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決算行政監視委員会質問、終了!
また教育関連質問をしました。おそらく今国会最後です。
教育再生実行会議が五月に出したグローバル人材育成の提言。これは…日本人としてのアイデンティティ確立が、内容として極めて手薄!両輪とすべき!と訴えました。
大臣も同感で、真の国際人は真の日本人だ、とのこと。議論は噛み合いました。ただ、具体策の議論を詰める前に時間切れ…少し残念でした。用意した質問も、半分も終わりませんでした。

地方議会と比べ、答弁が丁寧過ぎて長く、時間が非常にかかります。与党は答弁で時間を消化したいがゆえでしょう。
こういった国会の慣習も、維新として、改めなければならないと、再認した日でした…

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また、下に速記録を掲載しましたのでご参考下さい。
※ ソフト変換の関係で誤字や文章の乱れがございます。
※ 尚、速記録は正規の会議録ではないため引用などはご遠慮ください。
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平成25 年6 月21 日 衆議院決算委員会第二分科会速記録(議事速報)

○柚木主査
これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田沼隆志君。

○田沼分科員
日本維新の会の田沼隆志でございます。大臣、私はいつも教育問題ばかり質問をさせていただいていまして、今日もさせていただきまして、ありがとうございます。また、胸をおかりするつもりで決算審査をさせていただきたいと思います。

過去三年間の決算行政監視ということの中で、逆に、最近、最新のトレンドに関連して、ちょっと御質問がございます。というのは、教育再生実行会議第三次提言についてでございます。これは、主に大学教育のあり方についての提言、五月二十八日提出というものでございまして、私も非常に関心を持って拝見したんですけれども、率直に言って、非常に違和感も感じました。

というのは、特に第一の「グローバル化に対応した教育環境づくりを進める。」という部分が、例えば、世界を相手に競う大学は五年以内に授業の三割を英語で実施するですとか、海外留学生を十二万人に倍増、今は六万ぐらいですか、倍増するですとか、外国人留学生を三十万人に、これも倍増、また、大学入試でTOEFLなどを活用していくということなんですけれども、資料をお持ちでない方にはちょっとわかりづらくて恐縮ですが、㈬にだけ「日本人としてのアイデンティティを高め、日本文化を世界に発信する。」と。

具体的には「国語教育、我が国の伝統・文化についての理解を深める取組の充実。」というふうに書いてあるんですが、非常にグローバル化偏重と言うと言い方はあれですけれども、日本軸が非常に弱いなと感じました。我が党ももちろん、日本維新の会としても、世界水準の教育を、かつて誇った日本の教育をまた復活させたい、また、グローバル人材の育成というのも掲げておりますので、大方針としては大いに賛同するものでございますが、やはり、全体の提言を拝見してどうしても感じるのが、車の両輪であるはずの日本人としてのアイデンティティーを確立することについて、極めて手薄であるように感じます。

この提言書、全体の冊子の方も拝見しましたが、全体の構造、九ページある中で、ページでいうと四ページの一番下の㈬というところなんですけれども、ここにだけ「日本人としてのアイデンティティを高め、日本文化を世界に発信する。」とございますけれども、ほかはほとんどないんですよね。私も外資系の企業に勤めておりましたので、グローバル化に対応するという中で、やはり日本人としてのアイデンティティーをきちんと確立することは物すごく重要であると、多分大臣も同じだと思うんですけれども、思います。と考えたときに、このバランスの悪さ、アイデンティティー確立ですとか日本文化を世界に発信するという提言がございますが、その分量が少ない、また具体性も非常に弱いということに極めて不安を抱きました。

聞くところによると、そもそも、この㈬の項目自体も初めはなかった、素案の段階ではなかったということも聞いておりますので、ここに関しての大臣のお考えをお聞きしたいんです。四月十五日の第六回の教育再生実行会議でも、安倍総理の言葉で、何のためにグローバル人材をつくっていくかという視点が大変大事だ、シンガポールは、グローバルな国というアイデンティティーになっていて、それがアイデンティティークライシスになっているという指摘もあり、そういう点も考慮する必要があるというコメントもあったと議事録で拝見しました。そこで、お尋ねいたしたいんですが、まず、これまでの日本人としてのアイデンティティーを高めるという教育はどのようにやられてきたのか、そして、それは十分達成されているとお考えなのか、大臣のお考えをお尋ねします。


