題解決のヒントを得る目的でコツコツ読んでいます。

 

ある週末に本を一冊鞄に携えながら、しんしんと降る雪の中を散策をしていたら喫茶店の小さな看板を見つけました。

 

看板はあるものの肝心のお店が見当たらない。

 

ウロウロしていると看板が出ている建物の裏手に、古民家をリフォームした木造の喫茶店があるのを見つけました。

 

「えっここ?家?」

 

と恐る恐る引戸を引いて中に入ったのを今でも覚えています。

 

外観は壁に茶色の蔦がびっしり張っていて古い木造平屋でしたが、中に入ると白を基調にリフォームしてあり、ピカピカの梁が突き出た吹抜け2階建構造のお店でした。

 

店内の中央には白い塗装が施された薪ストーブの中で、パチパチと薪が燃え火が躍っているのを見て「雰囲気良いな、ここの席にしてもらおう。」と、中へ通そうと奥から出てきた女性の店員さんにお願いをして、薪ストーブの前の二人掛けの席に腰掛けました。

 

私以外には1組、別のお客さんが入っていて談笑をしていてカウンター席の奥では先ほどの店員さんと他に女性の方が3人ほど笑顔を混じえながら調理のお仕事をされていました。

 

どうやら菜食系や美容に良いメニューを扱っているお店のようで、メニューを捲りながら「あれ?このお店アイスコーヒーとかないのかな?」と思いながらページを進めるとタンポポコーヒーの文字が目に入る。

 

「タンポポコーヒーとは一体…」

 

タンポポのコーヒーなのか、タンポポコーヒーという名のレギュラーコーヒーなのか。


ちょうど昼時でお腹も空いたのでセットで頼んでみようか。

 

メニューにはタンポポコーヒー以外のコーヒーはなく、難しく考えても疲れるだけなので「大豆ミートハンバーグのワンプレートセットと、飲み物はタンポポコーヒーを一つ下さい。」と取り合えず頼んでみることにしました。

 

オーダーしてからは上着をハンガーにかけ、じんわり暖かい薪ストーブの熱を感じながら渡辺和子さん著の「置かれた場所で咲きなさい」を黙々と読み進めていました。

 

事件

本を読み進めているとお店の引き戸が開き、黒いニット帽とコートにどっさり雪を積もらせ「おはようございます。」と雪を払いながら長い黒髪の女性が入ってきました。

 
私は「凄い雪の量だ、ひどく降ってきたのかな。」と窓の外を気にしながら、その女性を目で追うと奥の部屋に入って暫くして花柄のエプロンと青い三角巾をしてカウンターの奥に出てお仕事を始めています。
 
