「バレンタインデー」
田中君は
社会人になるまでチョコを貰った事がなかった
バレンタインデーなるものは恋人同士の習慣で
コマーシャルでやってるのは特別な人達のもので
自分とは無関係である
高校も男子校だし大学も工学部で女子はいなかった
ところが社会人になったとたんに
義理チョコなるものがいきなり机の上においてあり
びっくりしたのだが
更に驚いたのは3月14日の前になると
ホワイトデーでお返しするので
分担金を徴収された事である
なんだか妙な習慣だなぁ
と思っていたら義理チョコは禁止になりました
という通達と共に職場では貰わなくなった
だがその頃から飲み屋通いが頻繁になり
2月14日になると大きな紙袋を持って
飲み屋回りをし始めたのだが
チョコの数も30個を超え出すと
3月14日のお返しが莫大な金額になり始め
それも止める様になると
一部の親しいおねえちゃんやママさんから
2月14日以外の日に行っても
チョコを渡される様になり現在に至る
その間恋人がいた時期はネクタイとかも貰ったが
最近はとんとそんな事も無く
ま、田中君にとってクリスマスと同様
所詮はキリスト教の習慣を日本人が勝手に
お祭り騒ぎにしたにすぎず景気の低迷に伴い
下火になっていくのである
大体、男子でチョコ大好きの割合は
女子のチョコ大好きの半分以下じゃなかろうか
チョコレート屋もそこんとこよぉく考えていない
だから最近は自分チョコやら友チョコなんて習慣に
スライドしているではないか
だが、韓国の箱いっぱいにチョコを詰めてる
おねえちゃんの映像を見たら
韓国のお兄ちゃん達は大変だなぁ、と思った
どうせ、一緒に食べさせられるんだよね、あれは
更にホワイトデーは倍返しだし
簡単に断れる様な思い入れじゃないし
しかも、4月14日は寂しく黒い服を着て
売れ残りのおねえちゃんと合コンしながら
黒い麺を食べなくちゃいけない習慣があり
3ヶ月なんにもおきなければ黄色い服着て
カレーを食べるらしい
ここまで来ると罰ゲーム感覚じゃないか
しかしここまでやってるのに韓国の少子化は
日本よりも進んでいるてのも不思議
と田中君は思ったのであります
41日目
ちゃかちゃんりんちゃんりん
皆様、金玉亭タヌ助でございます。
えー、本日もつまらない話をおもしろおかしく話す
時間がまいりました。
お時間が許しましたなら、最後までお付きあい下さいませ。
さて本日は前回に引き続きましての霊の話、
というよりは生まれ変わりの話でもしてみましょうか。
「おい、ポン吉。おまえさんは生まれ変わり、
輪廻転生てのはあると思うかい。」
「うーん。まあ、よくあなたの前世は、てな話を
テレビでもしてますから、あるんじゃないですかい。」
「ふん。テレビなんてのは、報道番組以外は
ほとんど造りモンだけどな。
最近、その報道番組も造りモンがちょくちょく
出てきちまったがね。
ま、それはともかく、じゃぁ、転生があるとすれば
現在生きている人達の多くは人間からの転生じゃない
てことになるわけだね。」
「え?またどうしてですかい。」
「全世界の人類の人口てのは過去から考えて
現在が一番多い。更にぃ」
「え?更に?」
「お前の様に、次に生まれてくる時は
確実に人間以外になる事が決まってる奴も多い。」
「師匠ぉぉ。御願いですから、人間に生まれ変わらせて。」
「おいおい、それは頼む相手が違うぞ、と。
しかも、どうせ、前世の記憶なんざねええんだから
何に生まれ変わっても、それなりに生きりゃいいんだよ。」
「え?前世の記憶は無くなっちゃうんですか。」
「いやだからお前もそんなもん無いだろ。
前世が狸だったとか、前世が蚤だったとか
前世がゾウリムシだったとか、前世がミズムシだったとか、さ。」
「えーー?ミズムシも生まれ変わるんですか。
ていうか、いやですよ。ミズムシの生まれ変わりなんて。」
「うーん。ミズムシの生まれ変わりの奴てのは
次に生まれ変わるとしたらミズムシの可能性が高いのかねぇ。」
「大体、ミズムシに意識なんか無いでしょ。
生まれ変わりがあるとしたら、意識のある生物でないとねぇ。」
「いや、食用の家畜に生まれ変わったりする位なら
意識の無い生物に生まれ変わる方が幸せかもしれないぞ。」
「師匠はどうしてそこまでマイナス思考になれるんですか。」
「いや、ただあらゆる可能性を追求してだな。」
「もう、いいです。生まれ変わりなんて無いことにします。
輪廻転生なんてもんはない。そう思い込む方が幸せです。」
「そんなこと言ってると次は根性大根だな。」
「なんですか、それ。」
「アスファルトからやっと顔を出したらポッキリ折られる。
今のおまえさんの落語家人生そのまんまだな。」
「それを言うなら落伍人生。」
「自分で言ってりゃ世話ねえなぁ。」
とゆうところで
お時間もよろしいようですので
続きは、又の機会にという事で。
ちゃかちゃんりんちゃんりんちゃんりん
40日目
ちゃかちゃんりんちゃんりん
皆様、金玉亭タヌ助でございます。
えー、本日もつまらない話をおもしろおかしく話す
時間がまいりました。
お時間が許しましたなら、最後までお付きあい下さいませ。
梅雨から夏が近づくこの時期になりますと
高座に怪談噺をかけるもんも増えてまいりますが
古典落語の怪談噺も結構怖いものも多いんですが
