私は「坂の上の雲」が大好きで12月からの放映も大変楽しみにしていますが、日露戦争の中でも、最終局面である日本海海戦を率いた東郷平八郎にはその力量を感じずにはいられません。

 東郷平八郎は、当時の海軍大臣の山本権兵衛によって閑職から連合艦隊司令長官に大抜擢されました。寡黙であった東郷の周囲の評価は必ずしも高くありませんでしたが、山本は東郷が実行の際には熟慮に熟慮を重ねること、一度方針を決めたら敢然と任務をやり切る性格を高く買っていました。

 それは日露戦争時にも生かされています。日本海海戦の前の数ヶ月はひたすら地道に射撃訓練を繰り返し、「奇跡的な命中率」を達成しました。また、決戦直前にバルチック艦隊の航行ルートがわからず周囲が狼狽するなかでも、東郷は全く揺るがず対馬海峡に艦隊を待機させ、迎撃に成功します。それが、世界中から「奇跡的」と言わしめたバルチック艦隊の壊滅と日本の勝利を導いたのでしょう。



千葉から、日本維新! 日本維新の会・田沼たかしの挑戦-三笠にて指揮を取る東郷(画像の出典:Wikipedia)



 勝つための熟慮と、ひとたび決めたあとの敢然たる実行力。昨近の政治は、拙速さやブレばかりが目立ちますが、勝負時にこそ東郷平八郎を見習うべきでしょう。
(『いどばた稲毛』2011年12月号掲載)