そうこうしている内に、奥から一人「お疲れさまでした」とお店の外へ。
 
暫くまた読書を続けていると背後からカチャ、カチャカチャカチャ、カチャカチャと食器が震えぶつかり合う音が近づいてきました。
 
料理が来たと思い、本を閉じ鞄の中へ。
振り返るとその刹那、ガシャッと大きな音が。
 
見上げると、宙に浮いた大豆ミートのハンバーグと茶色い液体の膜が視界に飛び込んでました。
 
あっ避けきれない。無理。
 
そう悟った私は、顔を下に向けて全身を固く硬直させ全てを受け入れました。
 
固いものが頭にぶつかり、柔らかい何かが肩にあたり液状の何かがじんわりジーンズを濡らし、ゴワンゴワンと食器やプレートの転がる音だけが響く。
 
瞼をゆっくり開くと、太ももの上に大豆のハンバーグが「やぁ」と言わんばかりに堂々と居座っていました。
 
顔をあげると奥にいたお客さんは驚いた表情でこちらを見て固まり、目の前には先ほど出勤してきた女性が両手を前に差し出し、強張った表情のまま涙目で立ち尽くしています。

後片付け

そうこうしていると奥からさらに女性が店内を走ってきて、事の次第を確認したのか

「申し訳ございませんでした!」

と慌てた様子で、他の店員の方と私の身体を二人掛かりで拭き始めました。
 
「大丈夫です、大丈夫。自分で身体は拭くので食器をお願いします。」と諭し、床に転がった食器の後片付けをお願いしました。
 
怒りは何も生まないと日頃考えているせいか、ハンバーグが降ってきても私自身怒りや負の感情は一切湧き出ませんでした。
 
むしろ店内を騒然とさせてしまったことに申し訳なさを覚えながら、手渡されたおしぼりを使い、せっせと洋服拭いていると荒い呼吸音が聞こえてきました。
 
呼吸音のする方へ目を配ると、私にワンプレートを飛ばしてしまった女性が荒い呼吸のまましゃがみ込んで動けない様子。
 
私は咄嗟に過呼吸かもしれないと思い、床の食器を片付けている店員の方に「紙袋かビニール袋をください」とお願いして周囲を見渡す。
 
他のお客さんや店員さん含め男手は私だけ。
 
動けなくなった女性に「過呼吸かもしれないから」と一言伝えてそのまま抱えあげソファに移動させたあと、袋の中でゆっくり呼吸をするようにお願いをしました。
 
直後はそんな状況もあってかなり騒然としましたが、過呼吸も治まり落ち着いた後、「ごめんなさい。」と一言謝罪されました。
 
なんだか、緊張から一気に安堵したのか急に私も可笑しくなってしまい笑いながら「大丈夫です」と一言。
 
お店の方から猛烈な謝罪の嵐にあい、色んな汁で服も汚れ早くクリーニングしないと落ちなくなってしまうので、何も食べずにその日はお店を後にすることにしました。
 
去り際、クリーニング代をお支払いしますのでとお店の方に名刺を渡されそこで初めてA型・B型支援事業所という文字を見たですよね。
 
ん?一般的な会社とは違うのかなと考えながらも、
お店の方に
 
「クリーニング代は結構ですが、来週末にまた来ます。」
 
「その時に、タンポポコーヒーを是非飲ませてください。」
 
それだけをお願いしてお店を後にしました。
 
雪が降る中、体から色んな匂いのする服を着て歩いていましたが過呼吸になった女性のことが気がかりで仕方ありませんでした。
 
驚いただろうな。
 
お店の人に怒られてるんじゃないだろうか。
 
失敗して落ち込んでいないだろうか。
 
そんなことを頭に巡らせながら、雪を踏みしめ帰宅しました。
 
その2へ続く
 

 

 

はじめまして、たおです。

 

このブログでは、双極性障害Ⅱ型の妻(てん)との日常生活や

これまでの生活で感じたことを綴っていこうと思っています。

 

自己紹介

たおニコニコ 30代 コンサル系の会社に勤めているサラリーマンです。趣味はアウトドア、ドライブ、音楽と映画鑑賞や読書。

 

てんニコ 30代 近年までA型支援事業所に通所。お家で主に家事をしています。趣味は模索中、カフェ巡りと小物作りが好きな様子。

 

出会って4年、お付き合いは3年前、結婚して1年。

 

私もてんもエスパーじゃないので言語化しないと伝わらない。


だから愛情は常に口に出して表現しています。

 

てんにはお付き合いしてから毎日伝えていますが、心の底から愛してます。

ブログの目的

目的はてんが自身の様子を俯瞰して見れるようにすることと二人の歴史整理です。

てんは日記をつけるのが苦手で、主治医の方への記録提出をしばしば忘れてしまうので…

そういう所が愛らしいんですが。

 

私自身このブログを通して

  • てんと同じような境遇の方とのコミュニケーション
  • 闘病を支えるご家族の方とのコミュニケーション
  • メンタルヘルスへの理解向上
  • 私自身の思考整理

これらを得られればいいなと思ってます。

 

読んでいただいた皆さんへ

最初は、これまでの生活から感じたことを投稿することが多くなりますが気楽に書くので、皆さんも気楽に読んでいただければ幸いです。

 

夫婦ともども、よろしくお願いします。

 

あと、てんと同じような境遇の方もいらっしゃると思いますがたお自身は自己紹介でもお伝えした通りお医者様ではなく、てんの夫でありサラリーマンです。

 

本ブログに綴る内容は妻の場合なので、ご自身の治療についてはご自身の体調、ご家族の意見、主治医の方の指示に従って治療を受けていただくようお願いいたします。