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寺島実郎氏講演

所属するロータリークラブの、県大会にあたる「地区大会」が成田で開催されました。
寺島実郎・日本総研理事長の講演でした。


世界目線の経験を元にした、様々なデータに基づくお話は、説得力があり、とても勉強になりました。


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バングラデシュのダッカのテロ…
日本人7人が殺されたことが、報道の全て。
339人の被害者が出たことを全く報道しない。
これが内向き日本の象徴。
シンガポールのメディアは全体像をひたすら分析していた。


飛行機内で、オリンピックやCNNを、ライブで見られるようになった。大きな前進。
また、ホノルルに行ったら、店でヤモリに遭遇。Googleの画像検索ですぐ情報がわかった。
便利で効率的になった。でもそれは、お任せ。
ある事態が起こったときに、問題解決できる力があるわけではない。
他人依存の情報環境になりつつある。


世界経済…
米国経済は好調。2%強を維持。化石燃料、IOTで。
米国だけが、金利引き上げできるほど、実体経済が手堅い。引き締まっている。

欧州は、英のEU離脱がどう出るか、だが、
43歳より年上は、離脱賛成。年下は、残留派だった。
日中韓の10大学で、単位交換できるようにしたが、欧州のエラスムス構想で、他国と単位交換できるのが普通になっている。
…若い人が交流したがっているのに、老人が遮っている構図。

イギリス産業は、ものづくり国家の力はない。バイタル産業は、金融。マネーゲーム。ロンドンのシティ。
かつてはロールスロイスがあった。いま、車のロールスロイスはドイツのVWの傘下。ジャガー、ランドローバーも、インド企業の傘下だったり。
欧州の金融の肥大化がすすみ、いま金融取引税を課そうとしているが、シティはこれを嫌っている。


イギリスは「ユニオンジャックの矢」
ロンドン、ドバイ、バンガロール、シンガポール、シドニー。
ガーンジー島、ジャージー島は、英国王室属領。ここがタックスヘイブン。
キャメロン首相はパナマ文書で急速に人気を失った。
金融が中心産業だとこうなる。


日本…
見通しのたびに経済成長は、低下。
ゼロ成長をさまよっている。
IMFはマイナス成長からプラス成長にしたが…
異次元緩和など言っているが、海外の見方は、「いつ第3の矢は飛ぶんだ?」



もはや一人当たりGDPで、日本はアジアの先頭ではない。
アジア3位。世界26位。
日本3。2万ドル。シンガポール5。3万、香港4。2万。
ブルネイは原油価格下落で下がったが、韓国は3万近い。台湾は2。2万。
中国は0。8万。
かつて日本が支配していた地域が、いま日本以上に豊かになりつつある。
どうやって付加価値を生み出したか?
工業生産力を持たない都市国家が。


日本は、人の移動と交流で日本を豊かにする必要がある。
2000万人の訪日。特に、中国人がやって来ることに、内心失望。しかし期待もある。
原則として、一人当たりGDPが5000ドルを超えると、海外旅行に関心高まる。1万超えると、集団旅行から、個人旅行が増える。
日本はアジアの先頭?今はそんな状況ではない。


異次元金融緩和。
アメリカは金融危機回避。
日本はデフレ脱却のため。リフレ経済、調整インフレ。
GDPの75%、400兆円のマネタリーベースにした。4倍にした。海外は25%ほど。
一方貸出残高は400兆円から10%ほどしか伸びていない。


株価が持ちこたえているのは…公的資金。
GPIFと、日銀ETFで、39兆円。
海外でこんなことは皆無。会社経営でいえば、自社株買い。これがなければ12000円程度。
実際、経済成長を誇るためには、株価しかないのが実態。


所得、家計支出は全然伸びていない。
1990年と、今でも、勤労者世帯可処分所得は、44万前後でほぼ変わっていない。
バブル崩壊後も少し伸びた、97年がピークの49万円。
それ以降42万円まで減った。
いまは42。7万。ピークから年80万円減ってるのに、消費増えるはずない。


家計支出も、日本は貧困化している。
2000年から2015年で、約3万円月額減っている。
増えている項目は…通信。15%。諸雑費も…スマホのケース、ハロウィンコスチューム。
自動車等関係費も伸びてる。地方都市では自動車は必需品。買い物も、介護も、教育も、一家に二台。

減っている項目は…衣食住。
衣食住も、食は-3%。住は-13%、衣は-26%減った。
この時代に成功しているビジネスは、デフレを逆手に取るビジネスモデル。ユニクロも、ニトリもそうだが、お値段以上。

こづかい、交際費、外食、酒類も。…日本はシケてきた。
授業料は教養も。…日本人は学ばなくなった。
内向きな日本。
テレビ番組の内容に、ある傾向がある。
シケているので、日本をすごいと持ち上げている内容が多くなってきた。



就業者の移動…
製造業286万人、建設業153万人が減ったが、サービス業583万人増やした。失業率は改善した。
しかしサービス産業の平均給与は-97万円。医療福祉、宿泊飲食業だと-200万円。
雇用条件が悪い方に就業人口を移動させた。


この先日本を、シンガポールのような伸びる国にするには?
新観光立国論。サービス産業の高度化。
2泊3日3万円のツアー客を集めても、観光は柱にならない。
ハイエンドのリピーターを増やすべき。
医療ツーリズム、インダストリアルツーリズム、歴史ツーリズムなど、付加価値の高い観光。

シンガポールや仁川と比しても、勝てる地帯に。
京浜工業地帯は存在しない。新しい産業を育てなければならない。
それには医療。医療特区。神奈川県・川崎市と組んで進めている。医療を目的とした観光。
シンガポールは先端的な医療機関が集積している。金持ちを集めている。

産業視察も。先端産業の様子を見に来る。苫小牧東プロジェクトなど。

リニアも。東京名古屋が40分でつながる。大阪も前倒し。
中間駅インパクト。品川相模原が10分。かつ、相模原は、圏央道も通る。