青年会議所主催の、憲法タウンミーティングが、佐倉市で開催されました。

毎年のものですが、今年はパネラーに、親しくしている、岩田温先生が登壇されるので、楽しみに参加しました。

…というか、私がJCに、岩田さんを紹介したので、来ないわけにはいきません(⌒-⌒; )



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岩田さんは改憲派として登壇。
もう一人の護憲側パネリストは、伊藤真さん。有名な伊藤真塾の先生で、司法試験を受けている学生なら知らない人はいない有名人です。



感想は…とにかく、岩田さんの論理の的確さに、溜飲が下がるというか、大変気持ち良く学べました。憲法は、立憲主義のみならず、国体や建国の理念を書かねばならない、という私の信念も、大いに勇気付けられました。

と同時に、伊藤さんのようなリベラル派の考え方も、賛同はできないものが多いものの、よくわかり、非常に勉強になりました。


以下メモです。

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<論点1;憲法とは?>

伊藤;学生時代、外人に、憲法で一番大切なのは?と聞かれて、答えられず、悔しかった。そして勉強する中で、13条の大切さを知った。
国家権力を制限する、国を縛るのが、憲法。


岩田;憲法とは何か?とは、深い質問。政治とは何か?も答えるのが難しい。
憲法とは、その国の最も重要な法律。2つの役割がある。
1つは立憲主義。行政はときに暴走する。国民の権利を守るもの。
保守派の意見に「権利が多くて義務が少ない」という批判があるが、それはあまり的確ではない。
もう1つは、1条の意味。この国の形を表している部分。天皇陛下をいただく国家である。



学生;70年近く改憲されていないが、それで国民の意見は反映されているのか?
伊藤;反映されている。されていないと思うなら、改憲手続きを進めるだけ。改憲論議は、理想の国家像の追求ではなく、具体的な不都合を修正するというものであるべき。
岩田;反映されていない。この憲法はそもそも日本人が作ったものではない。ゆえに国民の意思が反映されているとはいえない。占領時、憲法制定当時のことを知らな過ぎる。たとえば憲法では検閲は禁止されているが、当時は言論統制されていた。
制定過程のウソや虚偽から目を背けてはいけない。



学生;海外では改憲は多いが、なぜ日本は変わらなかったのか?
岩田;一つのイデオロギーが日本を席巻していた。絶対に変えてはいけない!とされていた。改憲の議論すらできなかった。国民投票の方法論すら決まっていなかった。その議論をすること自体が危険、という考えだった。
ねじれ国会、というのがあった。これは衆議院の優越規定。しかし参議院が強過ぎて混乱した。これを直すべき。
伊藤;日本人が変えたいと思わなかったから。日本人の手で作っていない、というのは間違い。最終的に国会で、日本人が決めたので。押し付けられた憲法、ではない。
最初に誰が発案したか、にこだわると、法律はみんなはじまりは官僚。法の世界では、誰が発案したかより、誰が議決したか、が大事。それを日本人はずっと受け容れてきた。




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<論点2;集団的自衛権について>

岩田;自衛は3つ。
1、個別的自衛権  
2、集団的自衛権。同盟国が攻められたときに、反撃する。
3、集団安全保障。国連の最も基本的考え。秩序を壊す人を全員で防ぐもの。PKOなど。
自衛隊は、国内的には軍隊ではない。国際的には軍隊。明らかに。
憲法制定時、PKOなどもなかったので、集団安全保障が整備されていなかった。なので集団安全保障の問題を、集団的自衛権でできるか、などの議論になってしまう。
集団的自衛権だと、他国軍への駆けつけ警護はできない。


伊藤;法の世界では、権利があることと、行使することは、全く別。
独立国として集団的自衛権を保有しているが、戦前の反省で、行使しない。過去どの国も、自衛という名目で、やはり戦線拡大した。
行使した外国は、参戦し、若者が死んできた。日本は誰も死んでいない。
集団的自衛権の行使可否を、ときどきの政府が判断していいとは思えない。集団的自衛権を持つべきだ、という意見はわかるが、それなら改憲すべき。



学生;集団的自衛権で、徴兵制などになるのか?
伊藤;憲法で徴兵は禁止されているが、解釈改憲する安倍政権なので、若干不安。
岩田;徴兵制にはならない。絶対に。そもそも一般人が軍隊に参加しても役に立たない。
世界の中で日本は貢献している。PKOのときも「戦争する国になる」と社会党も宣伝した。しかししていない。誇大妄想過ぎる。



