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スッパ抜きで有名な文春で こんな記事が出るんだなあ②絶海の孤島 青ヶ島に1週間 滞在ルポ : 丹沢z3の気まぐれブログ

 

前編スッパ抜きで有名な文春で こんな記事が出るんだなあ①絶海の孤島 青ヶ島に1週間 滞在ルポ  の続編です

2024/04/20 体験者は フリーライター 仲 奈々
人口156人 上陸困難な“絶海の孤島”青ヶ島を現地取材! 1週間生活して分かった“リアルな島暮らし” | 文春オンライン (bunshun.jp)
 

東京都心から約360km離れた絶海の孤島 青ヶ島
2024年1月1日時点の人口は156人「日本一人口の少ない村」だ

青ヶ島滞在記200


青ヶ島に行くには 八丈島から1日1便9席しかないヘリコプターか
週に5回運行している連絡船を利用する必要がある
連絡船は 流れの速い黒潮の影響で予定どおり運航するとは限らない
黒潮に加えて強い西風が吹く冬場の就航率は 5割を切ることも多い

今回は 前編に引続き 特に上陸しづらい「冬の青ヶ島」に1週間滞在して
現地を取材した様子をお伝えする
島の物流の要である連絡船が 8日ぶりに運航することになった
久しぶりの船の到着に 島はどんな変化が起こるのだろうか(全3回の2回目)

絶海の孤島 青ヶ島

青ヶ島滞在記201


◆荷物を積んだ連絡船「あおがしま丸」が港に到着
2023年12月19日 島しょ地域のブランド化を推進する「東京宝島
アクセラレーションプログラム」が支援する 移住体験プロジェクトの参加者として
筆者が青ヶ島に滞在して4日目

青ヶ島に8日ぶりの連絡船が到着することになった
前編でヘリポートから集落までは徒歩で行けると書いたが

港と集落は歩くと1時間以上かかる
そのため 連絡船を使って青ヶ島に上陸する場合は レンタカーの予約が必須だ

私も この日は レンタカーで港まで行った
12時半頃 青ヶ島唯一の港である「三宝港」に 連絡船「あおがしま丸」が到着した

8日ぶりに連絡船が到着

青ヶ島滞在記202


三宝港を「青ヶ島唯一の港」と紹介したが
地図上には島の南東部に もう1つの港「大千代港」が存在している
連絡船の就航率が5割前後と低い青ヶ島では かつて その状況を解消するために
青ヶ島第二の玄関口として大千代港の整備が進められていた

島の南東部に存在する もう1つの港「大千代港」(グーグルマップより)

青ヶ島滞在記203

 

通行止めの表示が島中至るところに 断崖絶壁に囲まれた島を実感する

青ヶ島滞在記204


しかし 1994年9月に崩落事故が発生

港に向かう道路が崩落し 大千代港は実質廃港となった
この事故で3人が犠牲になり 現在も大千代港への道路は封鎖されている

◆書店や服屋 家電量販店が無い青ヶ島の“買い物事情”
「あおがしま丸」の到着に話を戻そう
連絡船が着くやいなや 何十台ものコンテナが陸揚げされる
コンテナ1つ1つに 島民がAmazonやヨドバシカメラで注文した荷物が積込まれている

本土から直接は行けない二次離島の青ヶ島は 配送に手間も時間もかかるので
送料が高くなることが多いので
島への配送でも送料無料のAmazonやヨドバシカメラで注文することが多いのだ

次々と陸揚げされたコンテナ

青ヶ島滞在記205


島には書店や服屋 家電量販店が無いため 本やマンガ 服 電子機器 家電製品も
ネット通販で購入するのが基本だ
その他 調味料や飲み物 お菓子も通販で購入する人が多い
ネット通販に頼ることが多いためか 青ヶ島の住人は子どもからお年寄りまで
スマートフォンを使いこなしている姿が印象的だった

ネットで注文した商品が、コンテナに積込まれて運ばれてくる

青ヶ島滞在記206


◆港には「全島民がいるのでは?」と思うほど人が集まる
「食品は商店でも売っているけど 送料がかかっている分 割高なんです
だから あらかじめ使うと分かっているものは通販で注文しています 商店は

『どうしても今すぐ必要な物』の購入時のみ利用している島民が多いんですよ」

前編に続き 青ヶ島の日常を発信するYouTuber 佐々木加絵さんが教えてくれた
加絵さんは YouTube以外にも 配送業や民宿の手伝いをしている
船が到着した日は 彼女が配送業に力を入れる日だ

