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海自元海将補の講話!

昨晩は、政経倶楽部の例会に参加し、
宮地稔・海上自衛隊元海将補による「軍事力の不均衡や空白がもたらすもの」をお聞きしました。


大変具体的で非常に面白く、あっという間の90分でした! iPadで夢中でメモしました。
やはり軍事は、もっともっと学ばねばならない、日本はその教育が欠け過ぎている、と強く感じました。


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自分はP3Cに乗っていた。
その範囲は四国全体くらい。監視だけならもっとはるかに広いが、潜水艦からの情報を使うとなるとそれくらい。
なお、日本の潜水艦の能力は世界トップクラス。
空母は打撃力は高いが、潜水艦に弱い。アメリカ海軍、空母を守っているのは日本の潜水艦。


国の3要件。国土、国民、政府。反例…ユダヤ、バスク、クルド。
お互いの承認も必要。反例…ISIL。
自衛隊は、この3要素を守る。
世界的には、自衛隊は、日本の旧軍の継承と見られており、大変尊敬されている。力があるとみなされている。


自衛隊と軍隊との違い。
1、軍法会議がない。通常、裁判と別に、もつ。
アメリカ国防省は、平時ではなく有事対象。しかし日本はそうなってない。
2、大使館の駐在武官(軍事情報スパイ)が、防衛駐在官。しかし外務省職員としての扱い。スッキリした軍人になれていない。
3、捕虜の取扱い。ジュネーブ条約で決まっているのだが、日本人が捕虜になったとき、その扱いを受けるかグレー。


安全保障法制。
軍事力の不均衡や空白がもたらすもの、そのもの。


不均衡の例1…フォークランド紛争。
イギリスは、軍事費が膨大なので、軽空母を開発。インビンシブルなど。ロールスロイス社がハリヤーを開発し、その上で運用。
アルゼンチンは、目の前のこの島が欲しかった。イギリスが空母売却するのを注視していた。軍縮しているのを見ていたので、まさかこの遠島をイギリスは取りに来ないだろうと思って取った。
ところがイギリスのサッチャー首相は怒り狂い、空母売却もやめて、奪還した。


不均衡の例2…北方領土。
まさに軍事力の空白を狙われた。
中立条約は、片方が破棄してもいいとなっている。ただし破棄しても1年間は有効となっている。しかしソ連は満州や北方領土に侵攻。米英は見て見ぬ振り。これが不均衡の結果。


不均衡の例3…竹島。
李承晩は、対馬と竹島は韓国によこせ、と言ってきた。
アメリカは拒絶したが、勝手に李承晩ラインを引いた。領土とはいわず。
日本は、武装解除していたため、対抗手段がなかった。


不均衡の例4…東西冷戦そのもの。
東西で軍事力の競争をしていた。しかし経済力ではアメリカが圧倒。
ソ連はそれにはかなわないので、猛烈なスパイ合戦をやった。
たとえばアメリカが開発したF15は、ソ連がほぼ同じものを開発。
イギリスのハリヤーなども。
そこでアメリカは対抗すべく、巨大な構想を練った。800隻海軍構想。スターウオーズ構想。…膨大な金がかかった。
結局、軍事と経済は相反する。掛け捨ての保険のようなもの。それでソ連経済が破綻した。ソ連崩壊の根底には、レーガンのしかけた軍拡競争があった。



安全保障法制に対して、野党は立憲主義から否定する。
しかし、立憲主義は本当に正しいのか、よく分析して欲しい。
脱線…朝日新聞は捏造ばかり。たとえば「自衛隊機、民間航路に侵入」しかし航空路というものに、民間も非民間もない。悪く言いたい意図でのタイトル。


立憲主義と民主主義は相反する。
立憲主義とは、どんな政治勢力になろうと、変わってはならないものを定めている。
民主主義は逆に、民意で政治勢力が変わると、それで行政を変える。
日本は明治建国のとき、ドイツにならった。欽定憲法と言われ、不磨の大典になった。
戦後もなぜか憲法は不磨の大典と認識され、いまでも憲法学者はそう信じている。
ドイツは途中から民主主義を導入したが、そうしたらヒトラーが誕生してしまった。


「立憲主義に反する」という野党の指摘は、当たっている。
しかし、それでいいのか?を考えるべき。
96条で、改憲規定がある。これは民主主義といえる。
しかしよく見ると、衆参両院の3分の2が必要とかいてある。これは非常に難しい。ゆえに実態としては、民主主義の振りをして、立憲主義になっている。
日本国憲法は、民主主義のように見えているが、実質立憲主義なので、状況の変化に対応できない。
本来なら改憲して対応すべきなのだが、難しいので、やむを得ず解釈変更したのだろう。


日本周辺で、軍事力の不均衡は生じているか?
北朝鮮の核開発。中国の尖閣諸島。中間線。


まず北朝鮮は、中国としては重要。
もし韓国に統一されたら、民主国と直接接してしまう。
そこで生かさず殺さず、がいい。
しかし北朝鮮も言うことを聞かなくなってきた。どうせあなたは私を捨てられないでしょ?!と言わんばかり。
中国の面子丸潰れでミサイル発射した。
中国自身も、北朝鮮を、持て余している。


米韓の合同軍事演習。
これは毎年のもの。だが
5027作戦計画。これは北朝鮮の暴発に対応する。
5015作戦計画。これは北朝鮮の暴発の兆しがあったら一気に中枢部を消す、というもの。
だから北朝鮮は反発している。
今後はどうなるかわからない。
日本も北朝鮮の基地を先制攻撃する力を持たないと、北朝鮮への抑止力は持てない。
私見だが、中国は、金正恩を入れ替えるかもしれない。異母兄弟が、中国にいるので。
いずれにせよ、北朝鮮はならず者国家。