○下村国務大臣

田沼委員が国会で熱心に教育問題の質問をしていただいていることに対して、敬意を申し上げたいと思います。

今回は、教育再生実行会議の第三次提言に立った御質問がございましたが、これは、これからの大学教育等のあり方についての提言をしているものでございまして、全体的な、例えば第二次教育振興基本計画も先週閣議決定をしましたが、トータル的な部分をぜひ見ていただいて御判断をしていただきたいと思います。

もちろん、真の国際人になるためには、真の日本人になるということが同時に求められているというふうに思います。ただ、今回は、これからの大学教育のあり方についての、主にグローバル化に対応した教育環境づくりを進めるというところに特化した第三次提言ということでありますから、別に、このことによって、日本人としてのアイデンティティーとか、あるいは日本文化の育成をおろそかにしているとかいうことではそもそもございません。

今、国際社会において、これから真に通用する人間、これはもう国境を越えて、英語というのも、これは世界共通語だと思うんですね。ですから、これは一つの言葉、ツールですから、それを学んだからといって真の国際人になるわけではもちろんないわけですけれども、しかし、共通語がしゃべれなければ、国際社会の中でコミュニケーションもとれないわけでございます。その辺、そもそも、日本の大学教育そのものが象牙の塔的な部分があって、非常に国内的な視点の中で、今まで、教育においてもあるいは研究においてもややもすると満足してきた部分が多いのだ、結果的に、そのことによって日本の大学教育そのものが地盤沈下をしている部分があるのではないかというふうに思います。

実際、田沼委員も、例えば外資系等のいろいろな方々とお会いする中で感じられることだと思いますが、例えば外資系なんかでも、かえって外国人が、日本語もしゃべれ、そして母国語もしゃべれ、なおかつ英語も話せるという人の方が、外資系の企業であってもはるかに有為な人材として使えるというような話がある中、これから、国際社会の中で本当に通用する人間というのを、日本の大学そのものがしっかりと見据えて対応していく必要があるというふうに思います。この教育再生実行会議の第三次提言では、そういう徹底した国際化を断行し、世界に伍して競う大学の教育環境づくりについてバックアップしていこう、個々にそういう大学を目指すかどうかは、それぞれの国立大学や私立大学がどんな教育方針や経営方針を持って臨むかということではありますが、そのためのバックアップとしての提言だというふうに受けとめております。具体的に、海外大学の教育ユニットを誘致するとか、あるいは逆に日本の大学の海外展開を拡大するとか、国際化を断行するスーパーグローバル大学を、今後十年間で世界大学ランキングトップ百に十校以上ランクインするとか、今二校ですけれども、そういうこととか、留学生を倍増するとか、大学入学試験でTOEFL等を活用するとか、そういう具体的な提言をすることによって、各大学が日本の教育の方向性について理解をしていただいて、その方向に進めるような、そういう提言であるというふうに受けとめておりますが、もちろん、それ以前の段階として、日本人としてのアイデンティティーを高めるための教育をするということは必要なことだと思います。

これまでそういう教育がなされてきたのかということを考えると、私は十二分になされてきたとは思っておりません。ですから、今まで以上に、これは小学校段階から含めて、もっともっと日本のすばらしい伝統、文化、芸術、それから歴史そのもの、そういうものを学ぶ必要があるのではないかと思っておりますし、私が文部科学大臣になってから、例えば高校で日本史を必修にすべきだという提言も随分いろいろな方々から受けております。これは、東京都が都立高校における日本史を必修化し、神奈川もそうし、そして千葉もそのような取り組みをするということの中で、我々が学生のころは日本史というのは必修でしたが、今は選択科目という中で、高校生で十二分に日本の歴史を理解していない、そういう学生もふえているという中で、文部科学省としても、改めて、トータル的な日本人のアイデンティティーとか視点とか、あるいは、最近では自民党からも公共という教科を新たに導入すべきではないかというような提言も受けておりますが、今までの延長線上ではなくて、真の国際人、真のグローバル人になる、一方で真の日本人になるためのトータル的な教科のあり方、それもしっかり検討する、そういう時期に、グローバル社会であるからこそ求められ、問われているのではないかというふうに認識しております。