配送車に荷物を積込んでいく加絵さんたち

青ヶ島滞在記207


加絵さんは コンテナから1つ1つ荷物を取り出し 配送用の車に積込んでいく
この日は8日ぶりの船の到着ということもあり 普段の倍は荷物があるのだそう
そのためか 港には「全島民がいるのでは?」と思うほどの沢山の人が集まって
荷物の仕分けをしていた

港には島民の車がズラリ

青ヶ島滞在記208


「殆んどの人が『今日は荷物が多いだろう』って手伝いに来てくれている人たちです
人口が少ないから 誰かの仕事が大変な時には こうやって助け合っているんですよ」と
加絵さんが説明してくれた

◆世界的に有名な「二重のカルデラ」がある場所へ向かうと…
大量に荷物があったが 大勢で運んだため約1時間で作業は終了
その後 レンタカーで「池之沢」地区へ繰り出すことに
青ヶ島のシンボルでもある 二重のカルデラがある場所だ
三宝港からは車で5分 集落からは車で10分ほどで 徒歩で行くのは難しい

二重のカルデラがある「池之沢」地区

青ヶ島滞在記209


カヌレのような部分を「内輪山」カヌレの外側の部分を「外輪山」と呼ぶ
外輪山の中は観光客も散策出来るが 内輪山の入り方を知っているのは
島民でも ごく一部の人に限られているのだそう

外輪山の中を散策

青ヶ島滞在記210


ちなみに 伊豆諸島 最南端に位置する青ヶ島の緯度は 宮崎県とほぼ同じ
また 付近を黒潮暖流が流れているため 年間の平均気温は宮崎県よりも高く
冬でも10℃を切ることは少ない

さらに この池之沢では「ひんぎゃ」(“火の際”を語源とする島言葉)と

呼ばれる火山の熱で蒸された水蒸気が発生しているため

12月でも半袖1枚で過ごせるほど暖かかった

12月の池之沢 長袖だと腕まくりしてしまう暑さ

青ヶ島滞在記211


◆地熱釜と「ふれあいサウナ」を楽しむ
1966年に東京電力青ヶ島内燃力発電所が設置されるまでは 島内で電気が使えず
ひんぎゃが主なエネルギー源だったのだそう

池之沢には ひんぎゃを利用した「地熱釜」や「サウナ」もある

地熱釜は島民以外の観光客も無料で利用可能 サウナは300円で利用出来る

ひんぎゃを利用した地熱釜

青ヶ島滞在記212

 

卵 さつまいも じゃがいも チョリソーを地熱釜に入れて待つことに

青ヶ島滞在記213


釜に食材を入れて2時間ほどで天然の蒸し料理が完成する
待っている間は 地熱釜のすぐ隣にある「ふれあいサウナ」を利用することに

◆地熱を利用したサウナは冬なのに異様に暑い
地熱を利用しているから 季節によって55~60℃の振れ幅があるというこのサウナ
滞在中は冬でもあり 普段からサウナに入っている筆者は「ぬるいんじゃないか」と

侮っていた
が ドライサウナではなくミストサウナのためか
5分と耐えられない程 サウナ室の中は異様に暑かった
しかし 島の人達は この暑さに慣れているのか 涼しい顔をして楽しんでいた

地熱を利用したサウナ

青ヶ島滞在記214


脱衣所の隣にはテレビ付きの休憩室もあり ゆっくり過ごすことが出来る
次に来た時は 5分以上は入っていられるようにリベンジしたい

サウナのフロントにあった 懐かしいピンク電話と青ヶ島村の謎の村内電話

村内電話は 島民も何に使うのか良く分からないのだそう

青ヶ島滞在記215


サウナから出る頃 釜で蒸した野菜が ちょうど頃合いに
さつまいも じゃがいもはホクホク ホロホロに 卵は黄身がトロトロの半熟卵に
チョリソーは皮はパリッ 中は噛むと肉汁がジュワッと溢れ出すジューシーな仕上がり
あっという間に平らげてしまった

“ひんぎゃ”で蒸した食材たち

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食事が終る頃には 日が傾き始めていた
加絵さんに「港から見る夕焼けが絶景だ」と聞き 再び三宝港に戻る