中国は、海軍力を非常に増強している。
尖閣諸島や東シナ海のみならず、南シナ海も含めてみるべし。
元々これらの地域は、平穏で、各国の漁船が仲良く漁をしていた。
ところがいまは、西沙諸島に2500mの滑走路を建設。
南沙諸島は3500m滑走路。レーダーサイトも配備。


かつては、クラーク空軍基地、スービック海軍基地が全体を統治。
大陸国家と海洋国家では、海の見方が違う。海洋国家は海はみなのものと思っている。だから平和だった。
しかしフィリピンは米との海洋協定を破棄。そこでスキがうまれた。


そして台湾。第4次台湾海峡危機。
ここで中国は、アメリカに負け、ショックを受けた。
米軍を追い出すため、海軍力増強を始めた。
第一列島線、第二列島線で米軍を追い出し、台湾を獲る、それが大戦略。
中国は既に、南シナ海領海宣言をしている。
国際司法裁判所に提訴しているが、中国は相手にしていない。


海洋国家と大陸国家は、地政学的に全く違う。
大陸国家は、地続きなので、どうしても領土拡張主義となる。脅威を遠くに持っていきたいから。ロシアも中国も。

また、海に対する考え方が全然違う。海洋国家は、海洋を利用した通商が死活的に重要。海はみんなのもの、と考えている。
しかし大陸国家はあまりそう思っていない。
艦艇の作りが違う。西側の艦艇は、再装填する。ソ連艦艇は、撃ったら撃ちっぱなし。

日本の輸入量全体は8億トン。飛行機による輸入量は150万トン。全体の1%もいかない。ほとんどが船。
3分の1が食糧。3分の1が石油。
石油の90%が中東から。ペルシャ湾、ホルムズ海峡、マラッカ海峡など、長大な航路を抜けてやってくる。
インド、ベトナム、フィリピンも、このシーレーンを守るべく、日本と提携しつつある。


安全保障法制のとき、ホルムズ海峡が、突然出たように聞こえたとおもう。
ホルムズ海峡は、4時間に1隻、日本の船が通っている。


中国の戦略目的は台湾。
あそこは非常に物騒な地域となる。
あそこを迂回すると、非常なロスになる。
安保法制要らないという人には、じゃあどうやってシーレーン守るのか?を聞きたい。


あの海を守るのはアメリカ海軍。
しかしそこには日本の海自が必要。
そこでどうしても集団的自衛権が必要となる。
本来は改憲がよかったが。




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片肺飛行。
P3Cは、4つのターボプロップエンジンで飛ぶ。
1つで4910馬力。4つで2万馬力。40数トンの力。
時折故障する。片方2つが故障すると、大変。斜めに飛ばねばならない。
実は、日本国のいまが、片肺飛行ではないか?




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国家目標は、通常、2つ。安全。繁栄。どこの国もそう。
だいたい憲法前文に書いてある。
繁栄については、前文にある。
安全については、ハードとソフト。いま自衛隊は、ハードは持っている。しかしソフトがない。


かつて、KABに、日本海でよく出会った。
実はこれには、拉致された人が乗っていた可能性がある。
しかしこれを止める権限がない。
海上警備行動が発令されると、威嚇はできる。しかし防衛出動でない限り、撃沈はできない。
ゆえに、安全を全うできない構造となっている。


軍事イコール悪、という印象がある。
また政治家も、軍事に触れない。票にならない。右翼と言われる。
例、湾岸戦争で、日本は130億円払った。しかしどこからも感謝されなかった。諸外国からも、日本は金だけ出して、血も汗も流さない。
これじゃいかん、で、ペルシャ湾に掃海艇を初めて出した。
現地邦人は大喜びした。日の丸のついた船が来た!


凱旋したとき、海部総理が出迎えた。最高指揮官なので当然。
しかし、その移動に、自衛隊機を使わない。
また出迎えのとき、軍艦マーチを演奏しようとしたら、海部総理が禁じた。恥ずかしかった。米軍が見ていて、代わりに演奏しようか(笑)
つまり、ソフトがダメ。片肺飛行。これでは何か起きたとき、無事着陸できない。心配。
日本国憲法前文に「諸国民の公正と信義に信頼して…」
北朝鮮に信頼して、やっていくのか?(笑)


尾生の信。
デートしようとして、橋の下で待ち合わせしたら、川が増水して流されて溺死してしまった。
これは教訓として2つある。約束を守る美徳。愚を犯すべからず。
日本もこの愚をおかしてはならない。



●質疑

・台湾は徴兵から志願兵になったが大丈夫か?
→世界中、志願兵化すると、定員割れする。どうしても景気にも左右される。
ただ、どんなにダメな高校生でも、4ヶ月で見違える。1年で立派な隊員となる。教育システムがあるので大丈夫。


・フィリピンはもつか?
→アメリカがほぼ守っている。でも全てを頼るのは難しい。
日本の力が必要なのは、アジア諸国みんなおもっている。安保法制もみな歓迎。


・南シナ海は深度が深く、原潜は有利?
→原潜は圧倒的ではない。速度が速いが、音が大きい。日本のディーゼル潜水艦は極めて音が静かで、脅威。


・先制攻撃力の必要性は?
→北朝鮮のミサイルは、あらかじめどこにいつ飛ぶか予告してあるから防げるが、いざとなるとわからない。イージス艦も6隻しかないし、それで全方位は守れない。PAC3も配備が間に合わない。
ゆえに本当に自衛するなら、兆候が出た時点で叩くしかない。


・自衛隊の任務は命がけ。その中で忠誠心を維持するのはどうやるのか?
→当たり前のことをやるだけ。隊員全員の誕生日を覚えておくのは、どの将校もやっている。