学生;徴兵制はあり得ないとのことだが、貧困層が入隊するのでは?
9条は世界の見本だ、誇りを持て、と習った。
岩田;日本は世界の中では比べ物にならないくらい格差は少ない。貧困と安全保障の問題はあまりリンクしない。
9条は見本だ?誰が言ったのか?あり得ない。もし世界の誇りなら、どの国も採用するはず。そうなっていないことから考えるべき。
9条は欺瞞に満ちている。はじめ吉田茂首相は、自衛権すらないと答弁していた。しかしアメリカの要請で、個別的自衛権を認めて自衛隊を作ったこと、これこそが最大の解釈改憲。この時点で改憲議論をしなければならなかった。
伊藤;誇りを持った方がいい。どこでも採用はできない、から、日本の誇り。私の愛国心は、どこの国にもできないことを、日本がやってのけている。非常識は百も承知。
かつてのアメリカで奴隷制廃止を言ったら、何おかしなこと言ってるの?いま言ったら何当たり前のこと言ってるの?いつでも最先端は、変わって聞こえる。
貧困から戦死者が生まれる。英霊を批判するな、という空気が出るだろう。憲法9条は、自由の下支え。



<論点3;未来のために自分たちは何をすべきか?>

伊藤;まず憲法を知るべき。
37%の人は、税金を納めることが、憲法上の権利だと思っている。え!?
抑止力を高めるのは、いざとなったら戦うぞ、ということ。しかし安倍総理は「断じて 戦争しない」という。これはおかしい、両立しない。
小林よしのりは安倍総理の米議会演説を「アメリカに媚びた、自虐史観の、いやな演説だった。このどこが民主主義なんだ?!」
いざというときのことを、自分の頭で、具体的に想像するべき。
憲法は理想。理想と現実は、食い違って当然。アメリカでは奴隷制廃止に苦労している。


岩田;同じく、自分で考えるべき。平和憲法というが、本当か考えるべき。戦後の平和は、自衛隊と日米同盟があったから。
日本人の多くは、制定過程を知るべき。「誰が発案したかは関係ない」という論はおかしい。生まれた経緯を知らなくていいとはならない。
憲法を点検してみて、おかしな点を見る。
理想というなら、平和主義は疑問。軍隊あるなら必ず被害者が出る、というのは、おかしい。救える命が救えない。国際社会の中では貢献することも
アメリカの兵隊は、日本のために血を流すと言っている。それなのに日本は流さない、と言えるのか?ミサイルも、日本に落ちるのは守っていいが、グアムに飛んだミサイルは撃ち落せない。おかしくないか?
日本は大国。どのように世界に貢献するのかを、考えるべき。



学生;憲法教育は?
岩田;立憲主義。時の政府の暴走を縛る。96条も改正すべきでない。
この国の憲法が、どうやってできたのか、その制定過程、由来を知るべき。どんな思いを込めたのか、を知るべし。
ハーバートノーマンは、制定時の様子を見て、誰も祝っていないと指摘している。食うや食わずのときの憲法なので。
伊藤;制定過程を知るのはいい。歴史の評価は、見方によって全然変わる。
立憲主義の本質をしっかり学ぶこと。
あと、具体的に考えること。もしこの条文がなければどうだったか?たとえば9条なければ、当然日本はベトナム戦争や朝鮮戦争にも行っていた、たくさんの若者が死んだだろう。
アメリカは日本を守ってくれるのに日本は行かない、のは、おかしいのでは?という意見も、逆に言えばアメリカの国益にかなうからやっている。そしてその代償で基地を借りたりしている。



学生;国民が自分の意見をきちんと言うべき、ということだが、選挙だと少数派の意見が死んでしまう。それらを汲み取るにはどうすればいいか?
伊藤;多数決で決めるのは、仕方ないから。それが正しいとは限らない。ただ決めないといけないので。
少数意見の尊重のためには、決めるまでに十分少数意見を聞くこと。自分と違う意見もよく聞くこと。多様性を認め合える社会をつくる。国会でも十分審議する。
さらには、裁判所が少数者の意見、人権を、守るべき。
岩田;民主主義は最低だな、と思うことがある。プラトンは衆愚政治の可能性を言っている。ただ多数決以外、ない。だから多数決のときこそ反対派の意見をよく聞くべき。
トクヴィルは「民主主義とは、多数者の専制になりうる」ゆえに少数者の意見をよく聞くべし。議会制民主主義は、野党が大事。熟議。強行採決ばかりではダメ。
そしてそれを議事録に刻み、後世振り返るべし。
注目すべきは野党。それが議会制民主主義で最も大事。



会場参加者;帝国憲法から日本国憲法に変わった過程を知るべし。
伊藤;帝国憲法のとき、市民の権利を縛る、と伊藤博文はかんがえた。そして軍部が暴走してしまった。
どういう考え方が憲法の中にあるのか?をよく理解すべき。9条も、アジアに対してどういう意味を持つか考えるべき。
岩田;日本の憲法の根本問題は、自分たちが作っていないのに作った、ということ。押し付け憲法論を、古いという人がいるが、憲法自体が古い。
言論の自由がないときに、制定された憲法が残るのは、どう考えてもおかしい。日本は当時貧しく、食うや食わずだった。