○田沼分科員

ありがとうございます。もう非常にうれしく、ほとんど全て、もう全く同感でございまして、非常にうれしい御答弁をいただきました。もう少し、今度は具体的な、これはちょっと提案的な質問かもしれませんけれども、幾つか思っておるのを御質問させていただきたいんです。

最近読んだ本で、角川の本なんですけれども、『高校生が読んでいる「武士道」』という本がありまして、新渡戸稲造さんの「武士道」を高校生が読んだものも載っているんですが、その感想が載っているのがありまして、それを読むと、「自国の伝統や脈々と受け継がれてきた精神を知らずに世界の第一線に出ていくことは恥ずかしいことだ、武士道にはこれまで培われてきた日本人の全てが詰まっている、これは、日本人が日本人としての誇りを取り戻し、世界に胸を張って出ていくための必読書だと思った」とか、あと、「日本人は武士道にある克己を忘れることなく、言葉で自分の意思、考えを表現して伝えていくための新たな伝統を打ち立てなければならない時期に来ていると思う、それによって、国際社会での日本の立場を築いていけると信じている」ということで、非常にうれしい若者の言葉が載っておりまして、そのとおりだなと。多分、大臣も本当に同感いただけると思うんです。真の国際人には真の日本人たるべきだという、まさにその思いを若者も共通化してくれているのかなという中で、少し具体的なんですが、グローバル化を進めるというふうに今多くの教育機関で目指していくわけですけれども、と同時に、日本人としてのアイデンティティーも高めるということで、例えばなんですが、グローバル化を進める機関には、同時に日本文化やそのアイデンティティーを養う講座を設置するべきではないかなというふうにも思うんです。

というのは、この「武士道」も、これは、その学校がたまたま取り上げたからいいですけれども、取り上げない学校も、むしろ、そっちの方が多いわけですし、「武士道」でなくても構わないですけれども、やはり今の現状というのは、よく言えば自由ですけれども、言い方を変えれば、日本文化や日本人としてのアイデンティティーを学ぶ機会がない教育機関も随分あるというふうに認識しておりまして、これから、グローバル化、真の国際人を目指すならば真の日本人たらなければならないという中で、講座のようなものを同時に設置するべきじゃないかなというふうに思うんですが、それについて、大臣、お考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。


○下村国務大臣

日本人としてのアイデンティティーを高め、日本文化を世界に発信するという意識を持ってグローバル化に対応するためには、初等中等教育、高等教育を通じて国語教育や我が国の伝統文化について理解を深めることは、御指摘のように、大変重要なことであるというふうに思います。このために、初等中等教育においては、国語教育や我が国の伝統文化に関する教育の充実を図った新学習指導要領に基づく指導が各学校で実現されるよう、さらに取り組んでいく必要があるというふうに思います。また、グローバル化に積極的に取り組む大学において、御指摘がありましたが、例えば日本語教育学などを学んだ日本人学生を海外の大学に派遣し、現地で日本語教育の支援や日本文化紹介を行うプログラムを実施している。

