僕は、飲み屋でも、ラーメン屋でも、同じ店に通い続ける癖がある。

ラーメン屋などは、昔ながらの工夫のあまりない店よりは、チェーン店の独特な味が好きなのだが、そういう店に通っても、前に来たことを覚えてくれていて、「お、また来たね」などと言われることはあまりない。

でも、何度も、行っているんだから、覚えて欲しいという欲求が僕にはある。

そこへ行くと、職場近くの古いラーメン屋などは、一人で店をやっているラーメン職人のおばさんが、完全に僕を覚えてくれていて「今日は寒いね」とか「ミカン食べるかい」とか、やたら、話しかけて来てくれる。

何か、嬉しい。

同じようなことは、馴染みのスーパーでも。

行きつけのスーパーがある。

そこで、毎回、「ポイントカード、お持ちでしょうか?」と訊かれ、「いえ」と答えるのだが、昨日も一昨日も、その前からずっと「ない」と言っているし、作る気もないのだから、突然、今日からあるはずないではないか。

などと思っていたら、昨日、とうとう訊かれなかった。

いつも20時半から21時くらいに寄るスーパーがあって、そこで、晩酌のツマミを得るべく“半額刺身狩り”をして帰宅するのが日課なのだが、毎日、ほぼ同じ時間に行くから、ほぼ同じレジ打ちのオバチャンだ。

昨日、とうとう、ポイントカード所持についての問いがなかったのである。

別に「いつも半額刺身を処理しに来てくれてありがとうございます!」と言われたワケでもなく、むしろ、かけてもらう言葉が減ったのだが、ポイントカードを持たない8時半の男として、自分が認知されたようで嬉しかった。

ネジ曲がった社会性ですみません。