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教育委員会改革で本会議登壇!
政府案、民主維新案の、両案を審議する、本会議での質問に、党を代表して立ちました。
案の定(^_^;)、早口になってしまいましたが、2月の質問よりはゆっくりできました。お褒めも随分頂けました。役割を果たせたなら一安心です。
自民党のヤジがなかなか激しかったですが、中身を見ないで、民主党と共同提出という一点で、反発するのでは、なんとも器の狭い、残念な話です。
今日を皮切りに、教育委員会改革の論議が盛り上がり、真の教育再生となるよう、与野党超えて建設的に議論したく思います。




↓動画はこちらから


※維新・民主の法案共同提出が、ニュースになっていました。
私も一番左に映っています。
→ http://p.tl/xKUu

また、下に速記録を掲載しましたのでご参考下さい。
※ ソフト変換の関係で誤字や文章の乱れがございます。
※ 尚、速記録は正規の会議録ではないため引用などはご遠慮ください。
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○議長(伊吹文明君)次の質疑者、田沼隆志君。

○田沼隆志君

日本維新の会の田沼隆志です。

ただいま議題となりました、政府提出、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、略称政府案、及び、日本維新の会、民主党共同提出、地方教育行政の組織の改革による地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案、略称野党案について、日本維新の会を代表して、法案に沿って質問いたします。

私は、日本再生のためには教育委員会改革をどうしてもやらなければならないという信念のもとに、衆議院議員になりました。このためになりました。全国の大半の教育委員会では、審議が形骸化しています。

私のライフワークである、国を愛する心を育む教科書採択も、そのプロセスは前例踏襲化している。改善したくても、責任と権限がよくわからず、議会からも首長からも、ほとんど何もできない。千葉市議会議員であった私は、この現実に衝撃を受けました。そして、いじめや体罰を苦に若者がみずからの命を絶つという悲しい事件が続出しました。それへの対応も全くもって同じで、機動的対処ができないどころか、自殺といじめの因果関係は不明などと責任逃れ、問題先送り、果ては隠蔽までありました。

これが繰り返されてきた。

これはもう完全に制度疲労です。このような制度が続いていては、先人や子孫、亡くなった子供たちや御遺族に申しわけない。その思いで質問します。問題の本質は、責任と権限の所在が曖昧ということです。この制度設計がおかしいと、どうしても無責任体質となる。責任を明確化し、それに伴う権限を一体で付与し、きちんとそれを第三者が監視する、そういう統治機構に改めなくてはなりません。

しかし、さまざまな紆余曲折を経て提出された政府案は、何とも中途半端、曖昧です。政府が宣伝するような抜本改革とは、とてもとても見えないんです。与党内で妥協に妥協を重ねた結果、改革の効果が極めて疑わしいものになってしまいました。大変残念です。恐らく、総理や下村大臣、心ある与党の皆さんも、同感ではないでしょうか。

我が党は、決定できる、責任のとれる統治機構を結党以来理念に掲げ、当初から教育委員会廃止を掲げてきました。独立した行政委員会である教育委員会を廃止し、首長のもとに教育部局を移管させ、ガバナンスを明確にする。責任を果たせないときは、選挙によって首長を落とせる、つまり、民意を示せる。この責任の明確化によってこそ、現行制度の問題点を打破できると考えるわけであります。

今回、多くの皆さんの御尽力のもと、民主党、日本維新の会共同で、この要旨を踏まえた野党案を提出できたことは、喜びであります。名づけるならば、責任明確化法。政府案と比べ、はるかに抜本的な改革を提案できていると感じます。

以下、政府案と野党案を対比させつつ、お尋ねいたします。

今回の改正で最も大切なのは、責任の明確化です。政府案では、教育委員長と教育長を統合し、教育委員会の中での最高責任者は、教育長として明確化されました。これは前進だと評価いたします。

しかし、首長と教育委員会との分断は残ったままです。ゆえに、両者が参加する総合教育会議が新たに設置されました。しかし、これが曖昧です。総合教育会議での最終決定権者がわかりません。

会議を主宰する首長なのか、それとも教育委員会の最高責任者である教育長なのか、ここの規定がない。どちらが上位なのか、あるいは対等なのかが、わかりません。最終決定権者について、安倍総理、明確にお答えください。ここが曖昧だと、責任は明確化できません。