これは、早稲田大学など五大学において二〇一二年から五年間で約一千百名を派遣予定でありますが、こういうプログラム。あるいは、千葉大学では、異文化を理解し、日本文化を再確認することにより、国際日本人を目指す国際日本学のプログラムを設置している。また、北九州市立大学では、みずからのルーツである日本について世界で語ることができるための知識と世界情勢についての理解を深めるための日本事情という科目を開講しているなど、日本文化や日本人のアイデンティティーを養う教育内容や活動を行っているところもございます。大学の世界展開力強化事業、それからグローバル人材育成推進事業、こういう形で文部科学省としても支援をしておりますが、今後とも、グローバル人材を育成する大学、あるいはいろいろな教育機関で、一方で、日本人としてのアイデンティティーを高める教育の充実をしているところに対してしっかりバックアップをしていきたいと考えております。


○田沼分科員

ありがとうございます。ちょっと千葉大、お膝元にそういうのがあるというのは知りませんでしたので、勉強になります。そういった世界展開をしていく講座がどんどんふえていけるようにということがやはり両輪になると思いますので、引き続き頑張っていただければというふうに思います。もう一つ、これはもしかしたら局長の方がいいかもしれないんですが、施策の中には「初等中等教育及び高等教育を通じて、国語教育や我が国の伝統・文化についての理解を深める取組を充実する。」というふうにあるんですけれども、そのとおりなんですが、では具体的にどうなるのかなというところが気になるところです。

私が特に気になるのは、さっき大臣が、日本人のアイデンティティーを高める教育がまだ十分ではないと考えるという言葉もありましたので、やはり学習指導要領自体を変えていく必要があろうかなというふうに思います。この我が国の伝統文化への理解を深める取り組みというものの中身として、指導要領が変わる方向で検討いただけるのかどうか。踏み込みはどこまでかという質問かもしれませんが、お答えいただければと思います。


○布村政府参考人

平成十八年十二月に教育基本法の改正がございました。先生からもお話がございましたけれども、我が国の伝統文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うということが、「教育の目標」の中の第五号として位置づけられております。この教育基本法の規定も踏まえまして、今回の学習指導要領の改訂に当たりましては、我が国の伝統文化を子供たちがしっかりと学び、それを体験的に、みずから担う場面なども体験活動として行い、それらを継承し、また自分たちも次の世代に受け継いでいくことが大事なんだ、そういうことをしっかりと学ぶことが大事だ、そういう観点から学習指導要領の改訂を行いました。国語の中でも、これまでの日本のよき文学をしっかり学ぶですとか、歴史においても、我が国固有の文化としての位置づけをより重視する、それから道徳の中でも、伝統と文化を尊重する、そして郷土や地域を大事にする、愛する、そういう態度を養う面をより大事にしよう、そういう観点からの指導要領の改訂を行ったところであり、その指導要領を踏まえた教科書が既に検定を通って学校現場で使われ、教育活動、小中高等学校を通じて、我が国の伝統文化を尊重するという教育に今学校で取り組んでいただいているという状況にございます。
〔主査退席、武藤(容)主査代理着席〕


○田沼分科員

その答弁はそのとおりなんだと思うんですが、そうすると、ちょっと嫌な言い方かもしれませんが、大臣は、やはりまだ十分でないというふうに言われたわけですね。ですけれども、恐らく、今の局長の答弁ですと、きちんとやっていますというように聞こえるんです。確かに、きちんとやられているんだと思います。ただ、それは十分でないというふうにも大臣も言われていると思いますし、私もそう思います。なので、学習指導要領を改訂しました、わかります。それに基づいた教科書も使われている、わかります。でも、十分でない現状があるわけですから、実際、これはいろいろな御意見があろうと思いますけれども、みずからの国に誇りを持てるような教科書でないものもある。それがかなり採択されている現状もありまして、もう局長は御存じのはずです、私がいつも言っているわけですから。再質問はしませんけれども、言い方はあれですけれども、官僚答弁的な、そういう答弁というよりは、もう少し踏み込んで取り組んでいただきたいんです。