ちょっと、現実感に欠けてしまう。
だもんで、リングてなホラー映画や
稲川淳二の怖い話なんてのが落語よりも面白い
ていうか、ずっと怖い。
じゃ、てんで新作落語で怪談を作るてのも
なかなか難しいもんで、落語家なんてのは
笑いのセンスは有るんだが怖い話のセンスがなかなか無い。
じゃ、てなもんで
一つ作ってみました。
いや、作った話で、決して本当の話じゃない。
てことにしときますんで、ちょいと聞いて下さい。
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で最近、自殺する人てのが死亡原因でかなり
上位にランクして参りまして、落語家でも
自殺しちまうもんがぼちぼちいる様ですが
この話はその自殺した落語家の話なんですね。
ま、本当の名前を出しちまうと何かとさしさわりが
ありますんで、ちょいと弟子の名前を借りまして
金融亭ぽん吉とでもしときましょうか。
で、ぽん吉もめでたく真打ちになりまして
師匠、師匠なんて周りから言われまして
ちょいと天狗になっておりますと
ある日の高座で、二つ目の若手より自分の落語に
笑いが少ないてなことに気付くわけですな。
そこで、師匠にあたる名人に相談するんですわ。
「師匠、最近、あたしゃスランプになっちまって
落語を心から楽しんで話せないんです。
それよりも、あたしゃ、もともと落語家に向いて
ないんじゃないですかね。」
「おまえさん、そりゃ違うよ。落語てのは、
技術八分にセンスが二分てなもんで
今のレベルならまだまだ伸びますよ。
でも、そんなに悩んでいるんなら、ちょいと
修行に行ってみるかい。」
てな事で、あるお寺に修行に行くことになりまして。
修行ていってもお寺の事ですから、座禅をくんだり
掃除をしたり、てなもんで、
なんでここにいるんだろう、てな事を思ってると
和尚が「ここの寺でひと月に一回、近所のじいさん達が
趣味で落語の回をやってるんで、聞いてやってくれるかね。」
てなことを言われて、その夜、お堂で落語会が開かれまして
明かりは全て蝋燭でいかにも不気味な雰囲気で
じいさん達が6人と和尚が車座になって座っておりまして
ポン吉もそこで座って待っておりますと
最初のじいさんが怪談話を始めます。
いや、うまいのうまくないの、怖いの怖くないの
て、半端じゃない。背筋から冷や汗がつーと流れるのが
解るくらい怖い怪談噺なわけで。
で、噺が終わると蝋燭の火が一本消えるとともに
そのじいさんがすぅっといなくなる。
和尚にあのじいさんなにものかて聞こうと思うが
声すら出ない。
て思っていると次のじいさんの噺が又始まる。
で、噺が終わると又蝋燭の火が一本消えるとともに
そのじいさんもすぅっといなくなる。
落語の方も怖さが徐々に高まって
あたりの気温もめっきり寒くなって来たときに
最後のじいさんが雪女の噺を始めた。
で、雪女が息をふーっと吹きかけたてなくだりで
急に冷気が襲ってきて、ぽん吉は気を失った。
翌朝、ふと目を覚ますと傍らに和尚が
お茶を飲みながら聞くわけだ。
「どうだったい。昨日の落語は。」
「いや見事でした。とても素人とは思えません」
「じゃ、昨日のじいさんたちがあんたの落語で
勉強したい、て言ってるんで今夜は師匠がやって下さいますね。」
とても出来ない、と言おうとしたが、何故か和尚の目が
ぎろりと光った瞬間に思わず
「はい。」
と答えてしまった。
でその夜、
ぽん吉師匠が怪談噺を昨夜の順番通りする事になったんだが
昨日の噺が記憶にあるので、どうしてもつっかえてしまう。
とその瞬間にじいさん達全員がすっと消えてしまった。
翌朝、ぽん吉が和尚に
「一年後にもう一度やらせてください。」
てな事を頼み込み。
血のにじむ様な努力で、なにかに憑かれた様に
1年間、怪談噺ばかり稽古するんだが
一席終わった時の口癖が「まだまだだ。」
そして時が過ぎ、10年の歳月が流れ
怪談話のぽん吉師匠なんて人が言う様になった時
再び、あの寺を訪れる。
そこで、和尚に頼み込む。
「遅くなりましたが、あのおじいさん達に
落語を聞いて貰いたい。
だが、心配なのは、みなさん健在でしょうか。」
「わかりました。
それではみなさんに集まっていただきますので
今夜12時にお堂の方へおいで下さい。」
で、12時にお堂へ行くと
和尚とじいさん達が車座になって座っている。
不思議なことに歳を取ってるのは和尚だけ。
そこでぽん吉が噺を始める。
1つ噺を終えると蝋燭が1本消える。
最後の雪女の話を終えると
じいさん達が満足した様に蝋燭の火の様にすっと消えた。
「よく修練されましたな。これで成仏できますな。」
という和尚の声と共に最後の残った蝋燭が消え
ぽん吉もすぅっと消えた。
そこのお寺には江戸時代の落語名人6基の墓の隣に
ぽん吉のまだ新しい墓が建っているといいます。
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「へへっ、どうだい、ポン吉、怖い話だろ。」
「あたしゃ、まだまだ、名人にゃほど遠いんで
当分は大丈夫ですね。よかった、よかった。」
「こら、落語が下手なのを喜ぶ落語家がどこにいる。」
とゆうところで
お時間もよろしいようですので
続きは、又の機会にという事で。
ちゃかちゃんりんちゃんりんちゃんりん