例えば、首長と教育委員会との協議が調わない場合、首長は大綱を策定できないのでしょうか。また、教育委員会が同意していない内容を大綱に盛り込めるのでしょうか。これらの点が不明確なままでは、教育行政に混乱を招き、住民がその被害者となります。大阪府と市では、教育行政基本条例が制定されています。

これは、首長が教育委員会と協議して教育目標を決定する、首長と委員会と意見が一致しない場合は、委員会の反対意見を付して、首長の教育目標を議会に提出するということで、議論は尽くしますが、最終決定権者は首長であることを明記しています。大阪府では、この条例案は、大阪維新の会と公明党、自民党の賛成多数で可決をしております。

このように、最終決定権者を明確にすることが、責任の明確化には絶対に必要です。それが政府案では曖昧である。首長と教育委員会との協議が調わない場合、誰が、どのような手続で決定を下すのでしょうか。

また、教育委員会が同意していない内容を大綱に盛り込めるのか。

安倍総理にお尋ねいたします。

対して、野党案は、教育委員会を廃止し、首長のもとに教育長並びに教育部局全体が置かれ、教育長は、首長の指揮監督のもとで事務をつかさどると、極めてシンプルで、明確であります。

このように設計した狙いについて、提出者にお尋ねをいたします。

政府案と野党案の最大の違いは、執行機関が、教育委員会のままなのか、それとも首長に移るかという点です。ここでどうしても触れておきたいのが、滋賀県大津市でのいじめ自殺事件の御遺族からいただいた手紙です。下村大臣のもとにも届いていると思います。それにはるる、現行教育委員会制度の問題点を、実体験に基づき述べられていました。

教育委員会の暴走を誰も抑止できない、制度疲労が極限まで来ている、教育行政に民意が反映されない現行制度は危険だ、教育委員会を訴えたいと何度も思ったけれども、法制度上訴訟当事者は首長なんです、だからそれはできない、矛盾を痛感したという切々とした訴えがあり、最後には、執行機関が教育委員会のままの与党案では極めて不十分というふうに結論づけております。私も、全く同じ思いであります。

そこで、下村大臣にお尋ねします。御遺族のこの手紙、その内容をどう受けとめられたでしょうか。政府案はその思いに十分応えられるとお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。また、野党案提出者にも、同じく、この手紙の内容についての御所感をお尋ねいたします。政府案でもう一つ大きな欠陥を感じるのは、教育長の解職規定です。

責任を明確化するならば、当然、果たせないときには責任をとって、ある意味、首にする、その規定が不可欠です。政府案では、教育長の地位、権限は強大化する。大津市の事件をめぐる隠蔽等の問題を見ても、教育長を、住民の負託を受けた首長による民主的統制の下に置くということが必須であります。

政府案では、罷免については第七条に規定されていますけれども、これは、今の教育委員に対する規定と変更はないんですね。だから、極めて限定的にしか罷免できないんです。ほぼ無理と思っています。しかしながら、首長が教育長を自由に、制限なく解職できるようにしないと、もし教育長が首長の教育方針に従わなくなった場合は、どうなるのでしょうか。

教育行政が混乱して、子供たち、保護者、市民が被害をこうむることになるのではないでしょうか。さきの議員の方で、首長の暴走を懸念している方もいましたけれども、逆に、もし教育長が暴走したら、首長が教育長を解職することができなくて、誰が責任をとれるのでしょうか。教育長の解職規定を、もっと踏み込んだものとすべきではないでしょうか。

安倍総理の見解を伺います。

関連して、やはり中途半端、いかにも妥協の産物に見えるのが、三年という教育長の任期であります。首長の任期は四年なのに、一度選び直す機会をつくるという狙いのようでございますけれども、そのような中途半端なら、罷免規定を初めからきちんと強化しておいて、四年間やってもらった方がいいんじゃないでしょうか。

首長任期と同じ四年でなく、例えば半分の二年という区切りをそろえるでもなくて、三年という長さの理由が、よくわからない。どうにも、小手先のテクニックというか、妥協の産物そのものに見えます。なぜ、教育長の任期を中途半端な三年と定めたのか、先ほどの下村大臣の答弁でもよくわかりませんでした。