やはり、グローバル化を進めていく中においては、アイデンティティーを確立することは非常に重要ですから、本当に。その意味で、今の取り組みのままでいいんですというふうに聞こえるのは、やはり納得いきません。認められません。大臣もそう思っていると思います。なので、ぜひそのことを御理解いただきたいというふうに思います。次に行きます。同じような話なんですけれども、やはり日本人としてのアイデンティティーをしっかり確立するということに取り組まないと、国益も失いかねないと思っております。たとえグローバル人材を今回の取り組みで育てられたとしても、心までグローバル化してしまったら、国籍にとらわれずに、より高く雇ってくれる国とか企業が出てきたらそっちに行ってしまいかねないわけでして、実際、そういう現象も起こっているやに聞いております。

なので、きちんと取り組んでいく必要がなおさらあろうと思っておりますが、その中で、この「一の㈪」の部分でしょうか、「日本人留学生を十二万人に倍増する」というところなんですけれども、現在六万人弱で、これは減少していますね。この倍増を目指すということなんですが、ただ、目指すのは結構なんですけれども、まず、何で減少してきているのかなというところに関しての御見解を、これも大臣か局長かどちらでも結構ですけれどもお聞きしたいんです。

減少傾向にあるのはなぜか。どうしてこういうふうに減ってしまったのかというところですね、留学政策に誤りがもしあるならば、それは何であろうというふうに考えられるのかも含めて御答弁いただければと思います。

〔武藤(容)主査代理退席、主査着席〕


○板東政府参考人

御指摘のように、海外で学ぶ日本人学生が減ってきているわけでございますけれども、その理由としてはいろいろなものがあるかと思っております。

一つは、よく指摘されておりますように、日本人全体、特に若者の内向き志向というのがやはりあるのではないかという指摘もございます。これは大学生に限らないところだと思っておりますけれども。それから、経済的な問題というのがかなりございまして、特に、例えばアメリカなどですと授業料がかなり上がってきているということがございますので、今までアメリカに留学している学生が多かったというのも減ってきているというような状況がございます。また、就職活動の時期とか、就職の中でどう評価されるかといったような、就職問題とのかかわりというのが特に就職が厳しくなっていく中で出てきているということなど、さまざまな原因がございますので、それぞれの課題をきちんと解決していきたいというふうに、施策を進めたいと思っているところでございます。


○田沼分科員

そのとおりなんだと思います、三点とも。ただ、相当減っていますよね。この資料ですと、ピーク時が八万二千九百四十五人ですか、ですけれども、今五万八千六十人ということで、これが十年弱の間にここまで減ってしまって、六年くらいですか、二〇〇四年から三〇%減っているという中で、これは内向き志向になったからだけではやはりちょっと人ごと的になってしまうかなと思います。

ちょっと気になるのが、やはり日本国として、政府として、留学生を、どんどん行ってもらうという中で、どういうふうに活用するのかというのがわからない。日本のすばらしさですとか日本の文化を発信、まさにここに発信すると書いていますけれども、そういう役割も留学生には担ってもらうべきなんじゃないか。実際、外国で仕事したり、外資系、外国の方と話す中で、私ごときが釈迦に説法ですが、日本人としての自覚を深める方が多いわけですね、若者の中に。なので、留学生に対して、留学生をどう活用するかという戦略性がちょっと見えない。ただ単に、減ったからふやそうというふうにも見えかねないんですね、この提言書ですと。これは非常にもったいないというか、わからないので、これもちょっと時間があれなので答弁を求めませんけれども、国家戦略がやはり必要だと感じます。単なるグローバル化への対応という中ではやはりいけない。日本国として、どういうふうに日本の国を引っ張っていくのか。日本国家の国家戦略を実現していく中で留学政策というのがあるというふうに位置づけ直さないと、単にふやしておしまい、やってみたらできませんでしたというのは、それは本当に官僚的な姿勢であって、日本を引っ張るためにはちょっと疑問があるということを御指摘させていただきます。


次の質問に移りまして、今回の提言で、グローバル化に大きくかじを切るというかなり大胆な内容になっていると思いますけれども、これは大臣にお尋ねした方がいいと思うんですが、グローバル化の中で、大学が、国家戦略を実現するにおいて、どういう役割を果たすべきなのかがちょっと知りたいんです。

