乃木希典は、教育者としても偉大な事蹟を残しました。特に学習院の院長として、裕仁親王、後の昭和天皇の養育を担ったことが挙げられます。
 
 日露戦争後、乃木は多くの将兵を死なせてしまったことを悔やみ続けていました。そこで明治天皇は乃木に学習院院長を命じ、孫の養育をさせます。明治天皇自身、青年期に西郷隆盛たちとの交流で多くのことを学びました。そのような体験を、武人の乃木ならば孫に与えてくれるのではないか、と期待したのです。
 
 それに応えるように、乃木は当時の学習院を全寮制に改め、生徒と寝食を共にし、教育に熱意を注ぎます。厳しい教育の中にも温かさを感じさせる乃木は、生徒から敬愛されていました。昭和天皇にも、皇居から車で通学していたのを徒歩に改めさせるなど、質実剛健の教育を施しました。昭和天皇は、乃木を大変尊敬しており、自身の人格形成に最も影響を与えた人物として、乃木をのちに挙げています。
 
 乃木の教育は、昭和天皇に立派に受け継がれました。昭和天皇が、戦前戦後の動乱期に如何なく徳を発揮し、日本国民の大きな精神的支柱となったことからみても間違いありません。かの賢帝を育てた乃木の教育に、我々は今こそ学ぶ必要がありそうです。
(『いどばた稲毛』2012年2月号掲載)


千葉から、日本維新! 日本維新の会・田沼たかしの挑戦-学習院(写真の出典:Wikipedia)