改めて安倍総理にお尋ねいたします。また、三年という中途半端な任期でいくなら、せめて例外として、任命した首長の残り任期を超えないように規定すべきと考えます。なぜなら、次の首長が来たときに、次の教育長を選任できるように担保すべきだからであります。

これについても、安倍総理の見解を伺います。

対して野党案では、首長を教育行政の最終責任者と明確化し、教育長に対しては、第七条において、「地方公共団体の長は、任期中においてもこれを解職することができる。」と、罷免規定も明確であります。また、その任期についても、シンプルに、首長と同じ四年とされております。その狙いについて、提出者にお尋ねいたします。

次に、チェック機能についてお尋ねします。どちらの法案も、責任明確化、首長権限の強化をうたう以上、それを評価、監視する機能が一体で整備されなければなりません。野党案は、より明確に、首長への権限と責任を一元化しておりますけれども、教育行政へのチェック機能についてはどうでしょうか。教育監査委員会を設置し、また、首長が定める教育振興の方針を議会が議決するという重層的なチェック体制のようでありますけれども、それぞれの狙いについて、提出者にお尋ねをいたします。

対して政府案は、チェック機能が見当たりません。教育委員会に対し、教育長は執行状況を報告する義務があるとのことですけれども、現行制度は既にほとんど近似した状態であり、この程度で教育委員によるチェック機能が本当に高められるのか、極めて疑問であります。

そもそも、教育委員も、教育長とともに教育委員会の決定について共同責任を負う立場ですから、第三者的なチェックができるはずがないのではないでしょうか。政府案では、教育行政へのチェック機能をどう強化するのかがわかりません。

安倍総理の御見解をお伺いいたします。

次に、緊急事態への対処でございます。政府案では、総合教育会議という会議体で、しかも、非常勤メンバーが多数なのに、緊急措置を協議するとなっています。これは、会議体ですから、迅速性に欠けるのではないでしょうか。日常的に情報に接している部署でなければ、非常事態への迅速な対処は不可能ではないでしょうか。

安倍総理にお尋ねいたします。対して野党案では、緊急事態への対処はどのように想定しているのか、提出者にお伺いいたします。

次に、指導行政についてお尋ねいたします。

現行教育委員会制度の中で最も問題なことの一つは、責任が曖昧な指導行政です。端的には、大阪市立桜宮高校体罰事件の事例が示しております。市の教育委員会の指導主事が、生徒への聞き取り調査を校長に求めたんですね。ですが、校長は、声を荒げて拒否したんです。このときに、指導主事よりも校長先生の方が先輩だったこともありまして、指導主事は引き下がってしまったんですね。

つまり、指導行政の問題とは、このときの二人のやりとりは一体何だったのかということです。職務命令なのか、指導なのか、それとも助言なのか、どちらが責任者なのかがはっきりしないんです。この問題性については、全国一律の問題でありまして、平成十年の中教審の答申「今後の地方教育行政の在り方について」という中でも、同じ問題が指摘されております。しかし、政府案では、このことは全く触れられておりません。安倍総理に、この問題についての見解をお伺いいたします。

対して野党案では、学校の主体的運営を配慮というふうにありますけれども、その狙いについて、提出者にお尋ねをいたします。最後に、改めてお尋ねいたします。安倍総理は、熱心に教育再生実行会議にも参加、主導されておりました。その第四回定例会にて、首長がこういう教育をしたいと有権者に問い、同意を得ても、実行できないというのはおかしいのではないかというのが素朴な疑問ですというふうに総理は発言をされておられます。

今回の政府案は、その疑問に十分応えていると考えるでしょうか。私には、どうしても、安倍総理の思いに沿っているとは思えません。政府案は、首長の関与が弱過ぎる。責任明確化とはとても言えない。ここまで妥協してしまって、本当に戦後レジームの脱却は果たせるのでしょうか。総理の素直な思いをお聞かせください。

また、日本維新の会の法案提出者は、首長経験者が複数おられます。この点についての見解を伺います。以上、教育再生を願う余り、政府案の妥協的部分には厳しい指摘も重なってしまいましたけれども、批判を目的とはしておりません。