大学の機能というのは、世界で戦って勝てる強い日本人を育成することだというふうに明確に定めるべきじゃないかと私は思っていまして、グローバル化は、今後も、日本国として、人口減少社会で、TPPの参加方向ですし、避けられないと思います。それはそれで結構ですが、その中で、文明学者のハンチントンさんが言うように、文明の衝突という側面もやはりどうしてもあるわけでございます。そうすると、文明論的な見地からグローバル化を捉え直して、日本文明としての生き残りをかけて戦っていく時代になったと私は理解をしておりますし、そういうグローバル人材を養成する。だから、日本がいかにして世界に対応するかではなくて、いかに世界に日本を理解させるか、日本人の生き方を受け入れてもらうかというふうに、受け身ではなくて積極的に語りかけていく必要があるというふうに考えておりまして、その一環で大学がやるべき役割が見えてくるんじゃないかというふうに思っています。

繰り返しになりますけれども、世界で戦って勝つ強い日本人の育成こそ、今、日本政府は目指している、それを大学は担ってほしいというふうに定めるべきじゃないかと思うんですが、そういった提言がちょっとこの中には見当たらないものですから、大臣のお考えをお聞きできればと思います。


○下村国務大臣

まず、幾つかの御質問の中で、それぞれの局長の答弁は、やはり局長の答弁としての今までの行政の一貫性の中での答弁でございますから、さらにどう踏み込むかどうかは政治判断でございますので、これは政務三役等が、日本人のアイデンティティーについてさらにどう踏み込むかどうかということについては、当然、今の段階で決まっていないことに対して局長がそれ以上踏み込める立場でないということについては御理解いただきたいと思いますが、文科省全体としてはそういう方向を目指しているということでございます。

それから、留学生問題も、実際、田沼委員は御経験があると思いますが、海外へ行って改めて、日本人であるにもかかわらず、実は日本のことを何も知らない。逆に、海外に行って初めて、日本のすばらしさ、文化、歴史、伝統の中で、もっともっと日本のことを学べばよかった、あるいは学びたい、そういう動機づけにもなりますから。そういう意味でも、留学生を倍増するということは、結果的に、それぞれが、日本人あるいは日本国に対する愛国心なり、あるいは、さらに日本のために頑張ろうというふうに思ってもらうような動機づけにもつながってくると思いますし、それ自体、私は、大変な成果、効果も上がっていくものだというふうに思います。もちろん、御指摘のように、留学させる前にもっと日本人としての学ぶべきアイデンティティー等をさらに教えて、そして行かせるということも当然重要なことだと思います。

それから、大学の国家戦略としてのあり方でございますが、今、七百八十三ある大学の中で、全てをグローバル人材の育成に資する大学にするかどうかということについては、これはやはり役割分担があると思います。そういう、世界に伍して日本人が活躍をするような大学生の数というのは、明確に決めているわけではありませんが、七百八十三ある中で、一割もあれば人材的には十分ではないかというふうに思っております。かえって、日本の中における産学官連携の中で、日本の社会や産業を支える、あるいは地方大学においては地域の人材育成としてのニーズ、看護師とか福祉関係とか、そういう教育で求められている部分もありますから、それぞれの役割分担の中で、グローバル人材を目指す大学については全面的に支援をしているということともちろん連動してこれからやっていくということが必要でありますが、それを教育再生実行会議の第三次提言でもなされているというふうに思います。それをぜひ、うちの大学こそそれにチャレンジしたいという大学について積極的に支援する中で、さらなる国家戦略的な連携をとっていきたいと考えております。


○田沼分科員
半分も終わらなかったんですけれども、非常に大事な議論だと思いますので、これからもぜひ。最後に大臣が言われたように、政治の力が非常に重要な局面になってくると思いますので、日本人アイデンティティー教育に関しても、大学のあり方の改革に関しても、ぜひ頑張っていただきたいと思います。以上で終わります。


○柚木主査

これにて田沼隆志君の質疑は終了いたしました。