青ヶ島の近くには 他の島は無い
遮るものが何も無い地平線の向こうに沈んでいく夕日を

最後の瞬間まで眺めることが出来た

青ヶ島滞在記217


◆青ヶ島の知られざる“お酒事情”
青ヶ島の“飲み会事情”を紹介しよう
青ヶ島といえば独自の製法で作られる幻の焼酎「青酎」が有名だ
島に自生する植物「オオタニワタリ」と野生の菌で作るため大量生産出来ず
作る人や年によっても味が異なるのが青酎の特徴で
島内の岡部地区にある「青ヶ島酒造合資会社」では 杜氏の解説を聞きながら

試飲が出来る

人口約160人の島に 10人の杜氏がいるのだそう

青ヶ島滞在記218


青ヶ島の人たちは 美味しい食事と美味しいお酒が大好きなのだが
島には小さな居酒屋が1軒しかないので 飲み会は基本的に誰かの家で行う
滞在中も 毎日のように島の人達の飲み会に招いてもらった

青ヶ島滞在6日目 最後の夜は 青酎に魅入られて数年前に移住してきたHさんと
青ヶ島の自然に惹かれて半年前に移住してきたMさんの自宅に招かれた

◆島民の家で“宅飲み”しながら語った“青ヶ島のリアル”
最初にHさんの自宅で移住について話を聞いたあと Mさんの自宅に移動し
Hさんも含めた島の人たちと飲み会の準備をする
この日は船が到着して食材がたっぷりあり 皆んなで海鮮とお肉を使った鍋を作り
酒食を共にした

3食すべて自炊だからか 青ヶ島の人達は老若男女問わず皆んな料理上手

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HさんもMさんも 共に村役場の職員として移住してきて 現在は村営住宅に住んでいる
島では現在 役場で職員が住む村営住宅の改装に力を入れているという
HさんとMさん どちらの住宅も新しく内装も洗練されていた

美味しい食事と 美味しいお酒を囲みながら 島について語り合う
 

・いつも風が強いけれど そのおかげで澄んだ きれいな空が見られる
・都会では簡単に手に入るものが手に入らないが

 島では新鮮な野菜や卵がいつでも手に入る
・自分のことは何でも自分でしなきゃいけないけど

 だからこそ島には器用で多才な人が多い
・人口が少なくて いつも人手が足りないけど その分 支え合って生きている

これが 実際に滞在したことで分かった青ヶ島での“リアルな暮らし”だ

移住してきた2人に島の生活で不便に感じることを聞いたら
少し考えた後「コンビニの新作アイスが食べられない」

「たまにマクドナルドが恋しくなる」 

あわせて「でも そのくらい」と答えたのが印象的だった

Mさんが住む村営住宅の外観

青ヶ島滞在記220


◆なぜ島民以外にも こんなに優しく接してくれるのか?
青ヶ島滞在の7日目 とうとう最終日だ
自生している明日葉を持ち帰りたくて民家周辺を散策していたら
近所に住む方が食べごろの明日葉探しを手伝ってくれた

葉が大きくて柔らかいものが 食べごろらしい

青ヶ島滞在記221

 

茎を折ると 黄色い つぶつぶがついているのが特徴

青ヶ島滞在記222


採れたての明日葉を抱えて ヘリポートへと向かう 島民の方々と ついにお別れだ
ヘリポートの前には 見送りの人たちが集まってくれた

皆さんと別れの挨拶を交わし 名残り惜しさを感じつつ 帰りのヘリコプターに乗込む
当初は長いと思っていた1週間の滞在も あっという間に過ぎてしまった

青ヶ島の空の窓口 ヘリポート

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今回の旅では 20人以上の島の人に会うことが出来た
「こんな話が聞きたい」と伝えると「じゃあ あの人に会いに行こう」と快くつなげて
そして受け入れてくれた島の人達のおかげだ

なぜ島民以外にも こんなに優しく接してくれるのか 加絵さんに聞いてみたところ
「島には転勤で来る東京都の職員や 移住で来る人が多い
その人達も含めて皆んなで助け合って生活しているから
人のつながりを大事にする島民が多いのかも」と教えてくれた

見送りに来てくれた島民

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絶海の孤島 青ヶ島 上陸するのが困難なゆえに
他の土地と比べて 生活する上で制限されることも多い
しかし そこには 青ヶ島の歴史や文化
そして今あるものに感謝をしながら豊かな生活を送っている島民の姿があった