我が日本維新の会は、是々非々路線のもと、正しい改革はどんどん政権を牽引するということを使命としています。教育委員会改革が必要な点では一致をしており、やり方に違いがあるだけであります。我々は、必要な修正協議にも応じます。多くの与野党がともに合意できる、そして、党利党略を超えられる、真に日本の戦後教育を抜本改革できる、そのような改革となることを心から祈念し、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)

田沼隆志議員にお答えをいたします。

総合教育会議の最終決定権者及び大綱の記載内容についてのお尋ねがありました。

総合教育会議は、どちらかが決定権者というものではなく、首長と教育委員会という執行機関同士が、協議し、調整を図りつつ、より一層民意を反映した教育行政を推進していくことを目的としています。これにより、民意を代表する首長が教育行政に連帯して責任を果たせる体制を構築することができると考えております。

一方、大綱については、首長が策定権者とされております。その際には、教育行政に混乱が生じないようにするためにも、教育委員会との間で、十分に協議し、調整を尽くした上で策定することが重要であると考えております。教育長の罷免事由と教育長の任期についてのお尋ねがありました。新制度における教育長は、教育委員会の構成員であり、かつ代表者として、首長が議会同意を得て任命するものです。

地方公共団体に置かれているさまざまな委員会の委員の罷免については、首長から独立して委員会を設置した趣旨に鑑み、身分保障という観点から要件が限定されており、教育委員会の構成員となった新教育長の罷免についても、同様の要件とするものであります。

一方、首長の任期中に少なくとも一回はみずからが教育長を任命することを可能とするとともに、議会によるチェック機能を強化するため、首長の任期四年よりも短い三年とすることとしております。また、教育長の任期を三年としつつ、任命した首長の残りの任期を超えないこととすることは、教育行政の継続性、安定性の確保という観点から、適切でないと考えております。

教育行政へのチェック機能についてお尋ねがありました。

教育行政へのチェック機能については、まずは、地方議会がその役割を担うことが期待されているものであります。今回の改正案は、首長が教育長を任命、罷免する際には、議会同意を得ることとしており、議会において教育長の資質、能力を三年ごとに丁寧にチェックすることとしております。

また、教育委員会に関しても、現在、みずから活動状況の点検、評価を行い、報告書を議会に提出することなどとしておりますが、改正案においては、さらに、教育委員の側からも会議の招集を求めることができることや、教育委員会から委任された事務について、教育長は報告をしなければならないことを規定しております。これらを通じて、教育行政へのチェック機能の強化を図ってまいります。

緊急事態への対処についてお尋ねがありました。

改正案では、教育委員長と教育長を一本化し、常勤の教育長が緊急事態に迅速に対応できる体制を構築することとしております。また、総合教育会議については、首長が随時招集することができることとしております。さらに、非常勤の教育委員に対しては、教育委員会事務局から日常的に情報提供が行われております。

このようなことから、緊急事態が生じた場合にも、柔軟で迅速な対応が行えるものと考えております。指導行政についてお尋ねがありました。教育行政においては、学校現場の自主性を生かした活動を専門的な観点から支援することが重要ですが、その際、学校が従うべき指示、命令とそれ以外の指導、助言とを明確に区分することが必要です。

その上で、法令違反や危機管理が求められるような場合には、教育委員会は、現行の法令に基づき、設置者として学校を管理する権限を行使し、毅然として、明確な指示、命令を行うことが重要であり、そうした趣旨の徹底を図ってまいります。

首長の教育行政への関与についてのお尋ねがありました。

今回の改正案は、首長が教育行政の大綱を策定するとともに、首長が招集する総合教育会議を設置すること等により、民意を代表する首長が教育行政に連帯して責任を果たせる体制を構築するものであり、教育再生の一層の推進に資するものと考えます。

なお、御党の提出された対案の取り扱いについては、国会において御議論いただくものと承知しておりますが、いずれにせよ、教育行政については、子供たちのためにどのような体制を構築していくかという観点から議論を行っていきたいと考えております。残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。


○国務大臣(下村博文君)

田沼議員から一問、大津市における自殺事件の御遺族からの意見書についてのお尋ねがありました。

教育委員会制度については、これまで、責任の所在の不明確さ、審議の形骸化、危機管理能力の不足などの課題が指摘されてきたところでありますが、御遺族の意見書を拝見し、教育行政においては、民意を代表する首長との連携の強化が非常に重要であると受けとめたところであります。

