東條英機を大悪人、独裁者と思っている方は、自虐史観にとらわれているかもしれません。東條の実像に迫りましょう。

 東條は開戦前夜、首相官邸で一人皇居の方角を向いて号泣しました。戦争回避を望む陛下の意思に応えられなかったためです。それほど東條は陛下への忠誠心が強い人間でした。戦争回避に全力を尽くした経緯は陛下もよく理解しており、東條を深く信任していました。あくまで陛下に尽くす忠義者であり、決して単なる開戦論者ではありませんでした。

 また東京裁判では、オーストラリアのウェッブ裁判長は昭和天皇へ戦争責任を負わせたがっていました。それに対し東條は「開戦の責任は自分のみで、陛下には一切ない」と明確に証言。この証言が天皇の免訴につながりました。更に東條は「日本の戦いは自衛戦争であり国際法に違反しない」と2日間かけて弁明。石油の供給削減のため日本の命運が危機に晒されたこと等を訴え、検事たちをしばしばやり込めるほどでした。他の被告の多くが自己弁護と責任のなすり合いをする中、東條は一切の自己弁護を捨てて国家弁護と天皇擁護に徹し、高い評価を得ます。オランダ判事レーリンクは「東條の確固たる主張、裁判に対する態度は、日本人の尊厳を取り戻した」と評します。刑場でも最後まで立派な振る舞いでした。

 しかし、この「東條宣誓供述書」はGHQにより発禁に指定され、当時の世間に出回ることはなかったのです。それが現在の、東條が大悪人という誤った印象につながっているのかもしれません。

 東條の全てを弁護はできませんが、しかし大悪人ではない、誰も止められない大きな流れの中、逃げずに精一杯戦ったのが、東條という人物だったのだろうと私は感じています。

 断片的な印象で浅薄に語るのではなく、丁寧に謙虚に真実に肉薄する、そういう歴史への接し方を、心がけたいですね。