今回の改正案においては、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保するため、教育委員会を執行機関として残しつつ、民意を代表する首長との連携を強化するため、首長が、総合教育会議を設置し、教育の振興に関する大綱を策定することとしております。特に、緊急時には、総合教育会議において、講ずべき措置について首長と教育委員会が協議を行うこととしており、迅速かつ適切な対応がなされるものと考えております。以上です。

○中田宏君

田沼議員にお答えを申し上げます。

教育長は、首長の指揮監督のもとに事務をつかさどる、こういうふうにした理由に関する御質問をいただきました。

この法律案を提案した理由は、地方教育行政における責任体制を確立する必要があるということに尽きております。

そして、ここで言う責任というのは、顔が見えない組織体ではなくて、顔の見える人物がしっかりと責任を持つということを、しっかりと私たちはこの法改正においてわきまえなければなりません。現在の地方教育行政は、地方教育行政の最終責任者が誰であるかが明確でないという構造的な問題を抱えております。

具体的には、現在、地方教育行政のトップは教育委員会とされているものの、教育委員会は非常勤の委員の合議体でありまして、実際に日々の実務を取り仕切るのは、教育委員会が教育委員の中から任命し、教育委員会の指揮監督のもとに置かれる、常勤の教育長であります。

このような仕組みのもとに、これまでも、問題が起きても実質的な責任の所在が明らかにならない、そうした事態が散見をされているわけであります。このような無責任体制から脱却をし、地方教育行政における責任体制を確立するために、教育行政の最終責任を首長に一元化し、その首長の指揮監督のもとで教育長が教育に関する事務をつかさどるものとしたものであります。

大津市いじめ事件の御遺族の手紙に関する御質問をいただきました。

このお手紙は、私もいただき、一字一句全て拝読をいたしました。本当に胸詰まる思いで読みましたけれども、ここでは、首長が責任をしっかりと持つという仕組みを構築すべきであるというふうにこの御遺族は述べているわけであります。

私も首長を経験しましたけれども、首長が責任を有していない、そして教育行政を引っ張れない、こうした問題が間違いなく存在をしています。大津市の事件もそうでしたけれども、日ごろは教育の中立性をメディアも、そして世論も説く割には、大津市のときには、首長が出てきて涙ながらに謝罪をしても、それは出過ぎたまねだと言う人は誰もいないわけであります。

こうした矛盾ということを私たちはよく考えなければなりません。大津市いじめ事件の御遺族からの手紙にあるような現行教育委員会制度に関する体験は、まさに、地方教育行政の最終責任者が誰であるかが明確でないという、現行教育委員会制度の構造的な問題が原因であると考えられます。

こうした現行の教育委員会制度の構造的な問題から生じる不幸、これは二度と発生させないという思いから、地方教育行政の抜本的な改革を志したところであります。すなわち、教育委員会制度を廃止し、首長を教育行政の責任者とすることとし、教育行政に対する評価・監視機能を確保するため、教育監査委員会を設置し、また、首長による教育の振興に関する総合的な施策の方針の策定に議会の議決を経なければならないというふうにしているものであります。

教育長の任期を四年とした理由に関する御質問をいただきました。教育長は、首長の補完機関であり、首長の指揮監督のもとで教育に関する事務をつかさどるものであり、首長がこれを任命することといたしております。

したがって、教育長は、首長が在籍している間、首長の意向に沿って一定の成果を出すことが期待されるものであることから、首長と同じ四年の任期を設けるものとしたものであります。また、教育長が首長の指示に従わない、こういう場合も想定をされるわけでありますが、教育長は任期中においても解職を可能とし、新たに首長の意向に沿って職務に当たる者を任命することを可能としているところであります。

教育監査委員会を設置すること、教育の振興に関する総合的な施策の方針の策定について議会の議決を必要とすること、それぞれの理由に関する御質問をいただきました。

まず、教育監査委員会でありますが、地方公共団体の長が処理する学校教育等に関する事務の実施状況に関し必要な評価及び監視を行う、地方公共団体の長から独立した専門的な機関であります。

すなわち、首長による学校教育等に関する事務が適切に行われ、望ましい成果を上げているか評価を行うとともに、常時これを監視する仕組みとすることによって、事後的に首長による地方教育行政の運営に対するチェック機能を確保する仕組みとなっております。

次に、首長が定める教育の振興に関する総合的な施策の方針の策定について議会の議決を要求した趣旨でありますけれども、これは、首長が行う地方教育行政の運営の基礎となる方針について、多様な民意を反映する場である議会によるチェックが適切に行われることを確保するところにあります。

この法律案は、地方教育行政の責任を首長のもとに一元化することによって、その責任の所在を明らかにしたものでありますが、他方で、首長の権限の行使の適正を担保する、こうした観点から、教育行政に対する評価・監視機能を確保するため、事後的なチェック機関である教育監査委員会を設置するとともに、首長による教育の振興に関する総合的な施策の方針の策定に、あらかじめ、これは議会の議決を経なければならないとすることによって、首長に対するチェックが重層的に行われる仕組みといたしております。残余の質問については、同僚議員よりお答え申し上げます。

○鈴木望君

緊急事態への対応に関する御質問をいただきました。

これまでの事例を見る限り、学校現場でいわゆる緊急事態が起こったような場合には、学校と教育委員会が被害を実際よりも小さく見せようとしたり、あるいは、教育委員会、教育委員会事務局との情報のやりとりに時間を要したりして、結果として、適切な対応ができていなかったということも多々あったのではないかと考えております。当然のことながら、いわゆる緊急事態においては、児童生徒等のことが第一に考えられるべきであります。

そこで、今回の法律案においては、第六十三条で、「地方公共団体の長が教育に関する事務を行うに当たっては、」「児童、生徒等の生命若しくは身体又は教育を受ける権利を保護する必要がある緊急の事態においても適切に対処することができるよう、配慮するものとする。」旨の規定を置いております。

これは、学校において、教育事務の管理運営は、原則的に学校が主体的に行うべきと考えておりますが、緊急事態においては、首長は、児童生徒等の保護のことを第一に考えて対処すべきという趣旨を明確にしたものであります。具体的には、首長が教育長らに対し、例えば、学校の管理運営に関する権限、人事に関する権限等を委任することにより、教育長らがより適切に緊急事態に対処することができるようにすることも考えられるところであります。

学校の主体的運営に配慮すると規定した理由に関する御質問をいただきました。

現行の教育委員会制度のもとでは、地方教育行政の運営のあらゆる場面において、誰が責任を負っているかが不明確となり、その結果として、何か問題が起こった場合であっても誰も責任をとらないといった事態が引き起こされることが問題であります。

そこで、本案では、学校の日常的な管理運営については、その責任を明確にする観点から、学校においてその管理運営が主体的に行われるようにするよう配慮する旨の規定を置いたところであります。教育の現場は、学校であります。具体的には、学校の教育課程の管理、施設及び設備の管理、教職員の職務上の監督その他当該学校の管理運営に関する事務が校長の責任のもとで行われるようにすることを考えております。

首長の関与、責任の明確化に関する御質問をいただきました。

維新の提案者である中田議員も私も、首長経験者であります。首長経験者の思いを言わせていただければ、住民の皆さんは、教育について、首長は権限があるはずだ、首長はもっと教育をよくするよう努力すべきだと思っております。

私も、学級崩壊など問題を抱える先生の配転を、市民である保護者の方々に訴えられ、制度上できない理由を説明するのに苦労した経験がございます。地方行政は、国政に比べ、ずっと住民に近い存在であり、住民の最も大きな関心事は、我が子の教育であります。

維新、民主党案のように、議会のチェックと教育監査委員会の二重のチェックをかけた上で、住民の最も大きな関心事である教育について、首長に権限をきちんと与え、その責任を明確にすることが、日本の教育の発展に大きく寄与するものと確信するものであります。

本法案で、首長のもとに教育行政の責任を一元化した趣旨は、教育行政を首長の思いのままに任せようとしたものではありません。民意で選ばれた首長が教育行政の責任を負う、合議体である教育委員会ではなく、顔の見える首長を教育行政の責任主体とする、その点が、教育行政の責任の所在が曖昧なままの、中途半端に教育委員会を残す政府案と異なることであることをぜひ御理解いただきたいと思います。以上です。